1. 2025/04/08(火) 09:44:19
障害の問題として捉えると、目の見えない人に「ちゃんと見て歩け」とか、耳が聞こえない人に「人の話はちゃんと聞け」とは絶対言わないじゃないですか。身体障害者に対しても、「自分の足で歩くのが当然です」なんて求めない。ところが、発達障害や精神疾患に関しては、「本人の甘え」「努力不足」と批判されがちです。見えづらい障害だから、「がんばれば、なんとかなるだろうに」と勝手に決めつけられてしまう。非障害的な問題として扱うなら、発達障害は「特性」と見るべきなわけですね。シンプルに、多数派とは異なる特性を持っている少数派とみなす。例えば、草を食べて生きている草食動物に、美味しいからって肉をあげても、食べないのは当たり前ですよね。それなのに、「食べない方が悪い」「失礼だ」みたいな話にされてしまうのが、私たちの現状なわけです。「もっと普通になってください」なんて言われてしまう理不尽。
これは人種問題に置き換えたら、ものすごくグロテスクな物言いであることがはっきりするんです。例えばアメリカで、少数派にあたるアフリカ系の子どもとして生まれたことに悩み、「白人の皆さんに申し訳ないから、もっと白人みたいになれるよう頑張ります」と言わせるとしたら、それってグロさの極みですよね。
+162
-299
文庫新刊『 発達障害者が旅をすると世界はどう見えるのか 』が話題の文学研究者・横道誠さんと、ご夫婦の共作『 僕の妻は発達障害 』で知られる漫画家・ナナトエリさんの初対談が実現。発達障害の当事者二人が語りあった、“世の中の見え方”。