1. 2024/03/19(火) 21:36:59
〈『移動できる者』と『できない者』の二極化が進んでいる。
かならずしも地方から出る必要がなくなるなかで、都会に向かう者は学歴や資産、あるいは自分自身に対するある種無謀な自信を持った特殊な者に限られているのである。
問題は、そのせいで地方社会の風通しが悪くなっていることである。
学歴に優れ、資産を持つ『社会的な強者』だけが抜けていく地方になお留まる人びとには、これまで以上に地元の人間関係やしきたりに従順であることが求められる。
結果として、地方では『地域カースト』とでも呼べるような上下関係が目立つようになっている。
移動の機会の減少は、それまでの人間関係を変え、ちがう自分になる可能性を奪う。その結果、親の地位や子どものころからの関係がより重視される社会がつくられているのである。
そのはてに二極化した光景が、地方社会でよくみられるようになっている。飲み屋や「まちづくり」の場などで大きな顔をするのはいつも一定の集団──少し前には「ヤンキーの虎」などと呼ばれもてはやされた──で、そうではない人はひっそりと地元で暮らさなければならないという状況さえみられるようになっているのである。〉(『日本の死角』より)
+57
-117
コロナ禍のせいで、日本人は移動しなくなった──。そう言われたとき、当然だろうと思う人が多いかもしれない。しかし、じつは、日本人はコロナ禍以前から移動しなくなっていることをご存知だろうか。