1. 2023/11/15(水) 16:53:49
選挙期間中、テレビ局は放送法に違反しないように、自ら政治的公平に配慮しています。しかし、安倍政権時代の2014年、自民党が在京テレビ局に対して「選挙報道に偏りがないように」と、わざわざ文書で申し入れを行ないました。その結果、政治についての討論番組が激減。「申し入れ」があっただけですが、面倒を避けるため現場が萎縮してしまったのです。
私自身、テレビ番組で政権の政策について客観的な解説をすると、すぐに政府から「ご説明に上がりたい」と連絡が来ました。決して訂正しろというわけではありません。政府の立場を説明したいというだけですが、結局は政権寄りの解説をしてほしいという意図でしょう。
こうした働きかけを繰り返し受けていると、いやおうなしに表現に気をつけるようになります。ずっと続けていれば、何も言われなくても、はじめから面倒なことにならないよう忖度した内容の番組ばかりになってしまうでしょう。
インターネットで気軽に動画を配信・視聴できるようになり、かつてテレビや新聞が独占していた政治家の記者会見をノーカットで見られるようになりました。従来、政治家の言葉を直接聞けるのは記者だけであり、国民は編集された記事を読み、短く切り取られた映像を見るしかありませんでした。
しかし、いまでは誰もが平等に、政治家の主張にアクセスできるようになりました。官庁の公式発表もすべてホームページに掲載されています。政治家が国会でどんな発言をしたのか、その前後の文脈までもすべて知ることができます。
インターネットは非常に自由な空間です。中国のようにネットに対しても厳しい検閲を行なって規制している国もありますが、幸い現在の日本では、政府が介入しようにもできません。
ネットによって政治の世界がすぐに変わるということはなさそうですが、選挙への活用など、いままでになかった国民と政治との関わり方が生まれるのではないかと期待しています。
(一部抜粋)
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日本の「報道の自由度」がG7で最下位とされている原因とは? ジャーナリストの池上彰氏が解説する。