1. 2023/10/06(金) 09:48:12
――米国の離婚後の法制の特徴は。◆離婚後も父母がともに子どもを育てる仕組みが定着しています。例えば、父母は離婚する際、子どもと過ごす時間の配分や教育・医療の方針、意見の食い違いがあった場合の対応をまとめた「養育計画書」を裁判所に提出する義務があります。父母が合意できずに対立している場合は別々に計画書を提出し、裁判所の判断を仰ぎます。
米国でも連れ去り自体はあるものの、別居時にもう一方の親に知らせず、子を家から連れて出ることは禁止されています。転居の必要があれば、その後の養育計画を作り直すことになります。親子の関係や交流を妨げないという社会観念が日本に比べて強いのです。
(中略)
――「子の利益」をどう浸透させていくべきか。
◆米国では父母間の取り決めに対する裁判所の決定を守らなければ、裁判所を侮辱したとしてペナルティーが科されます。日本にはこのような制度がありません。
父母による子の奪い合いの解決には国家が介入すべきですが、子の利益とは何なのかについて社会全体で検討し、合意を形成しておくことが重要です。法的争いに発展する前に、別居や離婚後の子の養育のあり方について父母間で取り決められるよう社会的支援を整え、子の奪取を予防することが必要なのではないでしょうか。
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近年、日本で社会問題化する他方の親の同意を得ない「子の連れ去り」。父母間で子の奪い合いが激化するケースも多く、今夏には、卓球元日本代表の福原愛さんの元夫が、福原さんに対して長男を引き渡すよう求める記者会見を開いたことでも話題となった。