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489. 匿名 2016/09/29(木) 15:13:36
私の部屋は七疂半である。
其の部屋を私の好きなやうにしても宜しいと云われた。
私にはかねてより憧れているものが有つた。
所謂 大正ロマンである。
是の古ぼけた疂を剥がし焦げ茶の木張りの床にしようか。
それともワインレツドの絨毯を敷き詰めやうか。
鴨居や障子等は自分で焦げ茶に塗れば良い。
壁紙は薄いオリイブグリインの一寸ばかりハイカラな物を探そさう。天井も襖も是れにしよう。
そうして部屋の中央に英国の洒落た丸テエブルと椅子を置くのだ。まるで銀座の気取ったカフェのやうに。
あゝ、照明機具を忘れてはいけない。
天井から下げるランプはデヰノスに洒落た球体三つの物が有つた。其れにしやう。
そして文学少女気取りの私は必ず文机を手に入れなければならない。無論渋い焦げ茶の物だ。揃いの大きな本棚も要る。あらゆる文豪達の全集が幸いにも我が家には有るのである。
其の文机に古びたランプを灯して文学をするのだ。
忘れてはいけない事柄がもうひとつ有る。ステンドグラスである。
昨夜、雨存でとてもハイカラなステンドグラスのランプを見つけた。これは良い物だ。西洋式にシンメトリイに置くのだ。
あゝ、心が躍る。
私は興奮して其の計画を報告した。
父は一言だけ云つた。
「全額、君が負担するので在らば良いでせう」
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