ガールズちゃんねる
  • 498. 匿名 2020/09/01(火) 19:54:18 

    昔、俺が友人に頼まれて電話占いをしていた頃の話。
    その友人は、電話占いの広告を出していて、何人かの占い師を抱えていた。
    『出来るときだけでいいから、手伝って』と頼まれ、何回かやったことがある。
    まずは友人が電話をしてきて、『依頼があったけどこれからの時間出来るか?』と聞いてくる。
    できるときは相手の電話番号を聞いて、コレクトコールでこちらから電話をかける。
    最初に料金設定の説明をして、最後に『○○分だったので○○円を振り込んで下さい』と伝える。
    依頼がくるのは、だいたい夜の十時すぎが多かった。
    職場での恋愛の話から、ディープな三角関係など、いろいろな依頼があった。
    なかには『会社で隣の席に座っている男性が、自分のことをどう思っているか知りたい』というような、ほほえましいのもある。
    俺はタロットで占い、「彼もあなたのことを意識しているよ」と答えた。
    電話口で喜んでいる依頼人の声を聞きながら、「ああ、青春っていいなあ」と嬉しい気持ちになったりする。
    あるときは、かなりディープな話もあった。
    夫がいる三十代の主婦なのだが、肉体関係だけの男友だちがいて、どうやらその男が組関係の人とつきあっているようだ、と。
    しかも、お金が絡んでいて脅されているらしい。
    彼がどこまで裏の世界に染まっているかを知りたいという。
    タロットで占うと、かなりヤバい感じの暗示が出た。
    そのカードの意味を伝え、「その人とは別れた方が良い」と伝えた。
    納得できない感じだったのか、あまり嬉しくない様子だった。
    そういうディープな依頼のときは、心がズシーンと重くなる。
    言葉のイントネーションからして、関西方面のようだったが、関西弁でディープな話は勘弁してもらいたいと思ったよ(笑)
    俺が電話鑑定をやめるきっかけになった依頼がある。
    それは、二十代の若い女性。
    つきあっている彼が浮気をやめられるかどうかという悩みだった。
    彼女は彼をとても愛しているのだが、彼はモテ男で複数の女性とつきあっているらしい。
    『お前が一番好き』と言ってくれてはいるが、彼女はどうしても、他の女がいるのが許せない。
    「いつかあたし、彼を刺すかも知れない。
    アハハハハハハ!」本気か冗談かわからない物騒な言葉を言いながら、高笑いしていた。
    俺は「どうもその男性の浮気性は今後も続きそうだ」と伝えた。
    そして、「一年後には別の男性と縁があるから、別れた方が良いのでは」と言った。
    彼女は、どうしても彼と結婚したいようだったので、「結婚しても女癖は直らない」とハッキリ伝え、もう別れて新しい恋の準備をすることを勧めた。
    あまり納得しない感じで後味が悪かったが、料金を伝え電話を切った。
    電話を切ったあと、執念深い彼女の性格が気になった。

    それから数か月後、何気なく全国ニュースを見ていたら、
    《二十八歳の女性が交際男性を刺殺》とのニュースが。

    いつもなら、よくあるニュースのひとつとしてあまり気にもとめないのだが、
    そのときは胸がキューッとなる感じがあったのを覚えている。
    あの時の彼女の言葉が思い出されたからだ。

    「いつかあたし、彼を刺すかも知れない。アハハハハハハ!」

    彼女の名前も顔も、住んでいる場所さえ知らないのだから、まったくの人違いかも知れない。
    だが、その時聞いた生年月日からするとぴったり二十八歳……

    そのことがあって、友人に連絡して電話占いを辞めることにした。
    あの事件の犯人が、彼女でないことを祈るばかりだ……

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