1. 2015/12/24(木) 15:48:47
ミンチカツの載ったカレーライスとナシが運ばれると、子どもたちは「すごーい、ナシだよ。カレーだよ」と声を上ずらせた。無言でカレーをかき込み、カチカチとスプーンが皿に当たる音が響いた。元気な声で「おかわり!」。美雪は3杯、直樹も2杯をたいらげた。「おなか、ぺこぺこで来たんです」と梓は涙声になった。
夫とは数年前に離婚。パート従業員としてスーパーで働き、賞味期限が切れた食品をもらっていたため、食べるものには困らなかった。ところが夏にスーパーが突然閉店し、働き口を失った。貯金もなく、月に16万円あった収入は10万円程度の失業保険だけになった。(略)子どもたちは、給食以外に食べ物を口にできない日もあり、「おなか減ったよ」と繰り返した。
そんな時、インターネットで子ども食堂の取り組みを紹介する本紙の記事を読み、「自宅近くにもないか」と探して見つかった。すがる思いで運営者にメールを送った。「財布に小銭しかなく、悩んでいます。子どもたちだけでもご飯を食べさせてください」初めて子ども食堂に来た日、梓の財布には200円ほどしか入っていなかった。
出典:amd.c.yimg.jp
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街がイルミネーションで彩られ始めた11月中旬の夜。九州のある街で、母の梓(42)と小学6年の美雪(12)、小3の直樹(9)、小2の沙織(8)=いずれも仮名=の3きょうだいが「子ども食堂」ののれんをくぐった。入るとき梓は少しうつむいていた。子どもたちを「ただで食べられるレストランがあるんだ。ママも料理作らなくて楽だから行こう」と連れ出した。「家が貧乏だと思われたくない」から、ごまかした。子どもたちは、食堂の和室に座ると「レストランじゃないじゃん」と口をそろえた。