1. 2025/04/20(日) 19:02:17
しかし、イケズを外部から持ち込み、それが原因でこの神話がさも真実かのように広めた人がいる。どういうことかというと、京都人がイケズではなく、イケズであるかのように仕立てた人物がいるということだ。
出所は1775(安永4)年に出版された笑話本『一のもり』の小噺で、同じようなネタが1808(文化5)年の十返舎一九の小噺集にもあるという。十返舎一九は江戸住まいの戯作者で『東海道中膝栗毛』を書いた人物として知られているが、上方(京阪神地方)に在住したことがあるので、そのときにこの噺を仕入れたかもしれない。
これがのちに『京のぶぶ漬け』あるいは『京の茶漬』という上方落語で演じられ、人気を博したという経緯をたどっている。つまりは作り話で、完全なるフィクションなのだ。
この噺の真偽を行きつけの酒場のおかみさんに聞いたところ、
「お客さんに対して、いくらなんでもそんなお茶漬けみたいな恥ずかしいもん、出されへんわあ。かえって失礼や。それに、昔もいまもお茶やら飲み物を出すとしたら茶菓子を添えるくらいちゃうの」
というご返事でしたな。ケチな大阪人のワタクシもまったくその通りやと思いますわ。
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「京都人は排他的」「陰湿で、本当のことを言わない」――ベストセラー『京都ぎらい』(井上章一著・朝日新書)もきっかけとなり、京都人に対する偏見、風説は後を絶たない。しかし、実際のところはどうなのか。