1. 2024/03/26(火) 18:27:17
「経済発展すればするほど少子化が進む」とも言われたりするのだが、これは厳密には正しくはない。
「経済発展→少子化」という因果ではなく、「経済発展によってもたらされる医療の発達や公衆衛生の改善」によって「乳幼児などを含む子どもの死亡率が下がる」から「出生数が減る」のである。言い換えれば、「生まれてきた子どもたちが子どものうちに死なずに元気なままで育つから、多産する必要がなくなる」ということである。
逆にいえば、アフリカなどの低所得国の出生率が高いのは、それだけ生まれてきた子が大人になる前に死んでしまうからこそ多く産むという出産メカニズムによる。
このように子どもの死亡率と出生率とは強い正の相関があり、日本や欧州諸国の少子化は、視点を変えれば「生まれてきた子は死ななくなった」ということであり、決して悪いことでもない。
出典:newsatcl-pctr.c.yimg.jp
とはいえ、実は現代の問題は、このような自然の摂理を超えた部分での少子化が見られている点が問題でもある。前掲したグラフにおいて、幼児死亡率が10以上であるにも関わらず、出生率が2を切る国が増えているのである。
(略)これらの国はまだ高所得国に分類されておらず、中進国、中所得国に該当し、幼児死亡率もまだ低いといはいえないのにもかかわらず少子化が進行している。これは国としての中間層が子を持てなくなっているということでもある。
そう考えると、「高所得国だから、先進国だから少子化になる」ということではなく、どこの国においても「一部の富裕層は子を持てるが中間層が子を持てなくなっている」ということではないか。
国全体が数字の上では豊かになっても、人口ボリュームである中間層が子を持てなくなればそれは、出産メカニズムの範囲を超えた少子化となっていくのだろう。
お金だけが産まれても子どもが産まれなくなる。
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…わかる範囲で最新の各国の合計特殊出生率(2023年速報値を含むので後日数字が修正される可能性がある)を列挙すれば、フィンランドは1.26、ノルウェーは1.40、スウェーデンも1.45、ドイツは1.35、イタリアは1.21、スペインは1.14、ポーランドも1.18である。よく「見習え」といわれるフランスもいつのまにか1.67にまで下がっているし、アメリカも1.62である。 これらの国々は国連及び世界銀行の定義で「高所得国」とされているが、それら高所得国といわれる国はことごとく低出生化が加速している。