1. 2023/06/09(金) 23:51:41
あるとき、祖父から「話がある」と部屋に呼び出された。昔話を始めたかと思うと、話題は次第に猥談に。祖父は「毛は生えたんか?」「成長ぶりを見せなさい」などと言って、無理やり孫の体に触れた。竹山さんは抵抗したが、そのまま口淫された。
混乱した。それからも、普段と変わらない日常は続く。家族で食卓を囲み、笑い合いながら食事をする。だんらんの中には祖父もいる。
「錯覚してしまうような、悪い夢を見ていたような。自分に起きたことと、その後の日常が違いすぎて」
竹山さんはゲイだ。中学1年のときに自認した。性被害に遭う1年ほど前のことだ。
当時は「病気で異常者。存在してはいけない人間だ」と、同性が好きな自分をさげすみ、責めた。そこに、祖父からの性被害が重なった。
「自分を何重にも否定してしまう。僕は、そういうことをされてもしかたのない存在なんだ、と」
自身の性的指向と、祖父の性暴力は関係ない。そうと分かっていても、日ごとに罪悪感のようなものが押し寄せた。
竹山さんはカウンセリングを受けてから、自分を少し客観視できるようになったという。家族間の性暴力がどれほど残虐なことか、カウンセラーは電話越しに説明してくれた。関係性を巧みに利用され、被害は長期に及ぶケースが多いということも知った。
「自分は被害者なんだ。傷つくことは不自然なことじゃないんだ」と、初めて思えた。「傷つくことすらも、ないことにしていたから」
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祖父の仏壇を前にすると、体が汚いものに侵されていくようなあの感覚を思い出す。近畿地方で暮らす竹山祐介さん(30代)=仮名=は中学2年のとき、祖父から性被害に遭った。毎年の盆と正月に帰省し、顔を合わせた。「物静かだけど、優しいおじいちゃん」だと思っていた。(一部抜粋)