1. 2023/05/15(月) 19:25:53
なぜ日本企業の投資先は国内ではなく海外だったのか。それは収益率が高かったからです。
日本は人口減少だけでなく、円高や電力不足といった「6重苦」に直面していました。企業には、今後も高い成長が見込める海外のほうが魅力的だったのです。
問題は、海外投資の収益が現地で再投資されることが多く、国内の賃金上昇や労働生産性の向上に結び付かなかったことです。これが失われた30年の大きな要因となりました。
出典:president.ismcdn.jp
――30年間も低迷した国内投資がそう簡単に増えるでしょうか。
少子高齢化が進む日本より、経済成長率は海外の方が高いわけです。中国だけでなく、米国やEUが大きな予算を組んで国内に工場を作れば有利になる仕組みを作っています。そこで「補助金を準備したのでどんどん日本に投資してください」と呼び掛けるだけでは、企業が日本に戻ってくるメリットは薄いのだと思います。
しかし近年、多くの日本企業が国内投資に意欲的になっています。続々と国内生産を強化する方針が公表されているんです。
国内投資(名目設備投資額)が100兆円を超えたのは、バブル経済だった1991年度の1回だけ。ところが2027年度に再び115兆円を超えることを目標とする民間の動きが出ています。投資環境がそろっているという意味では、まさに今がチャンスなんです。
ここで企業にしっかり国内投資や賃上げをしてもらう、国はそれに必要な環境や原資を確保できるよう対策を打つ、これが不可欠だと考えています。
日本が失われた30年を取り戻すには今が正念場。最大で最後のチャンスです。
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――なぜ日本は成長できない国になってしまったのでしょうか。…「コストカット」と「海外投資」で活力を失った 実はここ10年ほど、日本の資本金10億円以上の企業は売上額がほとんど変わっていません。 本来なら、経済回復に向けて新しいことに挑戦していかなければいけなかった時期に、日本全体が、特に国内においてコストカットの方向に進んでしまったのです。 その一方、日本企業は海外にどんどん投資をしていきました。96年末に31兆円だった対外直接投資残高は、2021年末時点で229兆円に拡大しています。