1. 2022/07/28(木) 00:24:18
77歳まで現役を続けていたお父さんは腕のいい弁護士だったこともあり、「稼ぐ力」に絶対的な自信があったそうです。それゆえか、貯蓄や資産形成といったことに一切興味がなく、銀座のクラブやゴルフ、ギャンブルなど、好きなだけ散財。「何があっても俺は稼いでいける」自信からリスクヘッジに甘く、医療保険、死亡保険にも一切加入していませんでした。
家に貯金がないことも、保険に入っていないこともお母さんはずっと知っていましたが、養ってもらっている引け目から、夫に意見することができなかったそうです。お母さんは大黒柱の入院後、ビジネスの才覚に長け、70代まで元気でこられてしまったお父さんに頼り切っていたことを深く後悔していたと言います。
結局2カ月ほど入院したあと、お父さんは他界。個室を利用したこともあり、高額療養費制度を使っても多額の請求がやってきました。医療保険には加入しておらず、貯金もなかったので交渉したところ、良心的な病院だったおかげで約200万円の支払いを分割払いでお願いすることができたそう。とはいえこの支払いはすべて、一人娘の谷川さんにのしかかってしまったのです。
年収600万円の谷川さんは都内の家賃15万円のマンションで一人暮らしをしていましたが、実家が裕福という意識もあって貯蓄はほとんどしてこず、資産は現金150万円ほどのみ。お父さんの荒い金遣いが判明したときには、「自分にもそのDNAが流れている」と感じたということですから、彼女もそれなりに使うタイプだったようです。大黒柱を失ったいま、谷川さんは年老いた母の面倒と借金返済に追われ、実家に戻って生活をしています。
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親に財産のことは聞きづらい。そう思って、後回しにしている人は多いだろう。ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんは「相談を受けた40代の女性は父親が亡くなるまで“実家は裕福”と思っていたのですが、実際は正反対。年老いた母親の面倒と父親の借金を一人で背負うことになりました」という――。