1. 2022/01/11(火) 12:20:25
「このたび私たちは入籍させていただきました」という例のような、相手の関与がない用法になるほど人々の違和感が強い、という結果が出ています。また、「よろしいですか?」のような許可求めを含んだ言い方の方が好印象だとの調査結果もあります。つまり、ただ遠ざかっておけばいいわけではなく、相手との関わり合いも表したい(聞き手からすれば、表してほしい)という意識です。「させていただいてもよろしいですか?」という形は面妖ですが、「よろしいですか?」という許可求めを加えることで、相手とのつながりを表している形であることがわかります。つまり、これまた“遠近両用”の言葉なのでした。
なんとめんどくさい世の中よ! とも言いたくなります。しかし、日本語は、この種の面倒くささがどうも好きなようなのです。ちょうどいい距離感=敬意の度合いを求める日本人の旅は、どうやら終着駅がなさそうです。
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敬語を話すとき、人は何を意識しているのか。放送大学の滝浦真人教授は「この50年ほどの間に『~させていただく』を使う頻度が増えた。その背景には、丁寧な自分は見せたいけれど相手に触れることはためらいがあるという、今どきの日本人の心理が隠れている」という——。