1. 2021/10/07(木) 13:14:23
取材対象を撃ち落としたいわけではない。“光”だけでなく“愚かさ”も含め、人間は愛しい。それを面白がりたいのも人の業。そう考えているからこそ、物騒な“文春砲”という言葉が「好きではない」のだという。
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「たとえばベッキーさんの不倫報道の時も、彼女の芸能生活を否定しようとか休養させようとか、そんなことはまったく考えていなかった。もとの記事を読んでもらえればわかるのですが、これまでスキャンダルと無縁だった彼女が、道ならぬ恋をした。しかもその相手のバンド名が『ゲスの極み乙女』。事実は小説より奇なりですよね、そういう記事だったんです」。
だが、これが別のメディアや一般の人に拡散される中で、行間や人間の面白味の部分が削ぎ落とされていき、「ゲス不倫」というファクトだけが暴走。世間の懲罰感情がコントロール不能なレベルに燃え盛った。さすがに「かわいそうだ」と寝覚めの悪さを感じた新谷氏は、その後、ベッキーの所属事務所と交渉を重ね、本人に手紙を書いてもらって彼女の偽らざる想いを掲載した。報じた張本人でもあるが、「記事ひとつでここまでコテンパンされてしまう世の中は、なんだかバランスが悪いな」と当時の風潮に疑問を持ったという。
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“文春砲”の生みの親ともいえる『週刊文春』前編集長の新谷学氏(現、『文藝春秋』編集長)は、「“文春砲”という言葉があまり好きじゃない」と明かす。...