1. 2020/11/30(月) 18:29:56
この日、往診に向かう足取りは重かった。「えっ。もう先生は来ないんですか…」。患者、家族から戸惑いの声が漏れる。クリニックを閉じて訪問診療を終えることを慎重に伝えた。
切られた、と思い「もういい」とそれっきりになった患者もいる。「先生が来てくれるだけで安心」と頼ってくれた人たちを裏切るようでつらかった。
特に心配な一人は本島に住む40代男性。70代の両親、姉と同居するが、中学生の頃に不登校となり約30年、ひきこもり状態が続く。統合失調症の症状が強いが、8年ほど関わる中で訪問看護の力も借りて風呂に入れるまでに改善した。だが、病院に通えるかと言えば難しい。「せっかくここまできたのに、また振り出しに戻るんじゃないか」。玉城医師は悔しさを募らせている。
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厚生労働省の2020年度の診療報酬改定で、精神疾患を抱えながら病院に通えず、ひきこもり状態にある人の家を医師が訪ねる精神科訪問(在宅)診療に関する項目が21年3月で廃止されることが、30日までに分かった。