小説書き出し選手権
178コメント2019/10/31(木) 21:37
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143. 匿名 2019/10/30(水) 19:43:13
朝から降り続いていた雨もいつの間にか止み、私は10年前の今日と同じ場所で、10年前と同じように彼を待っている。
◯◯駅、西口、自販機前。
別れ際、小銭が足りないらしく、自販機前でもたついていた彼の背後から、私は素早く10円玉を2枚入れた。
私の為に買おうとしたジュースも受け取らず、振り返らずに走り去ってしまったあの時。
再会したらどんな顔をすればいいのだろう、
何を言えばいいのだろう。
不安が募る中、約束の時刻、彼は変わらぬ笑顔で「がる子ちゃん!」と呼んできた。
「丸山くん!」久々に呼ぶ彼の名前。
嬉しくて、恥ずかしくて、
「あの時の20円、返してよね。」
と私は彼に言うので精一杯だった。+1
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