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43. 匿名 2019/10/12(土) 00:17:02
ガル子は長年悩んでいた。
なぜなら、彼女の兄はもう15年も引きこもり生活を続けているからだ。
これまで、優しくして厳しくしても一向に変化の見られなかった兄。
だが、問題はそれだけでない事にガル子は気付いていた。
ガル子の母親もまた、ガル子の兄である『息子』と共依存の関係にあったのだ。
ガル子は意を決して、母親にこう告げた。
『──ねぇ、お母さん。うちは母子家庭だけど、お母さんはこれまで本当によくやってきてくれたよね、家事も育児も。
でも、お兄ちゃんも40を過ぎた。これまでのやり方では何も変わらないと思うの。
何でもいいから、お兄ちゃんに居心地が悪い思いをさせて家を出たい、自立せざるを得ないと思わせる必要があると思うわ。
お母さんは昔からお兄ちゃんに甘すぎる部分があったでしょ。このあたりで本気を出して、息子を自立させて見せてよ。
それできるまで、私はお母さんとも連絡は取らないから。』
──それから3年後、完全に連絡を経っていた母親からガル子のもとに1本の電話がかかり、留守電にメッセージが残っていた。
『お爺ちゃんが亡くなったから家に至急かえって来て欲しい』と。
最後に母親との連絡を経ってから3年──。
ガル子は祖父が亡くなった悲しみと同時に『この3年で兄の引きこもりが改善されただろうか』という不安も抱えながら3年ぶりの実家へ向かった。
実家に帰ると、白い布で顔を覆われ横たわった祖父の姿があった。
ガル子は冷たくなった祖父の手を取り、『お爺ちゃん、ごめんね…』と言って静かに涙を流した。
そこへガル子の母親が入ってきた。
そして母親は少しためらった後、ガル子にこう告げた。
『あのね、お兄ちゃんの事だけど──。
実は、自分の部屋だけじゃ狭いって言うから、あなたが結婚前に使ってた部屋もお兄ちゃんにあげたのよ。
お兄ちゃん、今は自分の部屋の他にあなたが昔使ってた部屋も自分用の物置に使ってるの。いいわよね?』
母親のこの言葉を聞いた瞬間、3年前に母親に言った事はまったく通じていなかったことをガル子は悟った。
3年という時間がありながら、息子を家から追い出す訳でなく、むしろ『もう一部屋与えてさらに居心地を良くしてやった母親』。
ガル子の母親への嫌悪感は言うまでもなくただひたすらに増したのであった。+25
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127. 匿名 2019/10/13(日) 11:26:19
>>43
なぜか群よう子のエッセイ、その母と弟を思い出した。(弟はちゃんと働いてるけど)
うまいな。+0
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