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18. 匿名 2019/10/11(金) 23:39:18
茜色の雲の隙間からふいに光が差し、子供を抱えた彼女の小指の指輪がきらりと光った。
(小指?薬指ではなく?)私は訝しんだ。
彼女の夫はこのあたりではまあまあ有名な工務店に勤めていると、件の噂好きな佳子さんが話していた。
私は彼女が気分を害さないか少し不安に思いながら
さりげなさを装って聞いてみた。
「指輪、素敵ね。結婚指輪?あ、でも小指だからピンキーリングー?」
思いのほか間抜けなトーンになってしまったが、それがかえって彼女の警戒心を刺激しなかったのか
彼女はふ…と笑って言った。
「私、産後太りがすごくて。12kg増えたまま戻らないの!
それで薬指に入らなくて」
「え?ああ…ああ…」
「けど夫はずっと結婚指輪をしてくれてるから、私だけしないのもなんとなく悪くてね。苦肉の策でコレ」
そう言って小指をぴょこぴょこと動かしてニヤッと笑った。
(なんだか、思ったよりくだけた人なのかも…)
彼女の、透けるように白い肌や、慎重に隠している優雅さに気圧されていた私には嬉しい発見だった。
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