ガールズちゃんねる
  • 126. 匿名 2019/04/29(月) 13:34:41 

    帰省の準備
    おい、まだかよ?

    俺は、女房の背中に向かって言った。

    どうして女という奴は支度に時間が掛かるのだろう。
    「もうすぐ済むわ。そんなに急ぐことないでしょ。…ほら翔ちゃん、バタバタしないの!」

    確かに女房の言うとおりだが、せっかちは俺の性分だから仕方がない。

    今年もあとわずか。

    世間は慌しさに包まれていた。

    俺は背広のポケットからタバコを取り出し、火をつけた
    「いきなりでお義父さんとお義母さんビックリしないかしら?」
    「なあに、孫の顔を見た途端ニコニコ顔になるさ」

    俺は傍らで横になっている息子を眺めて言った。

    「お待たせ。いいわよ。…あら?」

    「ん、どうした?」

    「あなた、ここ、ここ」

    女房が俺の首元を指差すので、触ってみた。

    「あっ、忘れてた」

    「あなたったら、せっかちな上にそそっかしいんだから。こっち向いて」

    「あなた…愛してるわ」

    女房は俺の首周りを整えながら、独り言のように言った。

    「何だよ、いきなり」

    「いいじゃない、夫婦なんだから」

    女房は下を向いたままだったが、照れているようだ。

    「そうか…、俺も愛してるよ」

    こんなにはっきり言ったのは何年ぶりだろう。

    少し気恥ずかしかったが、気分は悪くない。

    俺は、女房の手を握った。

    「じゃ、行くか」

    「ええ」













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