1. 2025/05/15(木) 23:40:56
「あわててパートに出ましたが、とてもじゃないけど暮らしていけない。私には兄がいますが、まったく母の看病もしなかったくせに『財産は全部おまえにやるから、ありがたいと思え』と。財産なんてないのが分かっていながら、そういうことを言う。少し援助してほしいと言ったら、家を売ってどこかに行けばいい、と。でもここは借地で、家だって築50年近いぼろ家。売れるはずもない」
親戚から少し援助してもらいながら、爪に火をともすようにして暮らしてきたが、この先を考えるとどうにもならなかった。65歳になれば月に10万ほどは年金が出るはずだが、それまでどうすればいいのか……。
「今までの人生でし残してきたことを考えると、結婚だったんですよ。結婚して生活が安定して、なおかつ老後が寂しくないなら最高だと思った。でも結婚相談所に入るゆとりはないので、マッチングアプリを試しました」
安定した穏やかな暮らしができるなら、それ以上は望まなかった。何人か候補を見つけてやりとりしてみるが、会うところまではいけない日々が続いた。
「久しぶりに仕事をしてみたら、本当に疲れちゃって。だから結婚したかった。パート先の知人にそんな話をしたら『不純だ』と言われました。生活のための結婚って、そんなにいけないことなんでしょうか」
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悲壮な覚悟を明かすのは、ヨリコさん(60歳)だ。彼女は未婚のまま仕事をしてきたが、44歳のとき父が亡くなった。その後、母が病に倒れ、後遺症が残ったため、とうとう仕事を辞めざるを得なくなった。それが47歳のとき。それからは母の年金だけで細々と暮らしてきたのだが、その母が88歳で亡くなったのが2年前だ。