1. 2025/05/13(火) 12:47:11
肥満や肥満症は、遺伝や環境、心理社会的背景、食習慣などさまざまな要因が複合的に絡み合っている。秋田大大学院医学系研究科の脇裕典教授は「肥満は要因がたくさんあるにもかかわらず、食習慣など自己管理の問題ではないかという意識が職場や教育現場だけではなく、医療現場においても存在する」と指摘する。こうした差別・偏見は「オベシティ・スティグマ」と呼ばれ、患者や肥満の人自身も「自己責任でこうなっているのかと考えがちと言われている」(脇氏)。
日本イーライリリーと田辺三菱製薬が肥満症患者や医師、一般生活者を対象に行った意識調査では、患者の87%、医師の64%、一般生活者の70%が肥満は「本人の責任」と回答。患者の約3人に2人(63%)は「100%本人の責任」との回答だった。
海外のデータでは、体重や肥満に悩み始めてから医療従事者に相談するまでの期間の中央値は約3年で、相談しない理由については「体重管理は自己管理の問題だから」との回答もあった。医療従事者が積極的に関与してくれると減量に対するモチベーションが約2.3倍上がるという調査結果もある。脇教授は「オベシティ・スティグマは適切な治療の機会も奪ってしまう可能性がある」と警鐘を鳴らす。
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肥満に悩む人は少なくない。