1. 2024/07/03(水) 12:19:22
放送を前にメンバーそれぞれの思いを聞き、一度はその文言を完成させたが、放送開始まで1時間を切った段階で1枚の紙が届いて……。【午後9時15分】
そこに書いてある言葉は、彼ら5人が所属する事務所を作った「ソウギョウケ」のトップの1人であり、この日本で、唯一無二のプロダクションを作り上げてきた女性によるものだった。
生放送の中で、絶対言うべき言葉が書いてあった。
メンバーの1人が社長に謝る機会を作ってくれたおかげで、「今、僕らはここに立ててます」というものだった。
その後、現実の放送がどう進んだかは、多くの人が記憶しているに違いない。黒いカーテンの前に、黒いスーツ姿の5人が並び、1人ずつ謝罪の言葉を述べるのだが、苦しそうだったり、途中で言葉に詰まってしまったり。とんでもないことが今、テレビの中で起こっているのだと感じた人も少なくなかったはずだ。
もちろんその場にいた鈴木さんも、あり得ないことが目の前で起きていると実感していた。その場面を小説で書く際に選んだ言葉が「ソウギョウケ」だった。
「圧倒的な力、僕らが逆らうことができない何か、ということを考えた時、ぱっと降りてきた言葉でした」
ソウギョウケ――。どこか「創造主=神」をも思い浮かばせる単語。ソウギョウケの前に、テレビはひれ伏してしまった。その状況を鈴木さんは今、こんなふうに振り返る。
「すべてが魔法にかかっていたんです。本当は違うのに、従わなければならないと誰もが思い込んでいた」
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「SMAP×SMAP」や「Qさま!!」など、放送作家として数多くのテレビ番組を手がけてきた鈴木おさむさん(52)が今春、その活動に終止符を打った。まだまだ活躍できる年齢での引退に驚かされたが、同じタイミングで出版した書籍「もう明日が待っている」(文芸春秋)には、さらに驚かされた。SMAPのデビューから解散までを小説という形で振り返った本には、SMAPファンのみならず多くの人に衝撃を与えた「あの夜の出来事」の“真実”が描かれていたからだ。