1. 2024/04/04(木) 14:28:33
「炊事当番をする同級生のヤツに『コーラと揚げまんじゅうを寮の俺の部屋の押し入れのところに置いといてくれ』って頼んでおいて『ちょっとトイレに行ってきます』と言ってね。トイレに行きたかったら寮まで戻らないといけなかったからさ。それで自分の部屋に急いで行って、コーラは開ける時に音がしないようにタオルでくっとやって、飲むのも一気。口あけて、かーって。もうヒリヒリするくらいだった。揚げまんじゅうも一気。あんこが甘くておいしくてさぁ……」。
パーッと行って、パーッと飲んで食って、パーッと戻ってくる。スピードも必要な“荒業”だったが「バレなかった。あの味はいまだに忘れられないわ」と工藤氏は思わず笑みをこぼした。「昔はいろんなことをするヤツがいたよ。草むらとかに水を入れた缶を置いといて、ファウルボールを探しているふりして、それを飲むとかね」。当時はそれが普通のことだった。
「高校3年の夏の茨城大会で優勝して終わってすぐに記念撮影があったけど、俺はもうフラフラの脱水症状を起こして、手が動かない状態だった。その後は県庁までパレード。さすがに冷えたオレンジジュースをもらった。1本じゃアカンから、もう1本くれってごくごく飲んだら、手が動くようになったのも覚えているわ」。
「人間って不思議やな。それでもやれたんだよなぁ。脳が指令するんだろうな。水を飲んじゃいけないと思うから、飲まなくてもやれるって気になった。やれたのは気持ちだと思うわ。でも、今思えばアホみたいなもんやで。俺が高校に入った時、1年生が130人くらいおったけど、1日に10人、20人とやめていって最後残ったのが20人だけやから。そりゃあ、やめるわな」。
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元阪神投手の工藤一彦氏は...「練習はつらくて、つらくてたまらなかった…水は飲んだらいけないし、腹はペコペコだし……」。我慢できなくなって、トイレに行くふりをして…