1. 2024/03/19(火) 23:20:24
――今回、自己家畜化というテーマで本を執筆された背景を教えてください。熊代 私は精神科医なので、普段から何かしらの生きづらさを抱えた方々から話を聞く機会が多いです。感情の起伏が激しい方や、中には他人に手を上げてしまうような方もいらっしゃいます。
しかし、そういった今の社会規範から外れた精神状態の人でも、かつては異常とはみなされなかった時代があったわけです。それは、個人の特性にとどまる問題なのか、社会のほうに問題があるのか。「自己家畜化」というキーワードで、この問題をうまく整理できるのではないかと思ったんです。
(中略)
――精神疾患の話が出ましたが、近年注目されている発達障害も、文化的自己家畜化の過程で生み出されたのでしょうか。
熊代 生み出されたというより、浮かび上がってきたというほうが正しいでしょうか。
18~19世紀頃から、放浪者や社会からあぶれた人々を精神科病院に隔離して管理するという風潮が生まれました。
その後、特に20世紀以降は「社会規範から外れた人」の定義が広がります。そして現代では、かつては社会に許容されていた人でも、精神科医療を受けないと生きていけない時代になってきたわけです。
現在、精神科医療の外側で語られているHSP(とても繊細な人)なども、そうした現代の生きづらさのひとつの表れなのかもしれません。
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「自己家畜化」という言葉をご存じだろうか。これは生物が進化の過程でより群れやすく、より協力しやすく、より人懐こくなるような性質に変わっていく現象を指す。