1. 2023/12/17(日) 16:32:09
「私の場合、日常生活で頻繁に露出する部分に大きなタトゥーが入っているわけではないので、今のところ、ものすごいトラブルには巻き込まれていません」
そう話すのは、網野幸代氏(30代、仮名)。妊娠を機に辞めるまで関西の大企業で受付業務を担当していた彼女は、現在、自宅で美容系の資格を活かしながら仕事をし、家族で暮らしている。幼児を養育する母親でもある。
「ただ……小耳に挟んだのですが、私が勤めていた企業では、全社員に『タトゥー禁止』の通達が回ったようです。お客様をご案内する際に、首や脚のタトゥーが見える可能性はありますよね。口には出さなくても、『ふさわしくない』と考える方がいるのも理解はできます」
網野氏の身体には、大小合わせて7つのタトゥーが入っている。トータルな身体像があったわけではなく、彫りたいときに好きな絵柄を入れてきた。したがって、これからもきっかけさえあればタトゥーが増える可能性は「なくはない」のだという。
網野氏が最初に身体に墨を入れたのは、22歳のときだ。
「母の命日にお墓参りに行って、その帰りに彫り師のところへ行ってタトゥーを入れました。母は私が中学生のころに癌で亡くなったんです。仕事も家事も育児も、全力でやる女性でした。私たちはきょうだいが多かったのですが、ひとりひとりと向き合って子育てをしてくれましたね」
社会生活においてはリスクともなり得るタトゥーを、網野氏はこう捉える。
「タトゥー=怖い人、という紋切り型のイメージは、必ずしも当てはまらないと思っています。ただ確かに、ママ友のなかには遠巻きに私をみて軽蔑した眼差しを送ってくる人もいますし、外見で評価を下げられる事実があるのも確かです。
『中身さえ見てくれれば……』と本音では思うものの、第一印象が外見で決まる事実は否定できませんし、そこで門前払いされる価値観で世の中が回っていることは受け入れなければならないですよね」
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現代の日本ではファッション性の観点から、タトゥーがポジティブに解釈される場面が以前よりも格段に増えた。