1. 2023/08/25(金) 13:00:09
つれあいの教え子で、就職ではマスコミ何社からも内定をもらうような優秀な男性だった。就職後、彼はほどなくして婚活を始めた。そしてマッチングアプリで出会ったという婚約者の女性を、つれあいと私との食事会に連れてきた。女性と少し話して、「絶対にやめたほうがいい」と思った。相手の女性が、明らかにブランド志向だったからだ。着ているものや持ちもの、そして話す内容で、外見を重視する人間であることが伝わってきた。
一方、教え子のほうは、見栄えがよいわけでもおしゃれでもない朴訥とした男性だ。率直に言って女性にモテるタイプではない。仕事熱心で優しいところを私とつれあいは好んでいたが、そういう内面の美徳よりも、彼の会社名や学歴を、彼女がより好んでいるだろうことは容易に想像できた。
もちろん、結婚を決めたわけだから、彼自身も彼女をいいと思ったのだろう。若く、お嬢様風の女性だったから、惹かれたところがあったのだろうか。私の教え子ではないので、私は余計なことは言わなかったが、内心、結婚は続かないだろうと予想していた。つれあいも思うところがあったようで、「大丈夫か?」と声をかけていたようだ。
はたして結婚から2年後に二人は離婚した。
職場や学校といったリアルな場で、自然に惹かれ合い、仲良くなっていくような男女ではなかっただろう。年齢や会社名、年収といった条件によって出会い、結婚するのが婚活の場なのだと知らされた。
しかし、条件による結婚は、続かない場合が多いのではないか。結婚は終わりではなく、始まりだからだ。もちろん、条件から入ったとしても、互いの内面を尊重し、歩み寄ることができれば、その限りではないだろう。
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2009年以前の使用状況は0%だった「マッチングアプリ」が、2022年の調査によると、結婚した人の出会いのきっかけの22.6%にまで上った。元NHKアナウンサーで作家の下重暁子氏の新著『結婚しても一人~自分の人生を生ききる~』(光文社)より「婚活で結婚したある男女の末路」についてお届けする。