1. 2023/02/15(水) 22:05:59
■1人50万円ではなく、500万円の一時金を出す覚悟を
■財源をどう確保するか
もっとも、問題になるのは財源だ。出生数が80万人ならば4兆円の財源、120万人ならば6兆円の財源が必要になる。4兆円や6兆円という財源の調達は、従来の発想なら不可能に見えるが、防衛費増額(4兆円増)の決定プロセスをみても、実は可能なのではないか。例えば、消費税率を2%引き上げれば、6兆円程度の財源を得ることができる。これを財源として、出産育児一時金を子ども1人当たり500万円程度に引き上げてはどうか。
財源を節約するためには、「累進的な制度」に設計する方法もある。例えば、出産育児一時金を、「子ども1人目=100万円」「2人目=300万円」「3人目=900万円」「4人目以降=1000万円」、あるいはもう少し角度をつけて、「子ども1人目=50万円」「2人目=100万円」「3人目以降=1000万円」という累進的な制度にしてはどうか。
1年間の出生数が120万人に増えた場合でも、1人目が3割、2人目が4割、3人目以降が3割なら、3人目以降を1000万円に大幅拡大しても、必要な財源は4兆円程度(=36万人×50万円+48万人×100万円+36万人×1000万円)に圧縮できる。出生数が80万人なら、約3兆円でよく、これは消費税率1%の増税で賄える。
■高齢世代に負担増を求めていくのが政治家の役割
高齢世代向けの年金や医療の給付などを削減せずに、少子化対策の財源を年金や医療などの社会保険に求める場合、現役世代の負担が増すだけだろう。
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未婚率を下げることと、有配偶出生率を上げること、どちらが少子化対策として有効なのか。法政大学教授の小黒一正さんは「異次元の少子化対策の目的を『出生数の増加』に位置付けるなら、有配偶出生数を上げる施策に資源を集中投下した方がよい」という――。