1. 2023/02/13(月) 00:34:53
――最近、子育てをする人に厳しい今の政治や社会を批判して「子育て罰」という言葉が使われるようになりました。自分たちの子育てが国に歓迎されていないと感じる人が多く、子どもを産むのを控える「産み控え」につながっているとの指摘もあります。
泉 国からのメッセージを「社会で子育てしましょう。安心して子どもを産んでください」に変えなあかん。明石市が子育て世帯への月々5000円の給付を始めた時、「たかだか5000円で何ができる」という声が上がりましたが、大切なのは金額でなく、「子育て世代を継続してサポートする」という姿勢なんです。
所得制限は設けていません。これについてはいろいろな意見がありますが、私からしたらなぜそんなセコい発想になるんやろと思いますね。見るべきは親の所得ではなく子ども自身。給付の対象は親ではなく、「子ども自身」なんです。
――SNSなどでは所得制限についての批判が大きいですが、国はなかなか所得制限撤廃へ舵をきろうとしませんでしたね。
泉 東京都が同じ政策を掲げたことを受けてか、ようやく政府も所得制限撤廃で調整を始めたようですね。この動きは日本の希望やね。これを機に、一気にオセロの盤面が黒から白に変わるように、「子どもに異次元に冷たい国」から脱却していくんじゃないかという予感もしています。
――明石市は10年連続人口増を達成していますが、果たして国がこれから少子化対策に舵を切って、V字回復が望めるのかどうか、疑問が残ります。
泉 誤解されることが多いのですが、私自身は人口増論者じゃありません。人口が増えれば、新たに保育園の待機児童問題や交通機関の混雑などの問題が出てくるし、市民の負担が増える場合もある。私が意識しているのは人口を増やすことではなく、いかに一人一人が暮らしやすいまちをつくるかということ。
少子化に関しては、子どもを産む年齢層の人たちが減っている以上、人口減に向かうのは避けられないと思いますが、減るにしてもその程度は和らげることができるかもしれない。産みたいと思う人が安心して産むことができて、人口が減ってもみんながうまくやっていける社会を作るべきやと思います。
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岸田首相が「異次元の少子化対策」を最重要項目として掲げたことで関心が高まっている子育て世代への支援。東京都の小池百合子都知事や、大阪府の吉村洋文知事らが次々と独自の支援策を表明する中で、12年前から明石市長としていち早くこの問題に取り組んできた泉房穂市長の発言に、注目が集まっている。