1. 2022/11/16(水) 00:42:45
「その頃、家計は経済的に破綻を来していました。のべつ幕なしに飲んでいたので、事業がおぼつかなくなり、収入が激減したのです。彼女はそれなりに蓄えていたようですから、生活は何とかなっていました。でも、私に渡す余裕はありません。何より、金を渡せば確実に飲んでしまいます」
今度は、金をめぐる「イタチごっこ」が始まる。攻守所を変え、妻が金を隠すようになった。
「自分の家の金を盗まないことには酒が飲めません。彼女は盗人である私から金を守るために、見つかりにくい隠し場所に移しました」
やすやすとは見つけられなくなった男性は、ついに子どもの貯金箱に手を伸ばす。これは、親としての禁じ手だ。妻はこの時、逃げ出すことを決意したのだろう。
「家庭内には、『私』対『妻と子どもの連合軍』という構図ができ、孤立感が強まります。友人が1人去り、また1人去り、ついに誰もいなくなってしまいます。寒気のするような寂しさに襲われ、飲まずにはいられなくなります」
そのうちに男性は倒れて、精神科の病院に入れられる。
「精神科に入っても酒を飲む方法を算段しました。ひどい時は閉鎖病棟に入れられるわけですが、相棒がいれば閉鎖病棟にさえ酒を持ち込むことができました。もちろん、身体検査はされます。それをかいくぐって持ち込む手段をひねり出しました」
「同室の仲間と組んで、毎日のように酒を飲んでいました。さすがに深酒はできないこともあり、院内飲酒はバレなかったですね」
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筆者が話を聞いたアルコール依存症の本人や家族は13人だ。その中で、既婚者のすべてが離婚していた。