1. 2022/09/26(月) 12:49:20
当時は「健康保険にすら入っていなかったと思う」。高熱が出ても、部活動で足首をねんざしても、病院に行かなかった。母は下の弟を自宅で産んだ。「訳も分からず、出てくる頭を私が引っ張った」。リサはネグレクト(育児放棄)の犠牲者でもあった。
(略)
孤立無援の中、県立高校に進学した。1年生のある日、事態が一変する。どこで情報をつかんだのか、児童相談所職員が一家の元を訪れた。弟2人を児童養護施設に入所させることが決まった。
「大丈夫、大丈夫やから」。児相の事務所で、小学校に上がるかどうかの下の弟をなだめ続けた。守ってやれなかった-。無念さがこみ上げ、涙が止まらなかった。
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10歳下の弟のおむつを替え、ミルクを作る。ごみだらけの部屋に虫が這(は)う。母親はきょうもパチンコで、遅くまで帰らない-。十数年前、小学校の高学年だった20代のリサ(仮名)は、親の代わりに弟を世話する「ヤングケアラー」だった。