1. 2022/01/11(火) 16:15:26
■まずは担任の先生に相談を
わたしなら、わが子が転校したい(あるいは転校させたほうがいいと親が思う)なら、転校させます。逃げる・逃げないではなく、子どもにとってよい環境を探すことは非常に大事なことだからです。もしも子どもが「転校はイヤだ」とかたくなに言うのであれば、必要に応じて学校を休ませつつ、学校の先生と話し合いをします。
まずは担任の先生に、「Aくんに十分に目をかけてあげてください」とお願いします。この子はこれまでにも、さんざんしかられていることでしょう。親からはなぐられているのです。この子にいま必要なのは、精神の安定です。善意や好意や愛情です。それを担任の先生に注いでもらえるようお願いします。たとえば彼に用事を頼み、「力持ちだから助かるよ」などと、ほめる場面を多くつくってもらいます。
「なぜいじめっ子にやさしくしなくちゃいけないの?」と思われるかもしれませんが、いじめている子が不安定でストレスがたまっているうちは、問題は解決しないからです。幼児教育の現場では、友達に乱暴する子がいたら、真っ先に乱暴した子を抱きしめてあげるというやり方が効果を上げています。
出典:tk.ismcdn.jp
「聞き出す」のではなく、子どもが本音を言える状況をつくるということです。言わなければ、無理に聞き出すことはしません。
そして、わたしだったらAくんに「家に遊びにおいで」と声をかけると思います。彼と自分の子を連れて、休日に遊園地やサッカーの試合を見に行くこともすると思います。もちろん、しかったりすることはしません。できるならAくんの親御さんもいっしょに行きたいと思います。親同士のいい人間関係をつくることが、遠回りでもわが子にとっていい効果をもたらすことになるからです。
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児童精神科医として40年以上、多くの子と親に接し、惜しまれながら2017年に逝去された佐々木正美先生のメッセージはいまなお、多くの親たちを励ましつづけています。 『この子はこの子のままでいいと思える本』では、佐々木先生が一番伝えたかったことを、親御さんたちの悩み相談に答える形で伝えています。 本稿では同書から一部を抜粋・編集のうえ、お届けします。