1. 2021/05/27(木) 14:09:45
彼の運転は上手ではあったが、しかし他方であきらかに「傲慢」でもあった。黒く輝く大きな車体で周囲を威圧しながら、他の車にはけっして道を譲らず、むしろアクセルをさらに吹かしてどんどん追い抜いていった。横断歩道に歩行者がいたとしても一時停止することは絶対になく、そのまま加速してビュンと走り去ってしまうのだ(ご存知のとおりこれは道路交通法違反である)。
「もう少しゆっくり行っても良いのではないか。歩行者がいたら止まらないといけないわけだし」と、なかば諫めるつもりで私が提案したところ、彼はこともなげにこう答えた。
「こっちの方が時間当たりの生産性が高いのだからこれでいいんだよ。」
「自分が優先されたとしても、それは個人的に得をしたいってだけじゃなくて、社会全体で見たときにだって合理的なのだから問題ないと思う。」
――と。
ようするに、車を飛ばして自分の時間をわずかでも節約して多く確保することができたら、社会に提供できるリソースを生産する時間に回すことができるから、結果として自分を優遇することが、その他大勢にとっても旨味になって還元されるという理屈のようだ。
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高級車に乗るお金持ちほど運転マナーが悪い理由について、筆者が綴っている。筆者の知人は、時間当たりの生産性が高いという根拠で正当化していたと説明。優秀な人に特権を与えた方が、社会全体としては合理的との考えだったという