1. 2020/07/14(火) 23:13:58
元々2人とも子どもが好きだった。特に、おいっ子たちをかわいがっていた典子さんは、手術のことを知ってからめまいなどの体調不良に苦しんだ。一時は家出し、離婚も考えたが、家族からも説得され最終的には子どもを持つことを諦めて家に戻った。それ以来、夫婦は手術を「恥ずかしいこと」として誰にも話さず生きてきた。
訴訟に踏み切ろうと決意したのは、旧優生保護法を巡る最初の裁判となった仙台での提訴(2018年1月)のニュースを見てからだ。それまで、日常生活の中で多くの諦めや我慢を強いられてきたため、「『仕方ない』と思うことが習慣のようになっていた」と典子さんは振り返る。けれど「そうさせてきたのは、旧法を作り出した国であり、社会。私たちの裁判が障害者への差別を考えてもらうきっかけになれば」。両手のこぶしを胸の前で握って上下に動かす「頑張る」を表す手話で、力強く語った。
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旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強いられ、憲法が保障する幸福追求権などを侵害されたとして、共に聴覚障害のある福岡市の夫婦が国に計2000万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が16日、福岡地裁で開かれる。夫は結婚直前に何の説明もないまま不妊手術を受けさせられていた。手話で取材に応じた夫婦は「子を持つ夢さえ持てなかった。国がきちんと過ちを認めて謝罪してほしい」と訴えている。【山口桂子】