ガールズちゃんねる
  • 7. 匿名 2016/06/16(木) 16:36:40 

    夏休みに自転車でどこまでいけるかと小旅行。計画も、地図も、お金も、何も持たずに。
    国道をただひたすら進んでいた。途中大きな下り坂があって自転車はひとりでに進む。
    ペダルを漕がなくても。何もしなくても。

    ただ、ただ気持ちよかった。自分は今、世界一早いんじゃないかと思った。
    子供心に凄く遠いところまできた事を知り、一同感動。滝のような汗と青空の下の笑顔。

    しかし、帰り道が解からず途方に暮れる。不安になる。怖くなる。いらいらする。
    当然けんかになっちゃった。泣いてね~よ。と全員赤い鼻して、目を腫らして強がってこぼした涙。
    交番で道を聞いて帰った頃にはもう晩御飯の時間も過ぎてるわ、親には叱られるは、
    蚊には指されてるわ、自転車は汚れるわ。
    でも次の日には全員復活。瞬時に楽しい思い出になってしまう。絵日記の1ページになっていた。

    今大人になってあの大きな下り坂を電車の窓から見下ろす。
    家から電車でたかだか10個目くらい。
    子供の頃感じたほど、大きくも長くもない下り坂。
    でもあの時はこの坂は果てしなく長く、大きかった。永遠だと思えるほどに。

    今もあの坂を自転車で滑り落ちる子供達がいる。楽しそうに嬌声を上げながら。
    彼らもいつの日にか思うのだろうか。
    今、大人になってどれだけお金や時間を使って遊んでも、

    あの大きな坂を下っていた時の楽しさは、もう二度とは味わえないと。
    もう二度と、友達と笑いながらあの坂を、自転車で下る事はないだろうと。
    あんなにバカで、下らなくて、無鉄砲で、楽しかった事はもう二度とないだろうと。

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