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102. 匿名 2016/04/15(金) 00:36:41
>>101 続き
次に、現代の福祉国家は財政赤字に苦しんでおり、充実した社会保障を提供し続けるための潤沢なお金が手元にない。現実的には、財政赤字を放置することも、社会保障を一気にやめてしまうこともできないから、毎年国債を発行して将来世代に負担を付け回すとともに、取りっぱぐれる可能性の低い消費税を上げていく。要は取りやすいところから取るわけだが、取りやすいところというのが富裕層ではなく、中所得、低所得の一般的な人々になってしまう構造がある。社会のなかでの格差を減らすための社会保障であるはずなのに、その財源調達を逆進的な消費税に頼るという矛盾が起きているとも言える。
さて、現実的な解決策を考えるとはたと考え込んでしまうのがこの問題の難しいところだ。タックスヘイブンに対しては、OECDやG20などが名指しで圧力をかけているが、法的な拘束力はないので、いきなりタックスヘイブンがなくなることはない。また、各国の法的な対応として、タックスヘイブン対策税制や移転価格税制という法技術が開発され、用いられているが、すべての取引を適切に捕捉できているわけではなさそうだ。
タックスヘイブン問題は一国だけで解決できる問題ではない。ここを勘違いすると、よくわからない政府批判や国内メディアの批判をやることになる。政府の無能力が問題なのであって、できるくせにやっていないことが問題なのではない。ある国のなかで生み出された富の一部を吸収して再分配するという近代国家の資金環流モデルそのものに穴が空いてしまっている。その穴は国家の外側につながっていて、外側の世界は自分の思い通りになるわけではない。
構造としては、多国籍企業が途上国でたびたび引き起こす労働問題や環境問題に似ていなくもない。そうした問題について理解している人ならば、背後に途上国政府が問題を容認するインセンティブが働いていることがよくわかるはずだ。倫理的に容認できないように感じられることに対して、それを適切に取り締まるための法律も権力も国際社会には今のところ存在しないのである。
ピケティの弟子のズックマンは、『失われた国家の富』のなかで、タックスヘイブン問題への対策として、グローバルな金融資産台帳の作成と、それに基づくIMFによる資産課税(源泉徴収課税)を提案している。多国籍企業に対しては、それらが世界全体で得た利益を合算してグローバルに法人税を課すことを提案している。
もちろん、こうした提案はすぐに実現可能なものではないだろう。しかし、社会保障を中心に据えた福祉国家体制を放棄したくなければ、誰からどのように税を取ることにするか、そしてそのルールをどのように実現するか、それらを具体的に検討しなければならない。世界的な民主主義を担保するための具体的な制度は脆弱だが、結局そうしたグローバルな構造に潜む問題から、私たちの暮らしは大きな影響を受けている。
保育園問題も介護問題も、結局は財源の問題に行き着く。財政赤字や消費増税という現象の背景には、こうした国家の徴税能力の問題があるということは、理解しておいてよい事だと思う。
(2016年4月10日 HIROKIM BLOGより転載)
http://m.huffpost.com/jp/entry/9657348?utm_hp_ref=japan&ir=Japan
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