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497. 匿名 2016/04/05(火) 18:40:52
【ギリシア】
西洋では龍をドラゴンと呼ぶが、これは蛇を意味するギリシア語に由来する。
しかもこのギリシア語は「睨みつける」という語と近縁とされ、蛇の凝視行動との関連が指摘される。
ギリシャ神話には、龍と牡牛と月に関連する話がある。
テーバイ伝説である。
姉妹のエウロペが牡牛に化したゼウスに誘拐されてしまったので、フェニキアの王子・カドモスは父王によりエウロペの探索に出された。
しかし探し出すことができず、帰国を断念したカドモスは、「牝牛に従い、その伏した所に都市を建てるべし」とのデルフォイの神託を受けた。
カドモスが「月の徴のある牡牛」を連れて、後にテーバイとなる地に至ると、牡牛が横になった。
そこでカドモスは牡牛をアテナに捧げようとし、そのために必要な水を汲ませに従者をアレスの泉にやると、泉の番をしていた龍に殺されてしまう。
怒ったカドモスは、石で龍を叩き殺して復讐する。
そして女神アテナの命に従い龍の歯を播くと地中から戦士たち(スパルトイ、「播かれた者」の意)が出現し、テーバイの貴族の祖先となったという。
テーバイからは近年バビロニアの円筒印章が出土し、東方との交流のあったことを裏づけている。
カドモスにはもう一つの龍と牡牛にまつわる話がある。
エジプトの邪神セトと同一視されるテュポーンは、百の蛇の頭と火を放つ目をもち、腿から下は巨大な毒蛇がとぐろを巻いた形の龍である。
ゼウスがテュポーンと格闘した際に、テュポーンに鎌を奪われ、それによって手足の腱を切り取られてしまう。
テュポーンは腱を洞窟に隠しておいたのだが、カドモスは牛飼いに変身し、牧笛で龍に魔法をかけて腱を盗み出しゼウスに返した。
またカドモスに神託を与えたデルフォイにも龍伝説がある。
デルフォイは初め大地の女神ガイアの聖地で、ピュトンと呼ばれる大蛇に守られていたが、アポロンがこれを射殺して神託所を開いたといわれる。
この神話から、ギリシアの先住民の神々と龍との関係が示唆される。
アポロンが侵入するまで、ガイアの聖地は龍に守られており、ゼウスと闘った龍テュポーンはゼウスの妻の子でもあった。
また、アテナには蛇を産んだとか養育したという伝承が残されている。
これを裏付けるように、ミノア時代のクレタ島から、蛇を巻きつける女神などの塑像が出土し、蛇の信仰をうかがわせる。
荒川紘氏によれば、ギリシア半島には、蛇を守護神として崇拝していた人々がおり、そこに、前2000年ごろからゼウスを信仰するギリシア人が侵入し、先住民に崇拝されていた蛇は敵役を担わされた。
一方で、南のオリエントからは龍退治の神話が伝播、土着の蛇と外来の龍とが混淆したドラコーンが生まれた、という。
ギリシアのドラコーンが多頭の形態をとるのはメソポタミアの龍の影響であり、宝の守護神的な性格は、土着の蛇の血を受け継いでいるからであると推論している。
【新大陸】
新大陸にも龍が存在することが、石造彫刻や絵文書から知ることができる。
紀元前後からメキシコ中央高原に栄えたテオティワカン文明の神トラロックは蛇とジャガーからなり、その妻ケツァルコアトルは翼を持つ蛇であった。
四世紀頃から都市文明を築いたマヤ文明の神チャクも蛇身であった。
ユカタン半島の遺跡には蛇の造形が多数残されている。
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