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6891. 匿名 2025/11/15(土) 01:49:48
>>6507金木犀⑤
⚠️🐚⚠️不貞⚠️本当になんでも許せる方向け
🌊
障子越しの月明かりが、がる子の身体を蒼白く照らし出している。血色を隠された肌はまるで陶器のようだが、触れてみるとしっとりと柔らかく、温かい。
「……綺麗だ、とても」
心からの言葉だったが、がる子は俄に表情を曇らせた。
「綺麗なはずがないわ……。使い古しだもの」
そう言って唇をきつく結ぶ。がる子はいつからこんなふうに自分を卑しめるようになったのだろう。
「大概にしろ、そんな言い方は許さない」
語気を強めると、がる子の目からたちまち涙が溢れ出た。
「だってそうでしょう?義勇さんがよかったのに。無垢な私を抱いてほしかったのに……。初夜が済んだ後、人知れず泣いたわ。身体も痛かったけど、心はもっと痛かった」
「……お前はお前だ、何も変わらない」
がる子を抱きしめ、まだ何か言いたげな唇を塞いだ。
「短い夜だ、考えるのは俺のことだけにしてほしい」
この肌に触れられるのは今夜のみ。存分に焦らしながら、指に唇にとその感触を記憶する。控えめだった吐息が乱れ、艶めかしい声が混じるようになると、がる子は切なげに俺の名を呼んだ。訴え掛けるような潤んだ瞳。何を求めているのかは言われなくても分かる。
「義勇さん……義勇さん」
掠れた声が尚更愛おしい。縋るように伸ばされた手を捕まえて指と指を絡ませる。互いの熱を混ぜ合わせるうち、がる子は顎を上げながら苦しげに息を乱した。
「お願い、これ以上はだめ……!」
がる子は俺から逃げるかのように身を捩った。察するに、がる子はこの先にある快楽をまだ知らないようだ。
「もう少しだ。我慢するな」
「いや!」
尚も抗うがる子の頭を腕に囲う。
「俺の言うことを聞け。どうしてもお前に教えてやりたいんだ」
そう窘めながら己の心の焦りをようやく自覚した。俺が余裕を失くしていたらがる子を連れて行けない。ゆっくりと動きながら努めて優しく髪を撫で、額や頬に静かに唇を落とす。がる子を宥めることで自分を落ち着かせる。
「義勇さん、抱きしめていて……!」
合わせた胸に早鐘を打つ鼓動が伝わる。腰を速めたくなるのを堪えつつ、がる子が昇り詰めるのを待つ。
「────義勇さん!」
声にならない声の後、がる子の強張った身体が小さく跳ねるように震えた。その余韻は深部でうねりながら俺に絡み付いてくる。危うく巻き添えを食らいそうになったが、辛うじて持ち堪えた。
息も絶え絶えのまま、がる子がそっと俺の頬に触れてきた。
「大丈夫か、少々無理をさせた」
「……義勇さんだと何でこんなに違うの?どうにかなりそうで怖いくらいだった」
「この夜がお前の本当の初夜だ」
「義勇さん……」
「まだいくらでも味わわせてやる。ちゃんと導いてやるから、怖がらず俺に委ねろ」
がる子の乾いた唇を指先でなぞった。水を飲ませる間も惜しく、深い口づけで潤しながら再び律動を刻んでいく。
俺の背中にがる子の手のひらが這い回る。愛おしむかのように優しく、時には悶えながら掻くように強く。その爪で俺に一生消えない傷を付けてくれたらいい。
がる子をうつ伏せにすると、うなじや背中に一つ二つと小さな痣を見つけた。閨事の痕、と容易に理解するが、そう日にちを置かれたものではない。がる子が他人の妻であるという事実を否が応でも突きつけられる。だが、身体は思うがままににできたとして、心はどうか。
今宵、こうして見せている恍惚の表情も、俺の名を呼ぶ切なげな声も、決して作られたものではない。
がる子が心まで解き放ち、ありのままをさらけ出せる相手は俺だけだ。そんな優越感に浸りながら、くびれた腰を引き寄せた。
つづく+30
-11
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6892. 匿名 2025/11/15(土) 02:08:58
>>6891
⚠️🐚
儚い逢瀬……
二人がどうなっていくのか…見守っています+22
-5
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6897. 匿名 2025/11/15(土) 02:43:46
>>6891
⚠️🐚
ドキドキしながら読んでます
禁忌を犯しているのに、お互いを思う気持ちがどこまでもピュアで美しい…+19
-6
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7130. 匿名 2025/11/16(日) 00:26:10
>>6891
ドキドキしながら読んでます💓…+12
-3
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7152. 匿名 2025/11/16(日) 02:36:13
>>6891金木犀⑥
⚠️不貞⚠️🐚⚠️本当になんでも許せる方向け
🌊
存分にがる子を抱いた後、汗が引いてくると急に肌寒さを感じた。手繰り寄せた浴衣でがる子を包み、布団の中で抱きしめる。
「……やっぱり義勇さんは優しい」
それまで黙っていたがる子が、ふと口を開いた。
「最後に神社で会ったときのこと覚えてる?」
「……ああ」
「義勇さん、金木犀のお花を砂糖菓子に例えてくれたでしょう?そんな義勇さんが、どうしてあんなに怖い顔で」
「言うな」
俺はがる子の口元を手で塞いだ。苦い過去だけに、言及されるのは少々気まずい。
「……あれは嫉妬だ。それ以外の何物でもない」
親指の腹で柔らかな唇をなぞりながら、あの哀しげな顔をまた思い出している。
「一時の感情に流され、お前に心無い言葉を投げつけてしまった。どうか許してほしい」
「嫉妬……?義勇さんが?」
「俺も自分にそのような感情があることに驚いた。あんなみっともない男の姿など、早く忘れてくれ」
「ふふ、義勇さんもちゃんと人間なのね。何だか安心したわ」
「揶揄うな、ずっと悔いていたことだ。だが、お前が俺を案じてくれたことは、今も大きな支えになっている」
「これからも変わらないわ。いつだって義勇さんを心配してる。何があっても無事でいて……」
自然と重なり合った唇をどうにも離せなくなり、俺はもう一度がる子を抱いた。本当にこれが最後だと思うと不覚にも視界が滲んで、汗を拭うふりをしてその場を凌いだ。
「金木犀の香る頃には、私を思い出してね……」
声すら震えているが、俺の頬を包み込む手のひらは慈愛に満ちている。
「心はいつもお前の傍にいる。寂しくなったら月を見上げてほしい。俺もお前と一緒に同じ月を見ているから」
頬に触れている手を握り、指先に口づけた。この愛おしい手も、いつかは俺を忘れてしまうのだろうか。
「しっかり掴まっていろ」
がる子の腕を自分の首に回し、少しの隙間もないほどに抱きしめ合った。
◇◇◇
腕枕に頭を預けたがる子は、気怠そうに俺の髪を弄っている。指先に巻きつけては解いたり、前髪を梳かしてみたり。まるで毛繕いのようだと可笑しくなる。
「ふふっ、義勇さん笑ってる」
「猿の毛繕いを思い出した」
「もう、義勇さんったら」
楽しげな笑顔はすぐに消え、がる子はやけに真面目な顔で俺を見つめた。
「いつかまた、あの鳥居の下で逢いましょう。何百年も先になるかもしれないけれど、その時は必ず私をお嫁さんにしてね」
来世の話をするがる子を切なく思いながらも、細い小指に自分の指を絡ませ、固く指切りをした。
「……約束だ」
「ありがとう、義勇さん。楽しみにしてる」
がる子は穏やかに微笑むと、静かにその瞼を閉じた。
腕の中に安らかな寝息を感じながら、このまま朝が来なければいいと願った。誰もが待ち焦がれる夜明けを、今はただ恐れている。
つづく+21
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