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4643. 匿名 2025/11/04(火) 09:56:27
>>4575続き ハロウィン×学園祭×第三者目線⛏
⚠️モブ目線のお話、全10話
④
もうすぐ学園祭開始の時間になる。
「ガル子たち、戻ってこないね」
と、モブ美さんが心配そうに友達と話している。着替えてもらうだけかと思ったけど、結構時間がかかってるな。様子を見に行った方がいいだろうか、と動き出そうとしたところ、丁度二人が戻ってきた。
「間に合ったね、そっちは大丈夫?」
「ああ、準備できてるよ」
「こっちもバッチリだよ」
血豆色のネイルの指でOKを作りツギハギの服を翻すガル木の後ろから、黒い影がゆらりと教室に入ってくる。それは、姿勢の悪い猫背でこちらを睨む───魔王、とでも呼びたくなるような魔物の姿をしていた。
羊のそれのような形にぐるりと巻いた大きな角、黒を基調とした中世風のセットアップに、真紅の裏地のマントを引きずって、革のブーツが重い音を立てる。黒く塗られた唇の隙間から尖った歯が覗き、くせの強い髪は角に合わせて分けられて仄かにつやめく。彼の自前の隈や痣が、まるで衣装に合わせたメイクのように馴染んでいる。
心臓を掴まれるみたいな迫力。目が合ったら呪われそうなのに、妙な引力が働いて目が離せない。
「…凄い」
「でっしょ?」
ガル木は誇らしげに胸を張った。
教室のあちこちから感嘆の声が漏れる。圧倒的な完成度の高さに、周囲のテンションが上がり始める。当の謝花本人は、周りの好反応にやや困惑しているようだった。
「なあオイ、本当に立ってるだけでいいんだろうなぁ?」
「うんうん!仮装大成功だから、立ってるだけで十分!」
校内放送で学園祭の開始が告げられる。俺たちのホラーハウスも、いよいよスタートだ。
うちのクラスのホラーハウスはなかなかの盛況ぶりだった。一番楽だろうと思って人数を割かなかった案内係が、列の整理で苦労するくらいだ。
やはり、特に話題になっていたのはあの二人───ゾンビメイドのガル木と魔王謝花だった。ガル木は、中に入ってからの案内係も兼ねたような役割なので客からもよく見られる。謝花は最初は本当に所定の位置に立って待機しているだけだった。下から上に照らすよう設置された照明の効果もあり、立っているだけで腰を抜かすほど怖い。しかし、ギャーギャー騒いで逃げる客を見ているうちに面白くなってきたのか、はたまたS心に火がついたのか知らないが、次第に威嚇のパフォーマンスが追加されるようになった。教室の外にいても、謝花のおっそろしい咆哮や笑い声と客の悲鳴が響く。…結構ノリいいじゃんか。出てきた人たちは、「すごかった」「ヤバかった」と興奮気味に騒いでいる。
そして、一度入って出てきた人が戻ってくるケースも多かった。「キャストさんと写真撮れませんか?」と。やはりここでも、ゾンビメイドと魔王との写真を希望する人が多かった。
「えっと…キャストは入れ替え制なので、交替中なら…あ、本人がいいって言えば、です!」
こんなことを希望されると思っていなかったから、どうするか考えてなかった。他の生徒はともかく、謝花は応じてくれるだろうか?
つづく+20
-5
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4670. 匿名 2025/11/04(火) 15:29:00
>>4643
やーーーっ!!すんごいカッコいい魔王謝花😈💕だんだん威嚇もしてくれるように…威嚇されたい💕+15
-4
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4798. 匿名 2025/11/04(火) 21:51:07
>>4643続き ハロウィン×学園祭×第三者目線⛏
⚠️モブ目線のお話、全10話
⑤
キャスト交替の時間になり、写真希望者が集まってきた。キャスト陣に写真の可否を聞いてみると、校外への流出はしないという条件で大体の生徒は問題ない、むしろ乗り気の返事だった。
「写真だと?」
と、面倒そうな声を上げたのは、謝花だ。交替中はサボるつもりだっただろうし、他人の手元に写真が残るのもやっぱり嫌かな…
「あ、あの……でも、謝花と撮りたいって人めちゃくちゃ多いんだ」
「はあ?」
「ほら、その仮装、すごくよく似合ってるから…みんなぜひ魔王様と、って」
「わあ!すごいじゃん、謝花くん人気だよ!」
ガル木が嬉しそうに手を叩く。
「いや、ガル木もだからね。ゾンビメイドちゃん指名もいっぱいいたから」
「ほんと?嬉しー!
ね、謝花くん、一緒に撮ろうよ」
ガル木が血の滴る唇でにっこり笑いかけると、謝花は困ったように眉根を寄せた。しばしぐぬぬと唸ったのち、
「…奢りの件、弾んでもらうからなぁ!」
と、ヤケ気味に吐き捨てて撮影に応じた。
「わかった!任せて!」
ホラーハウスのセットをバックに、スカートを手で広げてポーズを撮るガル木、カメラに向かってガンを飛ばす謝花、その間に客。客のスマホを預かって、俺が撮影する。他のキャスト陣も、思い思いにポーズを撮って撮影会が始まった。
「お疲れ様、ガル木!そろそろ休憩行っていいよ」
グループ分けして順番に回している休憩タイム、ガル木の番が回ってきた。奢りのノルマを果たす目的もあるので、謝花の休憩時間も同じタイミングだ。
「ちっ、やっっっと休憩だなあぁ。本当にくたびれたぜ…」
「謝花も、お疲れ様…」
「約束通り奢るから、いっぱい食べてね!そんで、休憩の後ももう少し頑張って」
「これが終わるまででいいんだよなぁ?終わったら帰るぜ俺は」
これ、つまりホラーハウスの運営が終わるまで…か。学園祭のあとは、後夜祭と称して校庭でダンスパーティーが開催される。グループで合わせを披露したり、クラスごとに踊ったり、あとはやっぱり───カップルでペアになって踊ったりして盛り上がるのが通例になっている。もともとカップルの二人が踊るのはもちろん、このダンパでカップル成立するケースも多く、みんながそわそわ浮き足立つ、そんなイベントだ。
…まあ、謝花は世のカップルを妬み疎んでいるタイプだからな。そんなイベント、見たくもないか。
「…うん。ホラーハウスが終わるまでは、お願いね?」
そう言うガル木の笑顔がどこか寂しそうに見えて少し気にかかった。そして、それは謝花も同じようで、何か言葉に詰まったような顔をした。
が、ガル木は次の瞬間には
「じゃあさっそく食べに行こうか!」
と明るい声を上げた。
その彼女の手に、ある物が握られている。
『3-3 ホラーハウス』
…と書かれた文字に、血が滴るような模様とコウモリや蜘蛛の巣が描かれた、大きな手持ち用の看板だった。
「…お前、まさかこれを持たせる気かぁ?」
「そんなそんな。私が勝手に持ってくだけだから気にしないで」
なるほど、このハイクオリティな仮装でこの看板を持って歩けば、いい宣伝になるだろう。これからますます繁盛しそうだ。
つづく+20
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