ガールズちゃんねる
  • 630. 匿名 2024/04/12(金) 22:01:50 

    >>482
    【お題】己の趣味に全振り

    特殊な設定や攻めた🐚のお話など、自分にはとても刺さるけど他人には受け入れられないかもしれない……そんな趣味に走った作品を載せてみませんか
    自萌え優先上等✨
    トピのルールは守った上で、⚠️注意書き必須でお願いします

    +39

    -3

  • 1150. 匿名 2024/04/13(土) 21:25:21 

    >>783闇病み⚠>>630趣味に全振り⚠
    ⚠解釈違い⚠🎴全6話「油断しないで、先輩」
    ※何でも許せる方向けです

    今日は職場の新人歓迎会。
    本格的な忙しさを前に社員の士気を高めようという事で各部署の皆で居酒屋に集まった。

    「俺が注文取りますよ。皆さん飲み物何がいいかお願いします!」
    入社して3年目を迎える竈門君の声だ。
    ビールだのチューハイだのと言ったアルコールに加え、ソフトドリンクの声もチラホラ上がる。
    「先輩は?」
    「私はレモンサワーにしようかな」
    「わかりました。──すいませーん!」
    皆の注文を取りまとめた後、よく通る声で素早く店員さんに声を掛ける。
    「…飲み物は以上で!あと串焼き大皿と、とりあえずサラダ2つ、刺身の盛り合わせなんかもありますか?」
    竈門君はさらに皆で食べられそうなメニューも追加で注文していく。本当に気が利く後輩だ。
    「ねえ炭治郎、私ピザも食べたいな」
    「わかった」
    彼と同期のモブ崎さんが親しげに竈門君に話掛ける。二人の距離は近い。
    (仲良いんだよね、2人。こうしてるとカップルみたい)
    じっと見る訳にいかず、私はそっと目を反らし隣の同僚に話掛けようとした。すると…
    「先輩は何か食べたいものあります?」
    と笑顔でメニューを渡される。
    「あ、えっと…さっき竈門君が注文してくれた分でとりあえず大丈夫だよ」と慌てて笑顔を返した。
    「そうですか。あっ、飲み物来ましたよ!」
    店員さんが人数分のドリンクを運んできてくれた。
    彼や後輩たちがそれぞれ飲み物を手渡してくれる。私の手元にもレモンサワーがまわってきた。
    すると、おもむろに上司が立ち上がった。
    『入社おめでとう!そして新年度もより一層みんなで頑張りましょう。それでは───カンパーイ!!』

    あちこちのテーブルで、グラス同士がカチャカチャッと軽快な音を立て、店内はさらに賑やかになるのだった。


    つづく

    +31

    -5

  • 1201. 匿名 2024/04/13(土) 22:10:38 

    >>630趣味に全振り⚠️🐚⚠️解釈違い🌫

    ご奉仕させて!①

    「わぁ! すっごく良く似合ってるよむいくん!」
    目を輝かせて言う私とは対象的に、むいくんは己の姿に憮然とした様子だった。
    「こんなの生き恥もいいとこなんだけど」
    鏡越しにじろりと睨まれ、少したじろぐ。
    でもだめだめ。
    そんな可愛いメイドさんの格好で凄まれたって、こわくないんだから──!

    時は新歓活動真っ盛り。うちの大学も例に漏れず、各サークルが新入生争奪戦で鎬を削っている。
    そんな中、将棋同好会のむいくんがなぜ冒頭のように生き恥を晒す羽目になっているかというと……。
    同好会からサークルに昇格するためにはまず人数が必要ということで、むいくんの先輩たちが客寄せパンダだとして彼に白羽の矢を立てたからだった。
    イケメンのメイド姿はさぞ目を惹くであろうという短絡的な計画だった。
    当然むいくんは断る。
    しかし、そこを彼女の君が何とかしてくれと私が彼の先輩に泣きつかれてしまい、説得を試みることになったのだった──。

    「どうして同好会とは無関係の君がそんなに躍起になってるのさ」
    「そ、それは、むいくんの先輩にお願いされたからで……」
    「君にも何か下心があるんじゃないの」
    ギクッ!
    ままままさか、私もむいくんのメイド姿が見たいだけだなんてとても言えない。
    言えないけど、バレてはいそう……。
    「なに、僕にご奉仕でもされたいの?」
    「えっ、それはされたい……いやいや、そういうわけでは」
    いけない、つい本音がまろび出てしまう。
    そこで少し考えた様子を見せたむいくんは意外な言葉を口にする。
    「──いいよ。着てみる」
    「いいの!?」
    「承諾したわけじゃない。試着だけだ」
    てっきりけんもほろろにされるかと思いきや、なぜか意外にもこうしてすんなり最初の関門は突破できたのであった。

    とはいえ不本意に変わりなかったようで、着替えた後もむいくんは相変わらず仏頂面のままだった。
    でもそんな顔してても可愛い……!
    「そのメイド服、クラシカルで装飾が少ないしスカート丈もロングだから着やすいでしょ?」
    決して嘘ではない。
    しかしこのタイプは黒髪ロングヘアの彼には却って似合いすぎていて、ミニスカver.よりも妖しい魅力炸裂となっていた。
    「ねぇむいくん。せっかくだからお化粧もして──」
    ……めちゃくちゃ睨まれてしまった。
    「せめてリップだけでも……」
    私もめげずに食い下がってみる。
    むいくんはお肌が綺麗だからリップだけでも映えると思うんだ。
    「だったら君のを分けてくれればいいよ」
    「え、私の?」
    聞き返している間にむいくんは私の顎を掴むと、いきなりキスをしてきた──!


    (つづく)

    +32

    -6

  • 1205. 匿名 2024/04/13(土) 22:11:25 

    >>630趣味全振り&>>804不適切
    💃お題ありがとうございます💃

    実弥先輩🍃と不適切なガル子📚

    ⚠️🐚⚠️不適切⚠️チョメチョメ
    ⚠️解釈違い⚠️メタ⚠️己趣味全振
    ⚠️他マンガ他ドラマネタ有⚠️ガル子癖強

    第一話
    「ねぇー先輩!もう1回言ってください!お願いしますー!」
    「あァ?もう10回目じゃねえか!仕方ねえな…

    『こんなんじゃ俺の体温が上がらねェだろォ!』

    ほら、言ったぞ。次から1回100円だからなァ」

    その言葉を聞いた私は無意識に財布を取り出し迷わず1万円札を抜いて先輩の手に握らせていた。自分でもビックリするぐらいスピーディかつスムーズな動作で。
    その1万円札を握りしめた先輩が目を見開いて冷や汗をかきながらドン引きしている。
    「…ガル子ちゃん…これ…100 回言えってことかァ…!?」
    「次はミュージカル調で言ってください!」
    「なんなんだよ!ミュージカル調ってェ!!!」

    べしィ!!!(1万円札を叩きつける音)


    実弥先輩と同棲を始めて3ヶ月​───
    私は先輩との目的を見失っていることに気付いた───

    ​───そう。私の目標は先輩の「バーニャ!!!」(堂々としたキメ顔の裸)を見ることだ​────

    もちろん付き合っているし同棲もしているのだからなんだかんだ紆余曲折山あり谷ありだったが先輩とのチョメチョメは経験済みだ。
    チョメチョメ経験済みなのに先輩の裸を拝んでいないなんておかしい。しかしその事実は私の失言のせいである。初めての夜、私は純情ぶりたいが為に明るいのが恥ずかしい、電気を消して欲しいと渾身の汐らしげな演技でお願いしてしまったのだ。
    すると先輩はフッと優しい笑みを浮かべ部屋のライトを消し、間接照明も消し、遮光カーテンをしっかり閉めて一筋の光も入らない漆黒の闇を作り出したのだ…。
    それ以来ことに及ぶ行為は闇の中で行われた。
    なにこれ…暗闇プレイ?胸筋はおろか顔すら見えない。気配と手探りを頼りに求め合い、暗闇の中お互いの押し殺したような吐息だけが耳を掠める。これはこれで趣……んなわけあるかい!!

    裸が見れないチョメチョメなんて…真のチョメチョメって言えるの!?こんなのおかしい…!視覚的刺激もチョメチョメの重要なエレメントなのよ!先輩にキラキラエフェクトかけたい(脳内で)!絶対に煌々と明るい場所で先輩にバーニャ!!!させるんだから!!!

    続く
    (※ガル子が言っているバーニャ!!!と実際のバーニャは異なる可能性があります)

    +34

    -12

  • 1264. 匿名 2024/04/13(土) 23:05:40 

    >>630お題「趣味に全振り」
    ⚠️🐚ワードあり
    ⚠️何でも許せる方向けです

    【意識しすぎですよ★煉獄さん!】①

    俺は今そわそわしている!
    今日はかねてよりお付き合いをしていた最愛のガル子と祝言をあげたのだ!
    むぅ!花嫁衣装のガル子は言い表せないほど綺麗だ🔥
    こんな素敵な人が俺と生涯を共にしてくれるなどいまだに信じられん!

    して、祝言と言えばあれだ…
    ずっと耐えてきたが、やっとあれだ…ゴホンッ、初夜だ!
    その事で頭がいっぱいで俺はそわそわしている!
    いや先程までは純真にガル子の晴れ姿に心を奪われ、ガル子が妻になる事を実感し感激していた…その心に嘘偽りはない!
    だが刻一刻と夜に近づいていると思うと…俺も男だからな!意識してしまうぞ!まだ昼過ぎだがな!

    「大丈夫か?疲れてないか?」
    慣れない衣装に身を包み、緊張もあったであろう妻を気遣う
    「ありがとうございます、杏寿郎さん。大丈夫ですよ。それより……脱がせてくれませんか🥺?💗」

    ……………むぅ?
    ……………むむぅ??
    ぬ、脱がせてくれだとぉぉぉ!?!?
    大胆だな、ガル子!そんなとこも好きだ!
    いやしかしまだ昼だぞ?いや俺も今にでもそうしたい気持ちは山々だ!
    いいのか?もういいのか?いや待て、やはりまだだめだ!
    「ガ、ガル子!俺も同じ気持ちだが、まだこれからご近所の方への挨拶回りもあるし、その、なんだ、今はまずくないか?」
    よし!なんとか紳士を装えたぞ、偉いぞ俺!

    「え?何のことですか?さっきからコバエが飛んでいて💦良かったら“逃して”くれませんか?って言ったのですが……💦」

    むぅ!なんと!全く俺の聞き間違いであった!
    穴があったら入りたい!!

    俺はそっとコバエを包み込み外へ逃してやった


    つづく

    +46

    -8

  • 1327. 匿名 2024/04/14(日) 01:34:21 

    >>630お題 己の趣味に全振り
    ⚠️久しぶりに覗いて滾ったので書き殴りました
    ⚠️💎悲恋?遊女ネタ
    誤字脱字ご容赦下さい


    いつか桜の樹の下で


    吉原遊廓の一角にある中堅の置屋、私を指名した美丈夫の男はその夜私に触れる事なく、それから時折ふらりと訪れては私を指名するようになった。
    朱塗りの盃を片手に、他愛もない吉原の噂話にふけり、時に開け放った格子戸から天を眺め満天の星空を肴に一献傾ける。粋な遊びをなさる風変わりな御仁なのだと、初めはそう思っていた。
    些細な違和感、普通ならば流していまいそうなそれに気づいたのは、私の心にほんの少しのゆらぎが生じ、この御仁の事を知りたい──そう思ってしまったからなのだろう。

    それからは男が知りたいであろう置屋の噂話を会話に交え、男が夜空に視線を投げた時には口を噤む。男の目的が私ではない事は最早明白であったが、私はこの時間が心地よかった──それが長くは続かなくとも。

    この吉原では人が消えることは日常茶飯事、しかしながらそうであるが故に違和感を覚える事もある。この男はきっとその違和感に関わりがあって吉原に来ており、それを私が知らぬふりをしている事も承知の上で、私の元へ通っているのだろう。

    一度だけ、ここを出たくはないのか─と、さらりと問われた事があった
    「行き場のない籠の鳥は、逃がしてやっても舞い戻るのが関の山でありんしょうな」
    一瞬の呆れ顔の後に「違いねえな」と哀しげに笑った男の瞳には、自由を知らぬ女への憐憫が滲んでいた。

    ある夜、吉原が轟音とともに焼け落ちた。それはもう上を下への大騒ぎで被害者も多数出たらしい。男はその事件以来ぱたりと姿を消し、私もまた吉原の再建ととも変わらぬ日々に身を委ね月日が流れる。
    東京の街で建物がいくつも倒壊したらしいとの噂を耳にした時、あの日焼け落ちた吉原と男の姿が脳裏に浮かんだが、それも日々の喧騒にかき消されていった。

    桜が満開に咲き誇る吉原。揚屋へ呼ばれて上がった座敷の障子を開く。そこにはいつぞやほんの少し、心を揺さぶられた男が座っていた。

    「相変わらずの別嬪ぶりだな。今は太夫とは大したもんだ」
    あの頃と変わらない調子に私も合わせる
    「主さんは、前より男前が上がりんしたなあ」
    男に何があったのか、あの夜の現場にこの男が居たのかなぞ知る由もなし──
    「当たり前だ、俺は派手を司る祭の神だからな」
    隻眼隻腕となっても前と変わらぬ、いや、前以上に──
    風と共に舞い込んできた桜の花弁が床に散る様を一瞥し、男は告げた
    「あんたには、いずれ詫びようと思っていた」
    遊郭に通いながらも手を付けなかった事を、女の矜持を傷つけたと思っての事だろうか。
    「詫びて頂く事など露程もござりんせん。主さんにとってもあちきにとっても、数多ある過ぎた夜のうちの一つにござりんす。さあ、まずはご一献」
    盃をと促す。盆の盃を手に取り差し出してきた男の表情からは心を読み取ることは出来ず、その夜も私に触れることはなかった。

    談笑し、時に沈黙を楽しみ、やがて空が白み始めた頃
    「ここを、出る気はあるか?」
    前回とは違い真っ直ぐ、真摯に問われた。
    この瞳に、遊女としての嘘はつきたくない、真の心で応じよう。
    「行く先があれば籠の鳥も生きられんしょう 」
    男は沈黙で続きを促す
    「…三千世界の烏を殺し 主と朝寝がしてみたい これが私の真の心。ただし今生ではなく、その先の世で──」
    夜の内に舞い込んだ桜の花弁を一つ拾い、男に差し出す。

    「いつか満開の桜の樹の下でお会いしんしょう。主さんとは客と遊女としてではなく、ただの男と女として会いとうござりんす」

    日が昇り、客と遊女の時間が終わる。

    +45

    -8

  • 1792. 匿名 2024/04/14(日) 22:26:47 

    >>630>>532趣味全振り&書きたい所だけ
    ⚠解釈違い⚠💎🍶 「花見」
    死を連想させるお話※何でも許せる方向け※


    (今年も満開か。何も世話してねえのに…よくこんなに咲くもんだぜ)
    庭に見事に咲き誇った桜の木。
    縁側で一人、風に舞う花びらを見るともなしに見ていた時、背後に人の気配がした。

    「勝手口が開いていたぞ。不用心だな」
    「…あぁ、なんだ、煉獄の旦那か」
    僅かに首を傾け、一瞥した。
    時期は異なるが、かつては鬼狩りとして闘い、最終決戦では産屋敷邸を共に守った同志でもある。

    あれからもう、かなりの年数が経った。

    多くの尊い仲間を失い、決戦の後も自分より年若い連中が次々と先に逝くのを見送り、つい半年前には病で、女房までも先に弔う羽目になってしまった。
    俺も、あとどれくらい生きられるのか──
    もう昔ほど無理が利かない身体だ。この世界に未練も執着もない。何より、愛する人を先に失った悲しみはまだ癒えそうにない。

    「見事な桜だ」
    「そりゃどうも」
    「花見でも誘おうかと思って来たんだが、ここで充分だな」
    「俺と旦那の二人で花見なんて、辛気臭くて行けるかっつうの」つい笑ってしまった。
    「まぁ、そうだな」
    柔らかな笑みを称えながら隣に座ると、仰々しく風呂敷を広げた。
    「酒と、これは息子が持たせたものだ」
    重箱を開けると色とりどりの惣菜が並んでいる。
    「兄貴の方も気遣いが出来る奴だったが、弟もこういう所がよく似ている。元気にしてるのか」
    「あぁ。お前を心配していた」
    「…別に、心配なんかいらねえよ」
    「そうか」
    酒盃を手渡された。わざわざ持ってきたようだ。
    酒が注がれると、風に乗った花びらが一つ、揺れる水面にゆらゆらと浮かんだ。



    おしまい

    +37

    -6

  • 2773. 匿名 2024/04/16(火) 21:54:43 

    >>630 己の趣味に全振り >>1925 あのお話の続き(15からの続き)
    >>3494part11の続編です。(元コメの)モブ木君は前回⑪話、ブラウニー要望書の送り主... | ガールズちゃんねる - Girls Channel -
    >>3494part11の続編です。(元コメの)モブ木君は前回⑪話、ブラウニー要望書の送り主... | ガールズちゃんねる - Girls Channel -girlschannel.net

    女子の女子による女子のためのおしゃべりコミュニティ。女子の好きな話題にみんなでコメント、みんなで投票して盛り上がれる匿名掲示板「ガールズちゃんねる」へようこそ。


    ⚠️解釈違い⚠️何でも大丈夫な方向け⚠️時々(前回○話)という参照が出ます。苦手な方すみませんがスルーお願いします。

    続・欧米岡君とガル子🌊⑨
    「虹の端には」

    学生生活も残り数ヶ月となったある日、学校から彼と一緒に帰っていると雨が降ってきた。それがすぐに止むと、空に虹が架かっていた。

    私「見て、虹!」
    「綺麗だな」
    私「ほんと綺麗だね」
    「ガル子、虹の端には何があるか知っているか?」
    私「なんだろう。そもそも虹に端ってあるの?」

    「(あるのか俺も知らないな…まあいいか)そこには金貨がザクザクあるんだ」

    金貨がザクザク?…海賊映画によく出てくる金貨財宝が盛り盛りでギラギラしてるあれかな

    「と…冨岡」

    「なんだ」
    「…これで足りる?」
    私は持っていたエコバッグを広げて見せた。

    「何がだ」
    私「それって、開けたら財宝がジャラジャラ出てくる宝箱のことだよね?(…ゴクリ)このエコバッグに入りきるかな?」

    それを聞いた冨岡はフフフと笑った後、真顔に戻り言った。

    「足りないな」
    私「え!」
    「それでは全く足りない。そのいつも背負ってる大きなバッグなら入るかもな。
    中身を全部捨てたらの話だが」
    私「えぇ………ちょっと中身を選別するから待ってて」

    そうしてバッグの中身をガサゴソしている間に虹は消えた。

    帰り道で聞くと、いろんな言い表し方があるそうだが虹の端には「a pot of gold」があるのだそう。見果てぬ夢という意味もあるとかなんとか…

    a pot of gold …金の壺…略して金壺…虹の端に金壺か…それもまたいい…

    冨岡、君となら見つけられそうな気がするよ。一緒に探しに行こうよ、金壺を

    続く

    +31

    -9

  • 2853. 匿名 2024/04/16(火) 23:27:24 

    >>630⚠️己の趣味に全振り>>591推しと食べる⚠️悪い悲鳴嶼部長

    私の口によく磨かれたナイフを突っ込んで、部長が楽しそうに微笑んでいた

    「噛んだら駄目だ。」
    舌の上に置かれた小さな肉片が、体温で溶けていく
    「まだ。」
    溶けた甘い脂が舌に絡んでいく
    「まだ─────よし。」
    その合図で肉片を舌と上顎ですり潰して飲み込むと、あまりの美味しさに体と脳とが痺れるのがわかった
    部長が私を見て満足気に目を細めた

    「今年一番の肉だ。これが入荷したと聞いたから連れて来たんだ。君に食べさせたかった。」
    店の支配人が小さな皿に載せてうやうやしく運んできた特別な肉の特別な部位を、部長は大きな手で器用に小さく切り分けて、ナイフの先に少しずつすべての肉片を載せて、私に食べさせた。

    完全個室の店の一室で、1ポンドの血の滴るような赤いステーキが、優美ともいえる切り分けで次々と部長の口に消えていった。私の口に入れていたナイフはそのまま使っている。
    小さなステーキを食べていた私をあっという間に追い越して、ワインの残りを飲み干す。このあと食後酒まで来るらしい。

    「昼からよく飲みますね」
    「合うから仕方ない」
    悪びれもせず悠然として昼から酒池肉林を楽しむ部長を、私はほとんど感嘆していたのだった

    デザートにはマスカットのパフェが出てきた
    店は甘いものが苦手だと知っているのだろう、部長の前にデザートは無く、食後酒だけが置かれた。彼はそれを、狩りを終えたライオンのようにゆったりと飲んでいた。
    時々穏やかな視線を向けられ、私は一人でもそもそとパフェを食べた

    「む、それはシャインマスカットか…」
    視力の悪い部長が眉を顰めて私の手元を見る姿が少しおかしかった
    「お好きなんですか?どうぞ」
    「ありがとう」
    スプーンを渡そうとした私を待たずに指先でマスカットを摘まんで食べたので、さっきまでの完璧なテーブルマナーを披露した部長とのギャップにドキマギして誤魔化すように茶化した
    「けっこう、お行儀悪いんですね」
    「孤児だからな」

    突然爆弾を放り投げられて、こういう事に驚いては失礼だとは思ったけれど、自分でもわかるくらいに目を見開いて手を止めてしまった。

    部長がテーブル越しに長い手を伸ばしてパフェのクリームを人差し指で掬いとりながら言う
    「作法は知っておくだけでいい。私は本当は、好きなものを好きな時に、好きなだけ、好きなように食べたいんだ。
    好きな女性と。」
    ほんの少し舐めて、また眉を顰めてみせた
    「…うむ、やっぱり甘過ぎるな。」

    唇に、クリームのついた武骨な指が突きつけられる。
    「食べてくれ」
    冷たく見下ろしながら、低く甘やかな声で囁いた
    この人は飢えていて、デザートは私なのだ

    「旺盛ですね」
    店員はしばらく部屋には来ないのだろう
    私は安心して彼に私を差し出した

    +30

    -11

  • 2874. 匿名 2024/04/16(火) 23:48:06 

    >>630 ⚠️己の趣味に全振り
    ⚠️🔥

    「魔法の手」
    1.

    7時から8時前まで出勤前の人や学生さんたち、12時を過ぎると近くの会社に勤めている人たちや見慣れない人は通りすがりの人
    駅から近い定食屋
    開店して半年、常連さんも増え店の切り盛りも慣れてきた初めての春だった

    慌ただしい時間が過ぎ、もうすぐかなと時計を見ていると扉が開き、顔を見せるのは朝と昼の常連さん
    「いらっしゃいませ」
    カウンターにお茶を出し調理に取りかかる
    「お待たせしました」
    今日の昼定食はミックスフライ、青菜の小鉢、赤だし
    毎回2人前を注文されるので少し多めに出しているけれど、「うまい!うまい!」と完食されている。美味しいと言われることは、私には一番嬉しい言葉
    体力的な仕事をしているような服装でもない、ジムで鍛えているのか体型を維持しているのは羨ましい

    「随分と髪が伸びたな」
    「わかりますか?」
    「あぁ。だが、手入れはできている」
    髪はひとつに結び、伸びた前髪が邪魔で斜めに流してピンで留めていた

    「ありがとうございました」
    お会計の後に渡された名刺
    「宣伝だ、都合のよい時間に来るといい!」

    宣伝?
    名刺には店の名前と電話番号、HPのURL
    "スタイリスト 煉獄杏寿郎"

    常連さんには密かにニックネームをつけて、それに合わせて食事を出していた
    うまいさんの名前と職業を初めて知った私は、店を閉めてからHPにアクセスして休業日に合わせて予約を入れた

    +27

    -9

  • 4387. 匿名 2024/04/19(金) 23:50:55 

    >>630
    ⚠️己の趣味に全振り
    🔥🐚制服
    1/3

    この部屋で同僚の煉獄先生と同棲してもうすぐ二ヶ月。

    「君に着てみて欲しい服があるんだ」

    彼がそう言って持ってきたのは、臙脂色のスカーフがついた、コスプレ用と思われる紺色のセーラー服と、紺色のハイソックスだった。
    うちの学校のスカーフは黄緑色だが、それ以外はこのセーラー服と靴下そっくりだ。

    「え…これ…何?」

    「驚かせてすまない。……実は、ここに住み始めてからずっと悶々としていたことがあってな……この部屋には階段があるだろう?」
    「うん…」

    ここはメゾネットタイプのアパートなので、室内が階段で1階と2階に分かれている。

    「その…ガル子はスカートをあまり履かないだろう。履いてもロングスカートだ」
    「…そうだね」

    「ガル子はロングスカートが似合う!いや、何を着ても似合う!!…だから……一回だけでいいから、これを着て、その階段を上って……だめだろうか?」

    彼の顔が次第に赤くなる。

    「…何がしたいか何となく分かったけど……ねえ、学校でもそんな事考えてるの?」

    「いや!学校では決して、決して邪な目で女子生徒を見てはいない!階段で見えそうな生徒を見掛けたら、急いで背後に立って、男子生徒たちに見えないようにしている!」

    「ふーん、、スカートを見てはいるんだ。優しいんだか邪なんだか…」
    「きょ、教師としての務めだと思って許してくれ…」
    「なるほどね…」

    「…だが……正直に言うと、こんなこと思ってはいけないと思いながらも、見えそうな女子生徒をガル子に置き換えて、一人でしてしまう夜も…たしかに…あった…」

    彼の顔が更に赤くなる。

    「…分かった。今回は許す。待ってて、着替えるから」

    着替えのためリビングのドアを閉めた私はドキドキしていた。

    ─まさか、彼も私と同じ事を考えていたなんて。

    +21

    -20

  • 4399. 匿名 2024/04/20(土) 00:00:39 

    >>630
    ⚠️己の趣味に全振り
    🔥🐚制服
    2/3

    許す、なんて言い方をしてしまったが、本当は嬉しい興奮で心臓が飛び出そうだ。

    ただ……彼に渡された制服のスカートは思っていたよりかなり短く、久しぶりに露出した足、特に太股の太さに悲しくなる。
    彼の前に出て行くのが恥ずかしくなってきたが、えーい!気にしない気にしない!!

    ガチャ…

    「ねえ、もう制服似合わなくて悲しくなるー!…って!え!?杏寿郎さんも着替えたの!?キャー!!」

    目の前には、白いYシャツを腕捲りし、赤いネクタイ、黒いスラックス姿の彼。
    いつも学校で見ている歴史教師の彼の姿。

    でも今日は品行方正な教師ではない、ただ私の制服コスプレ姿と、恐らくその中の下着が見たい、ただの「男」だ。

    付き合って一年ほど経ち、やっとスーツ姿も見慣れてきたのに、こんな風に不意打ちで現れると、格好良すぎてクラクラしてくる。

    「驚いたか?この方が盛り上がるだろう!」
    「これは反則ー!!もう恥ずかしすぎなんだけど!私似合ってないし」

    「そんなことない!物凄く可愛いぞ!そしてそそられる!!」
    「やだ、先生…あ、その服着てると「先生」って呼んじゃう。恥ずかしい」
    「どんどん呼んでくれ。今日ガル子は俺の生徒なんだからな」

    「その生徒の…が見たいの?」
    「む…改めて聞かれると恥ずかしいが…見たいな」
    「いいよ…煉獄先生なら♡」
    「もう堪らないな…」


    「上るよ?」

    一段一段階段を上っていくが、 彼と私の身長差もあるのでなかなか見えないようだ。
    彼はスカートを覗き込むようにはせず、あくまで普通に立った状態で見たいらしい。

    そして、私が階段を上りきった時─

    「み、見えた……白、か!?」
    「そうだよ♡」
    「驚いた…白は初めてだから」

    「いつか履いてみたくて用意してあったんだけど、この年だし勇気が出なくて。…でも、今日こそはと思って。……私もこのメゾネットの部屋で同棲を始めた頃から、先生とこんなことしてみたかったの…」
    「君って人は……!打ち明けてくれて嬉しい。大好きだ!!」

    彼は階段を一気に駆け上がってきて、ひょいと私をお姫様抱っこした。

    +28

    -19

  • 5150. 匿名 2024/04/21(日) 12:59:38 

    >>630 『おいしいコーヒーが飲みたくて』①
    ⚠️伊黒さんとウィーン🇦🇹で出会う話(伊黒さん×ヨーロッパかぶってすみません😱) ⚠️季節は3月のつもり ⚠️趣味に全振り

    ウィーンに向かう列車の中で私は一人、焦っていた。電車が止まったまままったく動かない。
    (ウィーンまで辿り着くのかな…辿り着くとしても何時になるんだろう…)
    不安に思いながら、私は通路を挟んだ斜め前の座席に座る黒髪の男性に目をやった。

    「あの、すみません!」
    黒髪の男性、彼が同じ日本人なら言葉が通じてこちらを振り返ってくれるはず…祈るようにその後頭部を見ていると、彼はゆっくりとこちらに顔を向けた。その瞳の色に驚く。あ!日本人じゃなかったかも?

    「俺か?」
    振り返った彼は私に尋ねた。良かった、日本語が分かるみたい。
    「あの、なんで列車止まってるか分かりますか?私ウィーンまで帰りたいんですけど、ちゃんとウィーンまで行ってくれますかね?」
    「ドイツやオーストリアの鉄道は時間に正確だと思われがちだが割とよくあることだ。ウィーンまでは走るとさっき他の客と車掌が話していたから大丈夫だろう。まあ日付が変わる頃かもしれないが。」

    彼はそう答えると私から顔を逸らしてまた正面に向き直した。
    実は、今日訪れたザルツブルクの街で彼の姿を何度か見かけた。ザルツブルクの街はそう大きな街ではなく観光地も定番が決まっていて密集している。日本人と思われる女子旅やカップルも何組か、同じように何度も見かけた。
    この彼も今日何度か見かけた“日本人”の一人で、首からカメラをぶら下げて一人で観光しているようだった。彼も私と同じ一人旅だろうか。

    「ねえ。ねえねえ、あなたも一人旅?」
    私がまた話しかけると少し嫌そうな顔をしながらも彼はまたこちらに顔を向けてくれた。
    「いや、俺はウィーンの大学に通っている」
    「あなたもウィーンまで行くのね!こっちの大学生なんだ?かっこいいねえ!」
    思わず私の声が大きくなって、彼は私からまた顔を背けてしまった。話しかけて迷惑だったかな、と思っていると、彼は座席を立ち上がり、こちらにやってくる。
    「隣座っても良いか?詰めて」
    彼は顎をしゃくって私に窓側の座席に詰めるように言った。
    「このままじゃ大声で宿泊してるホテルまで喋り出しそうだな。この中で日本語が分かる人間は他にいないだろうと思うが少しは警戒した方が良い」
    「あ、そうだね。ありがとう」

    彼が私の隣に座り、そしてようやく列車はウィーンに向かって動き始めた。

    続く

    +30

    -6

  • 5261. 匿名 2024/04/21(日) 18:02:26 

    >>630
    【己の趣味に全振り】🪓
    *好きになった人はヤンキーな先輩*
    ⚠️解釈違い⚠️時透兄弟ヤンキー(学校の先輩)⚠️むいくん彼女有り(ガル乃ちゃん)⚠️何でも許せる方⚠️ほとんど喧嘩描写無し⚠️話数未定

    高校に入学して早1年が過ぎた。
    毎日平穏無事に楽しく過ごせていたけど、ある日の放課後の出来事をきっかけに一変した。
    部活も終わり友達と別れて駅に向かおうとしたら同じクラスのガル崎ガル乃さんが知らない他校ね男の人たちに絡まれていて手首を掴まれていた。
    ヤバいと思い駆け寄って男の人の手首を掴んでガル崎さんから離した。
    ガル子「嫌がってるじゃないですか!!止めて下さい!!」
    男の人を睨みガル崎さんを守るように立ち塞がった。
    モブ①「アンタ誰?この子の知り合い?──じゃあ、アンタでいいや。こっち来い」
    手首を掴まれそうになりその手を振り払った。
    ガル子「行くわけないでしょ!!──ガル崎さん逃げるよ!!」
    ガル崎さんの手を優しく握った。
    ガル乃「え、うん!!」
    2人で全速力で逃げてる途中で追い付かれそうになった途端、誰かが追いかけてきた男の足に足を掛けた。
    ??「うちの学校の生徒を追い回すの止めろよ?」
    背の高い2人組の男子──ネクタイの色からして3年の先輩だ。
    ??「これ以上、事を大きくしたくなけゃ早く去れよ。」
    もう1人の先輩が追いかけてきた男たちを睨むと一目散に逃げてった。
    その後、2人が振り返りこっちを見る。
    この2人の先輩たち知ってる。うちの学校の双子の時透先輩だった。
    ──これが先輩との出会いだった──

    続く

    +22

    -6

  • 5269. 匿名 2024/04/21(日) 18:18:48 

    >>630
    己の趣味に全振り 同行二人的な。

    桜の季節は少し外れてしまったが、行冥さんと京都にきた。忙しい仕事を乗り切ったご褒美。来週にはGWが始まるので、喧騒を逃れこの週末にした。
    忌々しい感染症のせいで、しばらく訪れる事が出来なかったこの街。
    行冥さんが「がる子へのご褒美旅行だからどこなりと」と言ってくれたので、私のお気に入りの場所を巡っている。
    まずは、「紅葉の永観堂」で名高い永観堂へ。今日は雨が降っていて紅葉の季節でもないので人影も疎ら。
    見返り観音様の柔和な表情を見ていると日々の雑事を忘れてしまう。
    行冥さんが横で静かに観音様に手を合わせている。
    私も、行冥さんからもらった数珠で手を合わせる。
    少し強まった雨音さえ心地よく、静かに時が流れていく。

    +35

    -3

  • 5477. 匿名 2024/04/21(日) 21:40:40 

    >>630己の趣味に全振り
    >>1925 あの話の続き
    >>1054 己の趣味に全振り?️⚠️解釈違い、軽く見切り発車 ⚠️ご都合血鬼術にかかった... | ガールズちゃんねる - Girls Channel -
    >>1054 己の趣味に全振り?️⚠️解釈違い、軽く見切り発車 ⚠️ご都合血鬼術にかかった... | ガールズちゃんねる - Girls Channel -girlschannel.net

    女子の女子による女子のためのおしゃべりコミュニティ。女子の好きな話題にみんなでコメント、みんなで投票して盛り上がれる匿名掲示板「ガールズちゃんねる」へようこそ。


    このお話の続きです

    ⚠️解釈違い、毎度の事ながら見切り発車
    ⚠️ご都合血鬼術にかかったつもりで読んでください

    「初めまして、時透無一郎です」
    「初めまして、君があの時透君の!いや〜噂に違わぬ男前だね」
    「いえ、そんな。本日はよろしくお願いします」
    (…猫かぶりめ)
    ドスっ!!!
    (ぐふぉっ!ちょっとむいくん!!??)
    「おや、どうされました?」
    「いや、なんでもニコ」
    あの奇妙な出来事から数年、私たちは順調に愛を育み上手くいっていたはずだった
    恋人になった男の子がまさか自分が勤める会社の社長の息子だったのは予想外だったけど
    その後自分の父が経営する会社に就職した彼は持ち前の頭の良さと能力で社長の右腕として日々忙しく働いていた
    流石に相手が相手…公にする訳にはいかないため私たちは秘密の関係を続けていた

    「ガル子先輩〜!大ニュースです!」
    そう言って興奮した様子でランチ中に突撃してきた後輩のモブ美、まだ皆んなには秘密ですよ…なんて耳打ちしてきた内容はなんとも衝撃的な内容だった
    「社長の息子さん、お見合いするらしいですよ!」
    「は?なんて?」
    聞き間違い?確か私はその社長の息子と付き合ってるんですが…
    バーチャル彼氏 続編①
    「年下彼氏は時期社長?」ハッピーウエディングルート
    ゲームスタート▶️
    続く

    +27

    -4

  • 5616. 匿名 2024/04/21(日) 23:15:02 

    >>630
    お題【自萌全振り】
    タイトル「Taboo」
    ⚠害の無い女子キャラ出ます
    ⚠義姉弟🌊
    ⚠何でも許せる方だけご覧ください


    姉が結婚した。まだ二十歳。
    学生結婚だった
    両親も蔦子姉さんも「まだ早いんじゃない?」と心配しつつ、「本来なら同棲が正しいのでしょうが、それでは誠実さに欠けると思いました」と土下座を決めた相手の男に心を打たれたようで、何も言わなかった
    まだ高校生の俺の反対など届くはずもない
    結婚式は親族のみで先日、静かに行われた

    姉と言っても血の繋がりは遠い
    まだ俺が幼かった頃、姉は冨岡家に連れてこられた
    「今日から冨岡のうちの子だ」
    父が笑った
    両親をいっぺんに亡くしたがる実は、うちの養女になったのだ

    姉が結婚すると聞いたとき俺は
    ──それが答えか、と
    ただ、そう思った

    「こんにちはー」
    母親に頼まれ、俺は近所の家に向かった
    「義勇くん?どうしたの?」
    玄関先のガル子さんは、エプロンをしていた
    「先日はお祝いありがとうございました。これ、姉、から頼まれて」
    「えー、わざわざありがとう」
    リビングからはとんでもなく甘い匂いがして、怪訝な顔の俺に気がついたのかガル子さんは
    「あー、林檎がね、沢山贈られてきて。ケーキにしてたの。義勇くんの家にも持っていこうと思ってたんだけど、今お願いして良い?」
    「ああ全然…」
    「義勇くん、ケーキも食べていかない?あまり甘くないし…」
    がる子さんはがる実姉さんの幼馴染で、親友でもある。そのせいか俺のこともよく弟扱いをしてくる
    「……じゃあ戴いて良いですか」
    いつもなら断ったと思う。でもその日は
    家に居たくなかった。ただ誰かに優しくされたかった

    「少し落ち着いてからのほうが美味しいんだけどね、焼き立ても別格だから」

    そう言って出されたのは林檎のスライスが上に乗り、アーモンドの風味のするどっしりとしたケーキだった


    +26

    -18

  • 5660. 匿名 2024/04/22(月) 00:19:18 

    >>519>>630⚠️己の趣味>>4899新婚旅行
    🔥🐚
    1/3

    イタリアでの新婚旅行から帰国し、最寄り駅の改札口を出ると、満開の桜が出迎えてくれた。
    朝の光が眩しい。

    「わぁーー!!綺麗!出国のときはまだ蕾だったよね。タイムスリップしたみたい。桜ってこんなに綺麗だったっけ?」

    「本当に美しいな。君には負けるがな」ニコッ

    「もう!その笑顔さー、破壊力が凄いんだから自覚してよね!…あなたこそが桜に勝てるでしょ。むしろ、桜の方からあなたに群がってきそうだよ」

    「ハッハッハ、どんな状況だ!!」


    10日ぶりに帰宅し、 お揃いのジェラー○ピケの部屋着に着替え、久々に家のベッドに飛び込む。
    いつものように彼の腕枕で横になる。

    「はあーー、新婚旅行楽しかった~!!でも時差ボケもあってちょっと眠いなぁ」

    「明日も休みだ。ゆっくりしよう」


    彼の心地よい温もりと匂いに包まれて眠りに落ちかけた時、彼が話し始めた。

    「…イタリアのベッドで君を抱くのも非日常的で良かったが、家はとにかく落ち着くな」

    「そうだね~!…あなた、最終日の夜凄かった……私たち、朝集合時間ギリギリだったし、寝癖も凄かったから、同じツアーのみんなにバレバレだったんじゃないかな」

    「なに、カップルが多かったし、きっと最終日はみんな盛り上がったんじゃないか?」

    「ふふ…たしかに、すっぴんの子 私だけじゃなかった気がする」

    彼が愛おしそうに目を細めて私の頭を撫でる。

    「…そういえば君、フィレンツェに行った時、美術館のダビデ像を見て顔を赤らめていたな?」

    「やだ、気付いてたの」

    「勿論だ。…不甲斐なくも、少し嫉妬した」

    彼は子供のようにぷうっと頬を膨らませた。

    続く

    +28

    -17

  • 5670. 匿名 2024/04/22(月) 00:37:23 

    >>5660
    >>519>>630⚠️己の趣味>>新婚旅行
    🔥🐚
    2/3

    「もう、拗ねちゃってたの?可愛い。…私はあの時、あなたとダビデ像を比べちゃってたの。筋肉の付き方が似てるな~、でもあなたの方がガタイがいいかな~、とか…」

    「…比べたのはそこだけか?」

    「…意地悪。」

    「どこを比べたんだ?言ってみるんだ」

    「…あなたの方が…あそこ…もう、言わせないでよ」

    思わず照れてしまい、彼から目線を逸らす。

    「いつも俺の前であられもない姿を晒してるのに照れるとは……、君は可愛いすぎるんだが…」

    その時、彼が私の頭を支えながらゆっくり腕枕を解き、あっという間に私の両手を押さえて覆い被さった。

    ふっ、と微笑んだ後、優しく一度キスをしてきたかと思ったら、
    次は強く唇を押し当ててきて、すぐにまとわりつくように舌を絡めてきた。

    「愛してる…俺の奥さん」

    「私も…あなた…」


    夢中になってキスを重ねていると、次第にお互いの身体が密着してきて、彼の中心部が熱く硬くなっていることに気付き、私も更に身体を密着させてしまう。

    「…もう、一生、俺は君しか抱かないんだな。君も一生、俺にしか抱かれないのか、、最高だな……すまん、独占欲の強い男のようで嫌な気持ちになったか」

    「ううん…!…あなたがそんなことを思ってくれてるなんて、もう嬉しくて……」

    「良かった…安心した」

    「…だって、結婚するって、そういうことだもんね?……ねぇ、私だけの旦那さまの…欲しいよ…♡」

    「……!」

    甘えるように言ったのが更に彼に火をつけたらしく、彼の目の色が変わった。

    二人とも今日は少し大胆になっているのかもしれない。

    続く

    +28

    -20

  • 5678. 匿名 2024/04/22(月) 00:46:56 

    >>5670
    >>519>>630⚠️己の趣味>>4899新婚旅行
    🔥🐚
    3/3

    遮光カーテンの隙間から春の日差しが差し込むベッドで、私たちは夢中になってお互いを求め合った。

    気付けばもう夕方──。

    「…なんか二人とも、イタリアから帰ってきて大胆になっちゃったかな?新婚旅行より盛り上がっちゃったね」

    「家の方が興奮するかもしれないな。ベッドがどんなことになっても気にしなくていいからな」

    「もう…!あなたのせいだよ…!!♡」

    「お互い、だな!!♡…これからも、二人で色々な所に出掛けたり、美味しいものを食べたり、一緒に様々なことを感じよう。勿論、俺は君としたい🐚も溢れ出てきてるぞ!!」

    「もう、あなた♡私だって♡」

    終わり

    +28

    -18

  • 6404. 匿名 2024/04/23(火) 13:10:20 

    >>630 己の趣味に全振り⚠️解釈違い
    ⚠️方言がる子⚠️方言うまく書けてないかも🙏


    「夜勤明けなのに休まなくていいのか」
    「杏寿郎くんも私の国試の時見送りに来てくれたけん」

    この試験に受かったら、杏寿郎くんは医師になる。そして春からは研修医として地元の東京で働く。

    「はい。ふろしきまんじゅう」
    「ありがとう!」
    「ちゃんと食べないと酔うからね」
    「大丈夫だ。それに新型やくもだからな」
    「わからんへん?旧型ほどじゃないにしても酔うかもだがん」
    「がる子は心配性だな」

    2年の初期研修を終えたら、杏寿郎くんはこちらに帰ってくるという。地域医療に携わりたいからと。
    本当に帰ってくるの?6年暮らしたとはいえ、都会に戻ったらこんな田舎なんて嫌にならない?都会の綺麗な人に心奪われたりしない?
    国試が終われば杏寿郎くんは一旦帰ってくるし、また会えるとわかってる。なのに行かないでと言ってしまいたくなる自分がいる。

    「こんなにがる子が静かだと最初のデートを思い出すな」

    今いる1番線のホームの端に0番線のホームがある。私と杏寿郎くんは初めてのデートでそこから境線に乗った。しかし、まだ付き合う前で互いを意識しすぎてしまって米子駅から境港駅までの間の約一時間、ほとんど言葉を交わさず電車に揺られたのだった。

    「また水木しげるロードに行こう。次こそねずみ男と写真を撮りたい」

    2番線にスーパーおきが入ってきた。新山口行きだ。

    「そうだ、最近夢みなとタワーにも行ってないな」
    「…帰りにプラントと大漁丸行きたいだけだへん?」
    「魚といえばアクアスも久しぶりに行きたい」
    「遠すぎて中々行けんね」
    「入局したら浜田の病院の応援にも行く。君の好きな錦栄堂のどら焼きを毎回お土産に買おう」
    「やった!そうだ、倉吉の病院は行くだ?」
    「倉吉?」
    「打吹公園だんごも食べたいけん」
    「高島屋で買えるだろう」
    「10本入りしかないけん、杏寿郎くんがほとんど食べるが」

    つづく

    +24

    -6

  • 6733. 匿名 2024/04/23(火) 23:12:08 

    >>630己の趣味全振り
    ⚠解釈違い⚠💎※見切り発車※長文です
    ※何でも許せる方向け※話が進む中で🐚予定


    (はぁ、17時まであと少しだ、頑張ろ)
    職場の壁掛け時計を見やって、小さくため息をついた。
    「ねぇお疲れ!あのさ、今夜空いてる?」
    突然背後から肩を叩かれ、モブ美が耳打ちしてきた。
    「どしたの、何かあるの?」
    「新しく出来たBarがあって、そこのバーテンがめっっちゃイケメンでさぁ♡興味ない?」
    「モブ美、彼氏いるでしょーが」
    「別に狙ってるとかそんなんじゃなくて目の保養だよ!話も上手いし楽しいよ?」
    「へえ〜」と一応話を合わせるが、彼氏に何て言えば良いか考えると少し面倒くさい。
    「今まで一人で行ってたんだけどさぁ、なんかガチみたいに思われたら嫌だから一緒に行こ?」
    「うーん、私は一応彼氏に聞いてから…」
    「あのさ、バカ正直にイケメンのバーテンがいる店に行くって言わないでよ?一応、私の彼にもまだナイショにしてるんだから」
    「それじゃあ、仕事の愚痴聞くからご飯行くねって話す。それならいいでしょ」
    「やった!それじゃ後でね♡」
    同僚を見送った後、デスクに向き直って後片付けをする。
    (Barねぇ…そう言えば全然行ってないなぁ)
    モブ美とは仲良しだ。何度も二人で食事も飲みにも行っている。3年付き合っているうちの彼にも先日紹介したくらいで信頼は厚い。何より、たまには女同士で金曜日の夜に羽を伸ばすのも楽しそうだ。
    (別に合コンじゃないし、いっか)
    深く考えるのは止めにした。とりあえず彼氏にはLINEしておこう。これで彼氏には心配掛けずに済む。

    私はPCを閉じて急いでモブ美の席へ向かった。


    つづく

    +37

    -7

  • 6879. 匿名 2024/04/24(水) 08:45:20 

    お題 >>630 >>1215 >>3202 >>3883
    ⚠️🌫もガル子も芸能人 ⚠️第三者目線

    『真珠の耳飾りのガル子』①

    大手芸能事務所のカフェはサンルームをイメージしているのか、壁と天井の全面がガラス張りで、陽光がたっぷりと降り注ぐデザインになっている。あちこちに植わっている種類が豊富なグリーンも、めいめい葉を広げたり蔓を伸ばしたりと日光浴を楽しんでいる様子で、どこかの空想世界にある森みたいに神秘的で自由な空間だ。
    ガル子はこの『空中庭園』と名付けられたカフェと相性がいいようで、仕事や学校生活に疲れた時でも、ここに来るとたちまち元気になる。あたしも植物たちの良い香りを吸い込んで、リラックスタイムを楽しんでいた。

    「あ、やっぱり来てたんだ」

    ガル子が無一郎くんに話しかけられた時、彼女はマネージャーから渡された新しい仕事の資料を読んでいた。マネージャーは電話対応でちょうど席を外していたところだった。
    「無一郎くん!久しぶり」
    ガル子がたちまち明るい表情になる。
    無一郎くんは、双子のお兄さんの有一郎くんと『むいゆう』の名で親しまれていて、芸能活動をしている。元々将棋のプロ棋士としてテレビ出演していたが、ビジュアル抜群の双子を業界の人間が放っておくなんてことはなく…モデルの仕事で写真集を出したり、バラエティやクイズ番組にも出演したりしてお茶の間を賑わせている。
    「久しぶりだね、元気にしてた?」
    「まぁまぁ元気。無一郎くんは相変わらず忙しそう。昨日もテレビで見たよ!」
    「実はこの後も収録があるんだ」
    「お疲れ様!大変だ…」
    「まぁね。でも少し時間があったから。ここに来たらもしかしたら会えるかもしれないと思って」
    ガル子が頬を赤らめる。あたしは、いい感じだなぁと思って制服姿のふたりを見守っている。

    続く

    +24

    -6

  • 7020. 匿名 2024/04/24(水) 18:02:05 

    >>630
    ⚠️己の趣味に全振り
    ⚠️前トピの妄想をセルフリメイク

    私はガル山探偵。今夜も自発的に推理ショーを展開する。

    ガル山探偵「この中に私に対して好意を寄せる人物がいる。さぁ。ついにnakedにされる時が来たのよ、恋泥棒さん?丸裸にしてあげる。色んな意味で…ね。
    そう。医療班によると、あなたの背中にはごくごく軽度な引っ掻き傷がある。
    あなたほどの実力者が、戦闘で雑魚鬼にやられるとは考えにくい。
    これはつまり、かりそめの相手がいるように見せ掛け私の嫉妬心を引き出そうとする手法……え、子猫を愛でようとしてやられたんですか?」


    警部「惜しかったですなガル山探偵。次回は見事ニャ推理を期待しています」
    ガル山探偵「煽ってます?」

    +29

    -2

  • 7233. 匿名 2024/04/24(水) 22:38:30 

    >>630
    己の趣味に全振り
    5話くらいの予定です
    ⚠️本当に書きたいように書いてます

    不思議な喫茶店 🌫️


    今日は土曜日で学校も休み。何も予定はないし一人ぶらぶらと散歩をしている。
    この辺りは初めて来たけど知らない所を歩くのも楽しいな。
    そんな時、一軒の喫茶店を見つけた。
    レトロな外観に惹きつけられて、私は自然に手を伸ばしていた。ドアを開けるとカランカランとベルが鳴った────
    「いらっしゃい」
    優しい笑顔のマスターの声。レトロな喫茶店のイメージにぴったりの上品な雰囲気のおじいさんだ。

    窓際のテーブル席に座り、クリームソーダを注文した。待っている間、店内を眺めてみる。
    1組の男女が食事をしていたり、本を読んでいる人、ノートにペンを走らせている人がいて、みんなそれぞれ思い思いの時間を過ごしている。

    クリームソーダが運ばれてきた。
    「お待たせしました。クリームソーダです」
    「ありがとうございます」
    目の前に置かれたレトロなグラスのクリームソーダはとてもおいしそう。

    カランカランと音が響いてドアが開いた。店の中を一通り見た後、その子は口を開いた。
    「僕もあの女の子と同じのを」
    その子は私の方を見て言っている。
    私と同じクリームソーダを頼んだようだ。
    ───と言うより男の子だった。あまりにも綺麗な顔立ちをしているから女の子だとばかり思った。


    つづく

    +24

    -6

  • 7252. 匿名 2024/04/24(水) 23:11:40 

    >>630己の趣味に全振り >>2402
    ⚠️解釈🌊 ⚠️暗い ⚠️なんでも許せる方

    1

    "人は皆、幸せな夢を見たいと願う生き物である"

    昔、母からそう聞いたことがある。
    まだ幼かった俺は母に問いただした。
    「僕は、こうして起きてる今も充分幸せだよ。みんなそうじゃないの?それなのに夢の中でも幸せでいたいって思って、バチが当たらない?」
    俺を寝かしつけるために横で添い寝していた母は、俺の腹をとんとんと叩いていた手を止めて言った。
    「私も幸せよ。父さんも母さんも、姉さんもみーんな、義勇といられてとっても幸せ。…でも、悲しいけど世の中にはそうじゃない人たちもいるの。そういう人たちは、せめて夢の中では幸せでいたいんじゃないかしら」
    みんながみんな、自分みたいに幸せな生活をしているわけではないと母の言葉でその時初めて知り、少し寂しくなったのを覚えている。
    「じゃあ、やっぱり僕は幸せな夢を見たいなんて願っちゃダメだよ。僕の分の幸せな夢を、辛い人におすそわけしてあげたいな」

    そう言っていたあの幼き日の自分は何処へいってしまったのか。

    ───義勇。ほら、本を読んでやるからこちらにおいで。
    うん!父さんが読んでくれる本は面白くて大好き。

    ───義勇、ご飯はゆっくりよく噛んで食べるのよ。
    でもね、母さんのご飯が美味しいんだ。

    ───義勇、私の分もあげるわ。
    ほんとう?ありがとう、姉さん。

    ねぇねぇ父さん、あのね…、
    ……父さん?母さん?…姉さん?
    何処?

    「…待って!」
    待って、と叫ぶ自分の声で目が覚める。
    ひとりになってから、毎晩家族の夢を見るようになった。幸せな夢だ。
    でも決まって、さっきまでそこに居た筈なのにだんだんと靄がかかってみんなを見失ってしまう。まるで四人で暮らしていたあの日々はいくら手を伸ばしてももう二度と戻らないと繰り返し言われているようだった。

    夢で幸せだった分、目が覚めた後に襲ってくるとてつもない悲しみが辛くて、気づけば涙を流していた。
    それでも幸せだった頃の夢を見たい俺は、床に就くと「父さんと母さん、姉さんの夢が見れますように」と心底願った。

    ───お裾分けなんてしてたまるか。だって僕はいま現実が辛いんだから。

    こうして毎晩泣くものだから、お世話になっている鱗滝先生や錆兎にはいつも心配をかけた。
    錆兎は「ほんとは男なら泣いては駄目だが、俺の前でだけなら許してやる」と涙を拭ってくれた。「いつかこの怒りが、お前の姉の仇を討つ原動力になる」と。
    錆兎は兄弟子だった。毎日一緒に鍛錬し、毎日一緒に飯を食べ、布団を並べた。兄弟同然のように過ごし、姉しか知らなかった俺は男兄弟という存在が新鮮だった。
    このままこの毎日が続けばいい、そう思っていた。もう何も失いたくない。でも幸せが壊れるのはいつも突然で、最終選別で錆兎は帰らぬ人となった。

    +37

    -3

  • 7430. 匿名 2024/04/25(木) 17:24:16 

    >>630 ⚠️己の趣味に全振り

    >>7308 
    屋敷side

    「つつがなくお帰りになりました」
    「主人役ご苦労。柱…だったかしたら?幹部も大したことがないのね。部下の女を拐い、すり替わったと見せ掛けて実はすり替わらずそのまま…というダブルフェイントにも気付かずに。かわいいじゃない?」
    「…(それは気付かないのでは)」
    「また彼には会いたいわ。まぁ、霞(柱)を食うなんて仙人みたいだから趣味じゃないけれど。私鬼だし。…ちょっと、今の笑うところよ。」
    「(めんどくさいのに仕えることになったな…)」

    +19

    -6

  • 8828. 匿名 2024/04/28(日) 21:39:06 

    >>630 特殊。⚠本当に己の趣味に全振り。



    🐚⚠️闇
    カシャカシャと鎖が音をたてる。
    刀鍛冶の里で作ってもらった特別な手錠。
    鎖は、あなたが許す範囲で調整される。今日は、片手が届く範囲。診察があって少し不安定かなぁとぼんやり思う。
    自分が面倒を見ると私の利き手につけられている手錠。もう片方はあなたの手首。
    私の手首を痛めてしまうと柔らかい布が巻かれているけど、それでもヒリヒリと痛みがあり、赤い跡がついている。
    沢山のものを失ってしまっても尚、他人のために仲間を守るために戦い続けたあなた。責務や逝ってしまった人達の想いもずっと背負って。失ったものも背負ったものも多すぎた。
    だから、今はあなたに『私』を全部あげる。あなたが好きだと言う着物を着て、あなたが食べさせてくれるご飯をあなたの手で食べて、お風呂もあなたがいれてくれる。
    「すまない」と手首の赤い傷にあなたが唇を落とす。
    「行冥さんも痛いでしょ」
    彼の手首の傷に私も舌を這わせる。見上げると涙。「泣き虫。仕方ないなぁ」瞼に口づける。
    離れようすると頭を押さえられ、唇を割って舌が入ってくる。
    「すまない」もう一度謝るあなた。吐息が熱を帯びている。
    肩に歯をたてられ、首筋をうっ血する程吸われる。私の身体に自分のものだと跡を残す。その沢山の跡を見る度に私は、仄昏い満足感で満たされている事をあなたは知らない。自分が私を縛りつけてると思っている。
    確かに私の姿が少し見えないだけで錯乱するあなたを抑えられる人はいないけれど、あなたを昏倒させる薬がない訳ではないのよ。
    すっかり蝶屋敷の新しい主人らしくなったあの娘が口ごもりながら言った。
    でも、私は私の意思で私をあなたに繋げている。私が『私』をあなたに全部あげると決めた。
    「二人ぼっちですねぇ」とあなたの頭を抱き締め囁く。
    カシャカシャと鎖がまた音をたてた。

    +20

    -10

  • 9367. 匿名 2024/04/29(月) 21:59:21 

    歌お題>>544
    >>519
    悲恋>>771
    文学>>572
    タイムリープ>>8742
    己の趣味に全振り>>630
    ⚠️死ネタあります

    「春の夜の夢」 第一話

    美しいものほど儚い。
    雪の結晶も、桜の花も、人の命も…

    何もしていなくても、ふとした時に涙がこぼれる。
    あの日から涙腺も感情も壊れてしまった。

    この家は元々、私のためにあてがわれた家ではないのに、お館さまは落ち着くまでいてもいいと言ってくださった。しかし、鬼殺隊は数ヶ月前に解散したのにいつまでも甘えているわけにはいかない。
    あの決戦で大切な人を亡くしたのは私だけではないのだから。
    尊い犠牲の上に成り立っている安寧を手放しで喜ぶことはできず、かといって皆の前で悲しむこともできず、私は伊黒さんと暮らした家で一人で過ごしていた。

    気心の知れた隠のもぶ子さんが、たまに訪ねてくれた。彼女は女性特有の勘で、早いうちから私の気持ちに気づいていた。
    気遣ってくれるのはありがたかったが、彼女の口から伊黒さんの名前が出るたび、現実を受け入れなければいけないと言われているようで苦しかった。
    「伊黒さんに気持ちを伝えたことはかったの?」
    彼女の問いに、私は下を向いて首を振った。
    鬼を滅することに心血を注いでいた伊黒さんに余分な煩わしさを与えたくなかった。
    今はそんなことは考えられないと言われるのは明白で、居た堪れなくなって暇乞いをする自分の姿まで想像できた。
    結局、私は怖かったのだ。
    近づくことも離れることもできずに、ただ伊黒さんの生き様を目に焼き付けることしかできなかった。

    空っぽになってしまった私は、縁側で鏑丸くんに話しかけるのが日課になっていた。
    伊黒さんのように以心伝心とはいかないけれど、鏑丸くんの言いたいことも、なんとなくわかるようになっていた。
    「伊黒さんに会いたいな」
    ぽろっとこぼれた言葉に、鏑丸くんが心配そうな顔をしながらとぐろから首をもたげて寄り添ってくれた。
    私は誰にも会わず、生きるのに最低限度の栄養と睡眠をとり、主を失った家の中で通り過ぎていく時をただ見送っていた。

    だから、はじめは精神を病んで幻覚を見ているのだと思った。縁側から見える桜の木の下で、白と黒の羽織が風にはためいている。
    「がる子」
    ……幻聴まで聞こえる。
    それが幻覚でないことは鏑丸くんが教えてくれた。
    私の隣で私以上に目を丸くしている。
    「伊黒さん?」

    いつのまにか冬は終わり、ぽつぽつと咲き始めた桜の花が、春の訪れを告げていた。

    『静かに思へば、万に、過ぎにしかたの恋しさのみぞせんかたなき』
    徒然草 29段より/吉田兼好

    続く

    +31

    -7

  • 9866. 匿名 2024/04/30(火) 21:47:51 

    >>630 ⚠️大正軸🌫️己の趣味に全振り

    『今宵、花嫁になる君へ』
    第一話

    「今度村長さんとこに養女に来たっちゅう霞さんとか言う子は、随分綺麗な子じゃねぇ」

    「村長さんちのモブ子ちゃんも、病とは気の毒になぁ。山向こうに嫁げなくなったんで代わりにあの子を養女に取ったらしいけど、あんな綺麗な子どこで見つけて来たんじゃろ」

    「まぁ、ここだけの話、村長さんもなんとしても自分とこから嫁を出したいんじゃろうね。なんせ山向こうに嫁に出せば蔵一つ建つんじゃから」

    「んん、でもウチの娘は出したくない。いくら蔵をもらっても、あちらに行った娘は里帰りも許されないなんて寂しいよ」

    「まぁねぇ。でもこんな貧乏な村に居るより、あっちで豊かに暮らせるんなら私が行きたいくらいだわ」

    井戸端会議の女達が一斉に笑うのが聞こえる


    村長の娘、モブ子に宛てて白無垢が届いたのは1週間前のことだった

    この貧しい村には年に一度、山の向こうの豊かな村からこうして白無垢が送られて来る。嫁として選ばれた家には蔵が建ち、娘は豪華な花嫁衣装を着て家を出た。里帰りは許されないと言う条件ではあったが、山向こうに輿入れしたものはそこでの豊かな暮らしに満足し、出戻る者はこれまで一人も居ないという。山向こうに輿入れすることは村の娘の憧れであり、不自由な暮らしから抜け出すことの手段でもあった

    しかし、モブ子は急な病を得て寝込んでいると言う。白無垢が送られて来た家の娘が輿入れ出来ない場合、同じ年頃の他家の娘にその権利を譲るのが常であったが、村長は遠戚であると言う娘を養女にして嫁がせると言う手段に出た。そのため村の人々の反感を買っていたが、ガル子とその姉ガル乃は安堵に胸を撫で下ろしていた

    「村は霞さんの噂でもちきりね。村長さんの家に来たとき見かけたけど、髪が長くてとても綺麗な子だったわ。あの子が来てくれて本当に良かった」

    「そうね、モブ子ちゃんと同い年の娘は私だけだもの。あの子が居なければ私に話が来ていたかもしれない。本当は、私が嫁入りすればあなたにも楽な暮らしをさせてあげられるんだけど…」

    「姉さんはモブ郎さんと言う恋人がいるんだもの、そんな心配しないで。私が今に山向こうの花嫁になって、モブ郎さんと姉さんに蔵を建ててあげるわ」

    私がそう言うと、姉は困ったような顔をして歩みを止めた

    「私はガル子にも行ってほしくないのよ。親を亡くした私たちにとって、お互い唯一の肉親なのに」

    「大丈夫。私はあちらの目を盗んで帰って来ちゃうから!私の足が速いこと知らないの?」

    私がおどけると姉は優しく微笑んだ

    (つづく)

    +27

    -7

  • 9889. 匿名 2024/04/30(火) 22:06:51 

    >>6494ベストフレンド>>630趣味に全振り
    ⚠️元カノを引き摺ってる💎さんと、彼氏に振られたガル子のお話⚠️長文・見切り発車で結末未定なので、何でも許せる方向け

    《ア・ポステリオリ》1

    「男女間の友情って成立すると思う?」

    近くのテーブルから聞こえてきた会話に耳をそばだてる。

    「何?急にどうしたの?」
    「ほら、今月号の特集。『男女間の友情、あり?なし?』だって」

    人もまばらな大学構内のカフェテリア。声が聞こえてくる方向へ視線を向けると、女の子たちが数名、雑誌を覗き込みながらお喋りをしている。

    「アンケートだと半数は男女間の友情はアリと回答。ふーん…半数か」
    「私は異性の友達もアリだと思うけどな〜」
    「えっ、彼氏が他の女の子と仲良くしてたら嫌じゃない?」
    「友達でしょ?手繋いだりキスしたりしないならいいけど」
    「でも、一緒にいるうちにそういうことしたくなっちゃったりしたら…?」

    そういうことしたくなっちゃったりしたら​────。

    皆それぞれ想像を巡らせているのか、しばらく沈黙が流れた。

    「……まぁでもさ、実際そういう関係になってみないとわかんないよね」

    一人がまとめるように言って、それもそうだとみんな頷いている。

    そう。そんなの実際そうなってみないとわからない。その時感じる温度、匂い、感触、言葉、表情…色々なことが、“友達”という肩書きの二人の間に流れる空気を、良くも悪くも掻き乱す。

    そんなの、巷に溢れた一般論では測れない。

    だから、私のこの四年間の経験から言わせてもらうと、男女間の友情は​────。

    つづく

    +34

    -10

  • 12880. 匿名 2024/05/06(月) 15:43:43 

    >>4529鬼滅チョコバーデート企画
    >>630己の趣味に全振り
    >>3883芸能人
    >>544曲お題
    ⚠️見切り発車
    ⚠️解釈違い

    「ミズクラゲの恋」 第一話

    私は今日、世界一ついていると思う。
    だって見て!このメール!
    『あなたはキメツバーのデート企画に当選しました。つきましてはご希望のキメダンのお名前と希望日程をお知らせください』
    だって!すごくない?
    3度見して、すぐに返信した。
    『愈史郎くん希望です。よろしくお願いします』

    5分に1回はスマホを確認して、その合間に『キメツチョコバー 当選 体験談』で検索する。
    パラパラと上がってきたものを端からチェック。
    え?ちょっと素敵すぎない?推しに会えるだけでも心臓飛び出しそうなのに、そんなに夢叶えてもらっていいの?

    愈史郎を推しはじめて、はや数年。はじめはテレビドラマだった。何気なく観ていた学園ものの生徒役ですごい中二病っぷりが気になって、すぐにネットで検索した。
    3歳の時に子役デビュー。事務所はそれほど大きくないけれど堅実なところで、受けたい仕事だけやっていること。漫画の実写化に定評があること。アクションもできること。深夜ラジオが毒舌で面白いこと。そしてかなりの面食いらしいということ。

    何をお願いしよう。考えるだけでテンションが上がってきた。

    続く
    (多分、解釈違いのオンパレードなデート企画になりますが、自萌え最優先、糖度高めで書いてみます。先に謝っておきます。ごめんなさい。テーマソングは平井堅さんの『Pop Star』でお送りします)

    +25

    -5

  • 14421. 匿名 2024/05/08(水) 22:10:11 

    >>529
    長文総本山に紐つけます

    【タイトル】
    『パリ・マジック』(全26話)
    【あらすじ、人物】
    鬼滅チョコバーのデート企画プレゼントに当選するも、留学のために指定日前日に日本を発つ予定のガル子は、泣く泣く辞退する。しかし現地の空港でガル子を待っていたのは…
    【注意事項】
    >>4529 鬼滅メンズ一日デート企画
    ⚠️🐍さん解釈違い
    ⚠️>>630 己の趣味に全振り
    ⚠️微🐚(ほっぺにチッス程度)あり

    一話目 >>4618

    +23

    -5

  • 14541. 匿名 2024/05/09(木) 00:12:46 

    >>2918 『チッスで終わる話』× >>4000 『お弁当』1/3
    ⚠️解釈違い ⚠️ラストに🐚あり&前振り長い ⚠️>>630 趣味に全振り。何でも許せる方向け

    お昼ごはんは、いつもこの美術室裏の階段で食べる。ここを訪れた初日に会った1つ年上の先輩と一緒に。今日も隣で本と睨めっこしている先輩のお昼ごはんは豆乳。昨日もそうだった。その前も、先週も。私がここでお昼ごはんを食べるようになって以来、先輩のお昼は毎日豆乳。しかも200mLを1本だけ。
    入学して数日経った頃の昼休み、誰も来ないし屋根もあって良いなと思って陣取ったこの場所に、豆乳1本と文庫本を手にした先輩がふらりとやって来た。多分、以前から先輩はここで昼休みを過ごしていて、知らずに私がお邪魔した形。少々気まずい空気が流れた後、はっと気付いて慌てて謝りその場を辞そうとした私に、先輩は言った。
    「気にせず居ればいい。俺も気にしないから」そう言った先輩は、私から少し離れた場所に腰を下ろして本のページをめくりながら豆乳をちびちびと啜った。少し迷ったけど、この場所が気に入っていた私は先輩の厚意に甘えることにした。突如現れた先輩が、あまりに綺麗でカッコ良かったからというのもあるけれど。

    その日以来、私は昼休みになると毎日この美術室裏の階段を訪れた。先輩も毎日ここに来た。最初はほとんど会話もせず、黙々とそれぞれの時間を過ごしていたけど、そのうちぽつりぽつりと趣味の話とかをするようになった。
    伊黒小芭内というあまり聞かない珍しい名前の先輩は、瞳の色もちょっと珍しくて左右で色が違う。先輩の目は宝石みたいに綺麗で、猫みたいに大きくて吊り目気味。その目が笑うときゅっと細くなる。カッコいいけどたまにとても可愛くなると思った。

    先輩が豆乳だけを手に現れた時、てっきり購買のお昼ごはん争奪戦に敗れてそれしか買えなかったのだと思った。でも違ったみたい。伊黒先輩は毎日それしかお昼に口にしない。それがこの人の習慣のようだ。
    「お昼…それだけで足ります?」
    「あぁ、充分だ」
    当然と言いたげな顔で答えた先輩は、その200mLをちびちびと時間をかけて飲む。眺める姿は可愛らしくて微笑ましいが、話を聞く分には低血糖になりそうだった。
    ちらりと先輩を盗み見る。確かに、この人はすごく細い。ウエストのベルトがそれを物語っている。つい先日、先輩が大きく伸びをした際にシャツの下のほっっっそいウエスト(それと、意外としっかり鍛えていると思しき厚めの胸筋)が服越しにわかってしまって、私は動悸と眩暈と同時にぎょっとしたことを思い出す。
    「いつかぶっ倒れますよ」
    「今のところ倒れた事はないな。まぁもし、そうなったら君に助けてもらう」
    「えー嫌ですよ、そんなの」けらけらと笑っておいたけど、実際のところ心配だった。本来なら食べ盛りであろう高校生のお昼がそれだけなんて、密かに先輩に想いを寄せていた私は内心心配で堪らなかったから。

    「ちょっと多めに作っちゃったから、よかったらひとつどうです?」
    図々しいとは思いつつ&断られる前提で、ドキドキしながら自分のお弁当箱を指さして伊黒先輩に声をかけた。(ちなみにうちは父子家庭で、炊事は私担当だ)
    「いや、お構いなく」
    「ですよね……すみません。私のお弁当なんて嫌ですよね」
    「いや、そういうわけではない」
    「今朝、急いでばばばーーっと詰めちゃったから…今見ると多いんですよね。まぬけだわ」
    違う。ほんとは、作りすぎちゃったふりしてるだけ。先輩に少しでも食べて欲しかったから、わざと多めに作ったんだよ。
    「………美味そうだ」
    「え?」
    「そういう事なら、お言葉に甘えようか」
    「あ、はい……どうぞ。おにぎりもラップ巻いてるから、直に触ってないですよ」
    おにぎりだって、わざといつもよりひとつ多く作った。少食の伊黒先輩のために、私のよりもひとまわり小さいものを。
    「ありがとう。いただきます」そう言って、先輩はその小さい方のおにぎりを手に取った。
    「鮭フレークと白ゴマです」
    「…うん……美味いな」
    「ならよかったです」お世辞を言わせてしまったのだろうとも思うが、それよりも自分の作った不格好なおにぎりを食べてくれたことを嬉しく思う気持ちの方が大きかった。

    (つづく)

    +24

    -6

  • 16171. 匿名 2024/05/11(土) 16:15:42 

    >>593 ⚠マニアックお題
    >>630 ⚠己の趣味に全振り

    「◯◯、お願い、あれやって🙏」
    最終日目前のおまとめとお🌾の中、失礼します

    私の言葉で伝わればよいのですが、ドラマ等で見かける、ガードレールやフェンス等に片手をついて(足はつかずに体が横になる感じで)ヒラリと飛び越えるやつ、なぜかわからないけれど、手から飛ぶ最中から着地後まで、あれがとても好きで。…運動神経の良い彼達にお願いしてみたい🙏

    +18

    -2