ガールズちゃんねる
  • 861. 匿名 2024/04/13(土) 09:07:13 

    >>544歌お題>>621入学式

    「「♪ドッキドキドン!いちねんせーい!ドッッキドキドン!いちねんせー!」」

    幼馴染で近所に住む錆兎と機嫌良く歌いながら、家族みんなで帰ってきた入学式から一週間。

    「ガル子のおかあさーん!ガル子また泣いてるー!来てー!」
    「学校遠い…なんでお母さん一緒じゃないの…グスッ」
    「小学生は自分で行くんだ。ほら、お母さん来たぞ」

    毎朝こんなやりとりをしていた。
    私達の家は学区の一番端っこ、6才の足では学校まで歩いて30分の距離。これがとてつもなく長くて、お母さんと手を繋がずに歩くのが心細くて仕方なかった。

    「錆兎、帰り置いて行かないでね」
    「わかってるよ。下駄箱で待っててやるから」

    こうやって、錆兎がいつも私の手を引いてくれた。だから、私は少しずつ、泣くことが減った。

    ──2年生の3学期、それは突然のことだった。
    私は家の都合で引越すことが決まった。新年度からは、新しい学校で過ごす。

    「ガル子、新しい家は学校近いのか?」
    「うん。目の前なんだって。8時10分に家を出れば良いんだって」
    「そうか。良かったな。泣かないで行けよ」
    「今だってもう泣いてないし!」

    最後の日、クラス全員からの手紙をまとめた冊子を、担任の先生から受け取った。錆兎のページには、こう書いてあった。

    「また会おう。好きだからな。バイバイ」


    ❀❀❀❀❀

    今年も、入学式の季節だ。
    遠く離れたと思っていたけど、同じ沿線だったんだなあ。
    電車の窓からこの景色を見ると、思い出す。
    色づいたこの川沿いを、私達も歩いてたんだよなあ。

    その時、開いた電車の扉から見えたのは、いつかの面影──

    おわり

    (いきものがかり/SAKURA)

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  • 1857. 匿名 2024/04/15(月) 00:30:50 

    >>519>>544>>621
    お題ミックス


    SEKAI NO OWARI「夜桜」
    作詞 Fukase 作曲Nakajin、Fukase

    今はあの日と同じ季節……
    春の匂いがすると懐かしい感じがする
    もちろん前世の記憶なんてないんだけど、なんとなく懐かしく憶えているような気がする。
    最近、夜が長く感じる……
    前世から、100年以上経っているのはなんとなくわかるけど、わたしは夜に棲む生き物だったような気がする。
    わたしと一緒にいた人?は、その日に会ったばかりで、その日から一度も会っていないけど、そろそろどこかで会える予感……
    わたしとあの人は、あの日に一体何があったのだろう……
    何故、その日から一度も会っていないのだろう……
    その日に死んだのだろうか?
    桜が散る前に、あなたに会いたい……
    何故かそう思っていた。
    「泥に汚れた花びらは戻れない」
    潔癖症のあなたはそう言ってた。
    雨に堕ちていく儚さのように短いいのちだったのかな。

    今日はキメツ学園の入学式
    中等部の1年土竜組はどこかな?
    桜が咲いている入学式なんて珍しいから何かが起こりそうな予感……
    1年土竜組の教室に入ると、どこかで見たような姿があった。
    目を閉じているように見えるけど、彼はこちらに手をかざしたら
    「ガル子、久しぶりじゃのう……100年の間どこにいたのじゃ……」
    と言って、微笑みかけた……

    END

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  • 6077. 匿名 2024/04/22(月) 21:33:10 

    >>5710伊之助お誕生日 
    >>621入学式
    ⚠️キャラの母が出ます

    「わたしの親分」 1/3

    今日はキメツ小学校の入学式。
    私は校門の前を絶対に動かないと決めていた。
    入学に合わせて引っ越してきたこの街には、誰もお友達がいない。
    「やだ、私、行きたくない」
    一度口に出してしまったら、本当に行きたくない気持ちがザワザワと心に広がってしまった。
    「そんなこと言わないで、行ってみよう?」
    困惑した母の声に「嫌なの。行きたくないの」と同じことを繰り返した。
    周りでは、あらあらといった顔で大人たちが通り過ぎていく。その大人に手を引かれた子供もちらちらと私を見ていた。
    そこで2、30分は押し問答しただろうか。ここまできたら引くに引けず、両親にも諦めの色が広がっていた。
    「じゃあ…」と母が口を開いた時、遠くから言い合うような大声が聞こえてきた。
    「ほら、伊之助。ギリギリだよ」
    「うっせ。猪頭がダメだなんで聞いてねえぞ」
    「そんなの被っていったら知らない子が怖がるでしょ」
    「はああああ?知るかよそんなこと」

    走ってきた二人は私の方をチラリと見た。
    私は恥ずかしくて咄嗟に下を向く。
    「お前、何やってんだよ。遅れんぞ」
    荒っぽい口調に肩がビクッとした。
    母が横から口を出した。
    「この子ね、行くのが怖いみたい。今日は帰るけど学校で会ったらよろしくね」
    その子は私のそばにしゃがみ込んだ。女の子みたいに綺麗な顔だけどスーツを着ているからきっと男の子だ。
    「なんで行きたくねぇんだよ。お前、弱味噌か?」
    初めて会った子になんてこと言うの!という彼の母らしき人の話を無視して彼は続けた。
    「学校なんて怖くねーよ。遊んで給食食って帰ってくるだけだろ」
    「……友達いない」
    私の呟きに、その子はにかっと笑った。
    「いいこと考えた。お前を俺の子分第一号にしてやる。俺のことは親分って呼べよ。親分伊之助。ほら、言ってみろ」
    「……おやぶん」
    その時、チャイムがなった。
    「やべー。お前のせいで遅刻じゃねえか。行くぞ!弱味噌」
    これが、私と伊之助くんの出会いだった。

    続く

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