ガールズちゃんねる
  • 552. 匿名 2024/04/12(金) 21:26:55 

    >>482
    お題「お花見」

    お花見にまつわる推しとのエピソードをお聞かせください
    一言・SS・長文でも何でも

    +29

    -2

  • 724. 匿名 2024/04/12(金) 23:21:47 

    >>552お花見 ⚠️解釈違い🌫
    『帰宅困難シンデレラ』

    それは、夜の公園で大学のサークルの仲間たちと花見をしていた時のこと──。
    「わ……私の靴が無い……!」
    そろそろ終電も近いということでお開きになったのだけど、大勢が脱ぎ散らかした靴の中に自分の靴らしきものが見当たらないのだ。
    とりあえず最後まで待ってみようと皆が帰るのを見送ってはみたものの、私の靴が見つかることは無かった。誰かが間違えて履いて帰ったのだとしたらその人の靴が残るはずなのに、それすらも無かったのが不思議でならない。
    どうやって家まで帰ったらいいのか途方に暮れていたその時、最近よく話すようになった時透くんに声をかけられた。
    「ねえ、靴のサイズいくつ?」
    「えっ靴⁉ えっと……24.5……です……」
    もー! 足が大きいのコンプレックスなのに、よりによって時透くんに知られちゃうなんて!
    恥ずかしいやら悲しいやらで泣きたくなっていると、時透くんが私に思いがけない提案をしてくれた。
    「あ、良かった。それなら大丈夫かも。僕さ、25cmなんだけどスニーカーで良かったら貸してあげるよ。僕の部屋ここからすぐなんだ」
    「えっ、そんな悪いよ!」
    「どうして? 帰れないと困るでしょ?」
    「そ、それはそうなんだけど……」
    「遠慮しないでよ。じゃあ急いで取ってくるからここで待って……るのはちょっと危ないみたいだね。困ったな」
    ふと周りを見渡すと、かなり出来上がった酔っ払いたちがあちこちを徘徊していた。仲の良い友達は帰る方向が逆で終電も早かったため早々に別れており、私は一人だった。確かにこの場に一人残されるのは心細すぎる。しかも裸足だ。
    「……もし、もしもだよ。君が嫌じゃなかったらだけど、君のことおんぶして僕の部屋まで連れて行ってもいい?」
    「おんぶ!?」
    「うん。恥ずかしいかもしれないけど、夜で暗いし花見で酔っ払ったんだなぐらいにしか思われないだろうから、少しの間だけ我慢してくれれば」
    「そんな、私は全然構わないしむしろありがたいくらいなんだけど……いいの?」
    「君さえ良ければね。──じゃあどうぞ」
    そう言って時透くんがその場に屈んでくれたので、私はお言葉に甘えてその背中に身体を預けることにした。
    ……実を言うと、時透くんのことを前からいいなと思っていたので、今のこの状況は私にとってラッキーハプニング以外の何物でもなかった。
    「ところで終電何時?」
    「確か0時過ぎだったと……」
    「それ、平日ダイヤじゃない?」
    「ん? 毎日同じじゃないの?」
    「休日だと0時前のはずだけど」
    「うそっ!?」
    私は青くなった。夜遅くに電車に乗ることがほとんど無かったため、終電の時刻が曜日で違うことに気付かなかったのだ。
    「……とりあえず僕んち行こうか。後のことはそれから考えよう。何にせよ裸足じゃ身動きとれないし」
    「うわぁ……何から何までごめんね……」
    「むしろラッキーだと思ってる」
    「えっ!」
    時透くんの言葉に、一瞬私の心の中を読まれたかと思ってドキッとした……けれど。
    「文字通り君を“お持ち帰り”できるわけだからね」
    そっ、そっ、それって──っ!?!?
    「……あぁ、0時になっちゃうね。明日の午前の必修は休講だし、朝はゆっくりでも大丈夫だと思うよ。……だからさ、今夜はもう泊まっていきなよ。──ね?」
    そう言って時透くんは、よいしょと私を背負い直す。その動作に“帰さない”という無言の圧を感じたのは気のせいだろうか。
    「えっと……その、どうしよう……ねぇ?」
    私は返答に窮しながらも、実質一つしかないであろう選択肢を前にして彼の背中でアレコレ想像を巡らせるのだった──。

    それからイロイロあり、結局時透くんと付き合うことになった私。
    後日、なくなったはずの私の靴が時透くんの友達経由で戻ってきたのだけど、その理由については訊かなかったし考えないことにした。


    +43

    -4

  • 987. 匿名 2024/04/13(土) 18:32:30 

    >>552「お花見」

    「花も団子も」1/2

    「さすが週末だ。夜でも随分と賑わっている」
    「ここってお花見スポットとしても有名だものね」

    仕事帰りのデートでよく立ち寄るお気に入りの街。最寄り駅から程近い公園はまるで休日の昼間のように賑やかだった。
    スワンボートで有名な広い池に架かる橋は水面に映る桜を目当てにした花見客でひしめき合っているので回避して、横道から池のほとりまで来ると真っ暗な水面がライトアップされた桜の木をくっきりと映している。

    「ここからでもよく見えるね」
    「水鏡に映る夜桜と言うのは幻想的なものだな。この公園の夜桜と言うと大学生の頃に仲間と花見をした時の印象が強かったが…酔って服を脱ぎ出す者、桜の木と会話を試みる者などが現れて風情も何もあったものでは無かった」
    「あはは、まさか杏寿郎さんはその…酔って変な事してないよね?」
    「俺は他の花見客に謝ったり、服を拾い集める側だったはずだが…仲間に向かって波動拳を放っていたと後日聞かされた時は軽くショックだった」
    「杏寿郎さんがそんな事をしたなんて、見たかったなぁ」
    「いや、あんな醜態など見せられる訳がないっ!当時君と出会っていなくて本当に良かった!」

    いつも大人の余裕たっぷりな杏寿郎さんが珍しく慌てる様子が可愛くて、食い下がってみる。

    「今からでも見たい!よしっ…ヨガファイヤー!」
    「ハハッ、その手には乗らないぞ」

    話に出て来た格闘ゲームで別のキャラクターが使う技の構えをした私を笑いながら両手で制する。一瞬でいつも通りの大人な彼に逆戻りだ。

    「えぇー、見たいのにっ…クシュン!」
    「夜風で冷えてしまったか?女の子が身体を冷やしてはいけない」

    少し間を置いて、背中からふわりと暖かくなる。彼がバックハグで私を包み込んでくれたのだ。

    続く

    +21

    -6

  • 1127. 匿名 2024/04/13(土) 21:08:52 

    >>519桜🌸>>552お花見💮

    W帰宅🏡
    ♞ナイト義勇🌊&🍸ダンディ鱗滝👺


    義勇
    「ただいま
    今日は『お父さんの日』だ
    鱗滝先生と帰ったぞ👺
    俺にとって大事なお父さんだからな
    夜桜が綺麗だから先生夫婦と見に行こう
    夫婦でデートだ
    桜色のワンピースを買ってきたんだが着てみてくれ
    うん、綺麗だ…桜の妖精みたいだな🌸
    では、俺はナイトになろう
    エスコートするので御手をどうぞ」

    鱗滝
    「嫁、ただいま
    今日は義勇と帰ったぞ
    夜桜の名所に連れて行ってくれるらしい
    夫婦一緒にデートしようって言うんじゃ
    桜柄の着物を着てみてくれぬか👘
    どうしたの、って買ったんじゃ///
    照れくさいのう
    ダンディな儂をご披露する時が来たか」
    仮面外す👺
    イケオジ爆弾🌟

    +35

    -3

  • 1166. 匿名 2024/04/13(土) 21:34:43 

    >>552

    お花見 1/2

    「お前バカなのか?夜は冷えるのわかってるのに、なんでそんなに薄着なんだよ」
    「だって、春物のワンピース買ったばっかなんだもん。どこで素敵な出会いがあるか分からないじゃん」
    「鼻水垂らしながら素敵な出会いもなにもないだろ」
    「うそっ!」慌てて鼻をおさえた私を見て、愈史郎は呆れたように笑った。
    「うそだよ。とりあえずこれ着とけ」
    去年も同じこと言ってたのに全然学ばないな、とぶつぶつ言いながら大きめのパーカーをすっぽりと着せられた。
    「や、でも、そしたら愈史郎が寒いでしょ」
    「そんなにやわじゃない」
    この日のために買ったワンピースは裾しか見えなくなった。
    指先が覗いている袖口の匂いをくんっと嗅いだら淡い香水の匂いに思わずドキッとする。
    お前ら相変わらず仲良いなーと周りから茶々が入った。
    愈史郎が「腐れ縁」と答えてお酒の入ったコップに手を伸ばした。
    中学卒業から毎年恒例になっているこのお花見も今年で7回目。
    意外と参加率が良くて毎回10人以上は集まっている。
    「あれ?私のお酒どこ?」
    「花びらが入ってたから、新しいのに変えておいたぞ」
    手渡されたコップに口をつける。ん?味が…
    「なんか薄くない?」
    「気のせいだろ。つーか、飲みすぎるなよ。誰が連れて帰ると思ってるんだ」
    「…今日出会うかもしれない運命の人」
    ドン引きしている愈史郎から目を逸らして、ほとんどウーロン茶の味しかしないコップを一気に煽った。

    冷えてきたのと、お酒の飲み過ぎでお手洗いが近くなった。
    用を済ませてみんなのところに帰ろうとしたけれど、歩いても歩いても見知った顔ぶれが見つからない。
    携帯で誰かに連絡を、と思いついたけれど、ハンカチしか持ってこなかったことに気づいてため息が出た。

    なんで、上手くいかないんだろう。
    別に本気で出会いを求めているわけじゃない。
    今日のワンピースだって愈史郎に私のことを女の子なんだって意識してもらいたかっただけ。
    お酒を飲んだら、少しだけ素直になれるかもしれないと思ったけど、今までも迷惑かけているから、さりげなく取り上げられてる感がある。
    挙げ句の果てには迷子。
    もう、歩くのも考えるのも嫌になって、大きな桜の木の下のベンチに腰を下ろした。
    上を見上げると桜がはらはらと降ってきた。

    続く

    +27

    -4

  • 1292. 匿名 2024/04/13(土) 23:40:18 

    >>552
    【お花見🌸】
    🌫️
    ⚠️解釈違い⚠️同棲しています

    夕飯を食べ終えて後片付けをして交代でお風呂に入ってからベランダに出てむいくんと一緒にノンアルの缶を片手に桜を眺める事にした。
    ガル子「夜に見る桜も街灯でライトアップされてて綺麗だね~」
    むい「そうだね~例年通り咲いて良かったよね」
    むいくんがノンアルのハイボールを一口をグビッと飲む。
    ガル子「うん……本当にいい部屋見つけたよね」
    私もノンアルのゆずサワーを飲んでむいくんに声をかける。
    むい「すっごい探したもんね~見つけた瞬間嬉しかったし♪」
    むいくんがニコニコとノンアルのハイボールを飲む。
    ガル子「素敵な部屋見つけてくれてありがとう♪また来年も一緒に見ようね」
    むい「俺はその先もガル子と一緒に見たいけどな?」
    むいくんのその言葉にドキドキして頷いてからゆずサワーをグビッと飲んだ。

    ──🌸終わり🌸──

    +26

    -8

  • 1346. 匿名 2024/04/14(日) 06:59:18 

    >>552🌸お花見 🪓⚠️解釈違い

    「なぁ!週末みんなで花見行こーぜ!」
    言い出すのはいつもモブ山君だけど、実際にみんなをまとめるのはいつも時透君だった。
    みんなの希望を聞いて日程を決めて、それぞれに役割を決めて振り分けて。大学の仲間内の集まりだから堅苦しいものじゃないけど、それでも時透君みたいにまとめてくれる人がいないと実際大変だよなと思う。

    「え?モブ山がいなくなった?」
    時透君の硬い声が耳に届いて思わず振り返る。浮ついた空気がぴんと張りつめたけれど、それも一瞬の事だった。
    「そのうち戻るだろ」「大丈夫大丈夫」
    みんな酔っているせいもあるだろう。楽観的な言葉が飛び交う中で、時透君だけが真剣な顔で立ち上がった。
    「俺探してくる。もし戻って来たら連絡して」
    「……わ、私も行く」
    突然声を上げた私に時透君は少しだけ驚いたような顔を見せたけれど、黙って頷いてくれた。

    「モブ山さ」
    一歩前を歩く時透君が少しだけこちらを振り返った。
    「高校の時から付き合ってた彼女と別れたんだって」
    「……え?」
    「ああ見えてめちゃくちゃ落ち込んでるんだよな。だからちょっと心配で」
    「そっか」と呟きながら俯いて目を伏せる。だってそんなの全然知らなかった。私にはモブ山君はいつもとちっとも変わらないように見えた。
    「無理してんだよ、ホントは花見なんて気分じゃないくせに。春はやっぱり花見だよなーってみんな誘って盛り上げて。いい奴だよな」
    『いい奴』なのは時透君の方でしょう。面倒な事をさらりと引き受けて、誰も知らない所で悲しんでいたモブ山君に寄り添って。どうしてそんな風に誰かのために動けるの。

    時透君が突然立ち止まってポケットに手を突っ込んだ。スマホを耳に押し当てると安心したように笑う。
    「戻って来たって、モブ山」
    私が「良かった」と呟くと「うん」と目を細めた。その表情に胸の奥がきゅっと締め付けられる。
    「俺たちも戻ろうぜ」
    そう言って歩き出そうとした時透君のシャツを掴んで引き止める。ほとんど勝手に体が動いて、そんな自分にひどく動揺した。
    「ん?どうした?」
    「あの、」と言ったきり口籠る私を時透君が見下ろしている。
    私は一体彼に何を言いたいのだろう。知らない感情が溢れそうなくらいに次々とこみ上げて来るのに、どうしても言葉にならない。
    「……なぁ」
    時透君が少し屈んで私と目線を合わせた。
    「向こうにでっかい池があってさ、夜はライトアップされてるんだって。ちょっと遠回りになるけど行ってみようぜ」
    「……え、う、うん」
    頷いた私に微笑んで、ゆっくりと歩き始める。彼の少し後ろを歩きながら見上げた空には白い月が浮かんでいた。
    ――あぁ、そうか。時透君は私の言葉を待ってくれているんだ。私の言葉をちゃんと聞こうとしてくれているんだね。
    モブ山君にそうしたように、私にも寄り添ってくれている。優しい気持ちが嬉しくて、言葉にできない自分の心がもどかしい。

    びゅうっと強い風が吹き抜けて、桜の花びらが空中を舞い踊る。
    時透君はまるで雨みたいに降り注ぐ花びらをひとつ捕まえると、こちらを振り返って笑った。
    掌にふわりと落とされた一枚の花びらが、私に恋を運んできた。

    終わり

    +29

    -7

  • 2315. 匿名 2024/04/15(月) 21:36:01 

    >>519推しと桜 >>552花見 
    ⚠️後半に🐚 ⚠️解釈違い🌫️

    最初の夜、最後の恋を君と①

    何となく嫌な予感はしていた。
    いくら観桜会の時期とはいえ、着物を着るよう念を押された時点ですでに。
    そしたら案の定、ただの会食と聞かされていた場が両家の顔合わせのようなものに早変わりしてしまっていた。

    代々政治に携わってきた家ではあるけれど残念ながら私は一人娘で他に兄弟はいなかった。
    女性の政界進出が目覚ましい世の中ではあるものの、私は政治に全く興味も無ければ元々の素質も無い。
    だからなのか、父が自分の後継に一人娘を娶らせて自らの地盤を継がせたがっているということは周りから散々聞かされて育ってきた。
    そんなの口で言ってるだけだと思っていたのに、まさか本気だったなんて。

    そして今、目の前にいるお相手の男性というのは19歳の私の一回り上だという。
    あの父が後継に推したがるくらいだ、なるほど若いがデキそうな風ではある。
    経歴だけでなく外見にも難の無い相手を選ぶ辺りに父なりの愛情を感じないでもないが、無断でこんなセッティングをする行為の前ではそんなもの消し飛んでしまう。
    一年の大半は家にいないくせに、たまに帰ってきたかと思えばこれだ。
    一般的なお見合いではアタリの部類なんだろうけど……と失礼な感想を抱きながら、顔に愛想笑いを貼り付けて居心地の悪い空間に身を置いていた。

    着物が苦しいから外の風に当たりたいとゴネて、なんとか中座することに成功した。
    着慣れている着物が苦しいなんてもちろん方便だけど。
    会食の場である料亭はお城のある公園の敷地内にあったので、私はそのままお濠沿いをとぼとぼと歩く。
    約2週間続く観桜会が始まってから最初の週末ということもあり、桜の名所でもある公園内は観光客で大いに賑わっていた。
    温暖化の影響なのか例年より早く開花した桜はすでに満開に近く、春特有の強風で早くも辺りに花びらを振りまいている。
    花霞でぼんやりした空はまるで、明るい未来を描くことができないでいる今の私の心のよう。
    朱塗りの橋の欄干に凭れ、お濠の水面を埋め尽くす花筏が揺蕩うのを眺めていた。
    私もああやって流されるしかないのかと感傷に浸っていたその時──。

    「綺麗だね」
    不意に隣から若い男性の声がした。
    声がした方に顔を向けると、長い黒髪が風に靡いているのが見えた。
    声を聞かなければ女の子だと思ったかもしれない。
    年の頃は私と変わらないくらいだろうか。
    連れはいないみたいだからどうやら私に向けられたらしい言葉だと判断する。
    「ほんと……今だけの絶景だよね」
    そう返して私が再び水面に目を移すと、その人は「違う違う」とクスクス笑う。
    「綺麗なのは、君。よく似合ってるねその着物。お姫様みたい」
    「え……あ、ありがとう……」
    同世代の男の子に面と向かって褒められたことなんて初めてなので、反応に困ってしまう。
    しかもお姫様だなんて。
    お礼で良かったのかそれとも謙遜して否定すべきだったのか、正解が分からない。
    すると彼は言う。
    「世が世なら、君はここのお城に住むお姫様だったのだから当然だけどね」
    その言葉に、私は弾かれたように顔を上げた。
    「──私のこと、知ってるの?」


    (つづく)

    +35

    -6

  • 2801. 匿名 2024/04/16(火) 22:28:28 

    >>552 お花見🍃⚠️解釈違い

    会社の有志で集まって行われるお花見は、いつの間にか毎年恒例になっていた。
    別に誰が決めたわけでもないけれど、集まるのは自然と家族や恋人のいない人ばかりで。
    「寂しい独り身同士傷をなめ合おうぜ」
    昨年のお花見の時に誰かがふざけて言った言葉を思い出す。
    私はそれを真に受けてちょっとだけ安心していた。あぁ、あの人にもまだ『特別な人』はいないんだ、なんて。
    「不死川さん、今年は来ないみたいだよ」
    同期に言われたその言葉は思っていたよりもずっとダメージが大きかった。
    「そうなんだ」ってなんてことないように笑って見せたけど、内心ひどく狼狽していた。
    「……バカだなぁ」
    いつかはこんな日が来るだろうって、分かりきっていたことだったのに。
    せめて告白くらいはしておけば良かった。そうしたらもしかして少しくらいは可能性があったかもしれないのに。
    こうしていたら、ああしていたら。そんな事ばかりが頭に浮かぶ。でももう全部遅いんだ。

    気分転換にと屋上に出ると、嫌味なくらいに青い空が広がっていた。
    見下ろした先の並木道では八分咲きの桜が揺れている。
    お花見は次の日曜。きっとちょうど満開の頃だろう。不死川さんは満開の桜を誰と見るのだろうか。

    「もうすぐ満開だな」
    突然背後から声がして、驚いて振り返ると不死川さんが立っていた。
    「……不死川さん、お疲れ様です」
    まともに顔が見られなくて、目を逸らす。彼は私の隣に立つと大きく伸びをした。
    「……お花見、今年は参加しないんですね」
    「情報早いな。お前は?」
    「私は参加しますよ。残念ながら一緒に桜を見るような相手、いませんし」
    「へぇ、そりゃ良かった」
    「……どういう意味ですか」
    思わず恨みがましい目で彼を見てしまう。いくら自分が幸せを掴んだからってそんな意地悪言う事ないのに。
    そんな私に彼がくすりと笑って、そっと目を細めた。
    「俺じゃダメか?」
    「え?」
    「“一緒に桜を見る相手”」
    想像もしなかった言葉に思わずじっとその顔を見つめてしまう。言葉の意味を理解すると泣きそうになって慌てて手摺に顔を伏せた。
    「し、不死川さんが行かなかったらみんながっかりしますよ」
    「そうかァ?」
    「そうです」
    そうだ。彼が行かなかったらみんなががっかりするのも寂しがるのも分かってる。分かってるけど、でも――
    「……いいんですか?私が独り占めしちゃって」
    「こっちの台詞だろ」
    「え?」と呟きながら少しだけ顔を上げた。不死川さんが私の顔を覗き込んでいたずらっぽく笑って見せる。
    「いいんですか?俺が独り占めしちゃって」

    バカみたいに何度も頷く私を見つめて、あなたがやさしく微笑んだ。

    おしまい🌸

    +39

    -11

  • 3897. 匿名 2024/04/18(木) 23:08:36 

    >>552 お花見 全3話
    ⚠️解釈違い ⚠️😚あり

    毎年恒例の同期みんなで集まるお花見。
    毎年恒例なんだけど、今年は一つ、いつもと違うことがある。
    それはついこの間、“煉獄くんの同期”から“煉獄くんの彼女”に昇格したということだ。

    それは、今までと違うたった一つのことなんだけど、私にとってはとても大きなたった一つ。
    二人きりではないけれど、恋人同士になって初めての桜の季節だ。

    「天気良すぎるくらいに天気良いね」モブ美が言うと
    「あったかい通り越してもはや暑いよね」モブ江が答える。
    私含む女性陣3人はみんなレジャーシートの上に座って日傘を差す。日傘を持つのと逆の手でお酒を飲んだりスナックを摘んだりしていた。
    「にしても煉獄くん遅くない?珍しいじゃん、遅刻なんて。どうしたの?」
    モブ美がニヤニヤしながら私をつつく。
    「分かんない。なんか、忘れ物とか言ってたけど…」

    噂をすれば、というやつで、「すまない!遅くなった!」と煉獄くんがやって来た。手に何やら大きなものを持っている。
    「何それ?それが忘れ物?」「うむ!」
    煉獄くんは手荷物を芝生に下ろすと、ジーッとファスナーを開けた。そしててきぱきと中身を取り出してそれを組み立てていく…
    「わあ!テントじゃん〜!」
    「煉獄くんさすが〜!」
    日傘を揺らして私たちは大喜びした。
    「まさかだけど、ガル子と煉獄くん専用のテント、じゃないよね?」
    モブ美がちらりと煉獄くんを見る。
    「まさか、テントの中で二人きりなんて、煉獄くんがまさかそんなエロ親父みたいなことするわけないでしょ」
    モブ江が大袈裟に手を振りながら言う。
    いや、どんな例えなの。と同期みんなが思いながら全員の視線が一斉に煉獄くんに集まった。

    「もちろん、女性陣の為に準備した!3人で使ってくれ!」
    煉獄くんはこれ以上ないくらい爽やかな笑顔で答えた。

    日差しの遮られたテントの中は快適で、結構蒸し蒸しするんじゃないかなと心配していたけれど、上手く風の通り道が作られているお陰でそうでもなかった。
    まあ、肝心の桜は見えなくなっちゃったけれど。…それに煉獄くんの姿も。
    「なにむくれちゃってるの」
    モブ美が私の頬をつつく。
    「良いのよ〜、ガル子は無理してこっちいないで、煉獄くんのところ行っても♡まあこのテント煉獄くんのだけど」
    モブ江が言う。
    「違う違う。桜が見えないな、って残念になってただけ!」
    口では否定したけれど、本音はやっぱり煉獄くんと一緒に桜を見たかった。
    青空を背景に薄桃色の花を見上げたり、道を埋め尽くす桜の絨毯の上を歩いたり、舞い散る花弁の中来年も一緒に桜を見ようと約束したり、そんなことがしたかった。

    そんな時、絶好の機会が訪れた。
    お酒とおつまみの追加に、煉獄くんが買い出しに行くと言い出したのだ。

    続く

    +29

    -3

  • 4905. 匿名 2024/04/20(土) 22:50:22 

    >>552 『お花見』

    桜の季節は短い。
    1ヶ月とは言わないが、もう2週間くらい長ければ話は変わって来るのにといつも思う。
    「がる子ちゃーん!食べてるかーい?」
    少し離れた彼へ縦に首を振る。
    大抵こういった場では頼まずとも男性陣が張り切ってくれるので不思議だといつも思う。
    焼け焼け善逸!と急かすのはモブ男だ。ビールひと缶で酔えるのだから燃費が良い。
    善逸はお肉ちゃん食べてるかな。紙皿の上のおにぎりだってまだ手がついていないように見える。
    桜の季節なのに寒い。花見の度に思っているような気がする。
    それでもこの週末しかない。それはきっとみんな同じだ。
    このペースだときっと私は食べ切れない。善逸の隣へ行って分け合うみたいに…いや、男性陣に割って入れる雰囲気じゃないし…
    自分の紙皿を持つ手が冷たい。どうしよう、一回飲み物でも買いに…近くに自販機なんてあったかな。
    「がる子ちゃあああーん!ギブ!変わってえぇ!」
    手招きされるまま彼の隣で火箸を受け取る。
    炭の目の前にして頬が火照るように感じる。火の近くはこんなにも温かいのかと驚く。
    ずっと焼き続けた善逸は熱かっただろうな。ごめん。もっと早く気づけば良かったのに。
    「火の粉が飛ぶから気をつけてね」
    「わかった。焼くから善逸食べてていいよ」
    「ごめん、寒かったね。手真っ赤」「え」
    「暑くなったらまた変わるからね」
    善逸はなぜかいつも気づく。

    おわり

    +26

    -5

  • 6058. 匿名 2024/04/22(月) 21:14:52 

    🍀>>5710🐗HappyBirthday🎂
    >>5317地元じゃ負け知らず
    >>5353ワイルドセクシー柱
    >>519桜🌸>>552お花見
    >>591🍽️🍤

    ワイルドセクシー柱義勇&伊之助🌊🐗


    🌊🐗『ただいま』

    🎤地元じゃ負け知らず〜🌊🐗

    🌊「ワイルドセクシー🌹に、サービスショットで帰ったぞ
    今日は伊之助の好きな天ぷらを皆で食べよう🍤
    やんちゃで元気で明るく、前向きに突き進む伊之助が好きだ
    伊之助、本当におめでとう!🥂
    俺の手作りケーキだ>>6044🎂」

    🐗「半々羽織と帰ったぞ!💨
    どうだ?ワイルドセクシー柱だろ?
    これから花見しようぜ!
    半々羽織がいっぱい天ぷら奢ってくれるってさ!🍤✨
    楽しく過ごそうな!
    半々羽織と一緒のCM放送も見てくれよ!📺>>6001

    +42

    -3

  • 8172. 匿名 2024/04/27(土) 00:19:36 

    >>552
    お題 お花見
    ⚠️解釈違い

    分かってたよ。
    素っ気ない態度はヘタクソな好きの裏返し。
    曖昧なその態度に振り回されながらも気付いたら好きになってたんだ。
    彼はいつもクールで中性的な不思議な雰囲気を纏ってる。
    不器用、ツンデレ、意地っ張り。
    でも心はとても繊細で優しい人。
    今だから言っちゃう。
    本当はね愈史郎の気持ち薄々気付いてたんだ。
    少しひんやりとした夜風と共に桜の花びらが吹き込んでくる地下道を通り抜け、黄色信号が点滅する人気のない幹線道路沿いを二人で歩く。
    どちらともなく自然と手を繋いで距離が縮まる。
    あれはちょうど満開の桜が散り始めた去年の今頃。
    桜祭りの最終日。
    突然LINEしてきて「暇だから花見に行くぞ」だなんて。
    素直にデートのお誘いだって言えばいいのに。
    あの日人混みに紛れて初めて手を繋いだよね。
    春の夜風に吹かれて降り注ぐ桜の雨の下。
    「やっぱりお前かも」
    曖昧に伝えられた愈史郎から私への告白。
    それが告白だと気付くまでだいぶ時間がかかったよ。
    ずいぶん回り道しちゃったね。
    今じゃ二人の笑い話。
    「愈史郎覚えてる?初めてお花見デートに誘ってくれた日のこと」
    「なんだよ急に?」
    「待ち合わせに遅れないように私一時間も早く着いたのに愈史郎すでに待ち合わせ場所に着いててさ」
    「そうだっけ?忘れた」
    照れ隠しなのか急に早足になる愈史郎。
    時間間違えたって必死で言い訳してたけど嬉しかったよ。
    愈史郎っていつもそう。
    私の誕生日の日も自分の買い物のついでって言いながら何時間もかけてプレゼント選んでくれたんだよね。
    私の欲しいものさり気なくリサーチしてしっかり下調べして何日も前から準備してくれてた。
    いつも涼しい顔して気のないふりして隠せてると思ってたでしょ?
    でもね愈史郎それ全部表情に出てるから何も隠せてなかったんだよ。
    思わず思い出し笑いが込み上げる。
    「何笑ってんだよ?」
    「え?なんでもなーい」
    私は思わず愈史郎の腕にギュッとしがみついた。


    終わり

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  • 9502. 匿名 2024/04/29(月) 23:59:44 

    >>552
    お花見

    コロコロ変わる天気予報と仕事に忙殺されて、今年は2人でお花見をしなかった。彼は友人や職場の仲間達と何度か楽しんだようで「花見は腹いっぱい」と満足気。
    「まだいじけてるのか?」 「私だって槇寿郎さんとお花見したかったですよ。毎年の楽しみだったんだから……」

    彼は短いため息をついてどこかへ消えてしまったから、いじけ虫の私に呆れたのだろう。子供っぽかった、諦めが悪い……自己嫌悪で悲しくなる。

    「がる子……これで今年は我慢しなさい」
    ドンっとテーブルに置かれたピンク色の瓶。中には桜の花びらが浮かんでいて目にも楽しいお酒。ピンク色が似合わない彼が用意してくれた今年の桜にときめいた。

    「大好き!ありがとう槇寿郎さん!」
    まだ飲んでいないはずなのにじわじわピンク色(いや、赤)に染まる彼が愛しくて仕方ない。

    END🌸

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