ガールズちゃんねる
  • 542. 匿名 2024/04/12(金) 21:22:43 

    >>482
    【お題】隣の推し
    新生活シーズンですので✨
    引っ越し先のお隣さんが推しだったり…
    新しいクラスで隣の席が推しだったり…
    長文SSなんでも👌です!素敵な妄想お待ちしてます!

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  • 776. 匿名 2024/04/13(土) 00:17:48 

    >>542
    ⚓️隣の推し

    +12

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  • 821. 匿名 2024/04/13(土) 05:32:18 

    >>542 隣の推し🪓

    「……ねぇ、もしかして私口説かれてるの?」
    目の前に置かれた、まるでお店で出て来るみたいなオムライスを覗き込んで呟く。かけられているのがホワイトソースなのは、私がこの前ホワイトソースが好きだと言ったからだろう。隣では春キャベツがたっぷり入ったトマトスープが白い湯気を立てている。
    目の前のその人は「はぁ?」と心底怪訝そうな顔をして、手にしたスプーンでこちらを指した。
    「真夜中に人んちの前で行き倒れるような女、誰が口説くかよ」

    半年前から隣の部屋に住んでいる彼とはつい先日まで全く面識がなかった。ここ半年ずっと忙しくて、深夜の帰宅が続いていたせいもあっただろう。
    そうして無理を続けるうちにたまった疲労で、自分の部屋にたどり着く前に行き倒れた私を助けてくれたのが彼だった。
    私の残念過ぎる食生活を聞いた彼は、呆れながらも部屋に招き入れて手早くうどんを作ってくれた。久々のまともな食事を泣きながら食べる私を不憫に思ったのか、それから週に2~3度こうして手料理を振舞ってくれる。

    「餌付けだ餌付け」
    投げやりに言われて思わず眉をひそめた。犬や猫じゃあるまいし餌付けって言うのはどうかとは思うけれど。でもまあ確かに――
    「……胃袋は掴まれてるかもなぁ」
    苦笑いしながら呟いて、ちらりと顔を上げる。
    不機嫌そうに眉間に皺を寄せた顔も、もう見慣れた。一切オブラートに包まない辛辣な物言いは、きっと私を心配してくれているから。だってこんなに優しい味のご飯を作る人を私は知らない。
    参ったなぁと心の中で呟く。どうやら掴まれているのは胃袋だけじゃないみたいだ。

    「なぁ、俺が掴んでるのって胃袋だけ?」
    唐突に言われて、口に出してしまっていたかと動揺して軽く咳き込んだ。
    「……ど、どういう意味?」
    「そのままの意味」
    涼しい顔してスプーンを口元に運ぶその顔に、かっと頬が熱くなる。
    「か、帰る!ご馳走さまでした」
    慌てて立ち上がろうとした私の手首を彼が掴んだ。
    「待て」
    下から顔を覗き込まれてたまらず目を背ける。諦めてその場座り直すと、深い溜め息が耳に届いた。
    「本当はもっとじっくり手懐けようと思ってたんだけどなー」
    「手懐けるって……失礼じゃない?」
    俯いたまま口を尖らせる私に彼が笑う。
    「もう限界かも。さっきの撤回する」
    「さっきの?」と顔を上げると、珍しく困ったように笑う彼と目が合った。
    「口説いてる。初めてお前がうちに来た時からずっと」

    おしまい

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  • 1384. 匿名 2024/04/14(日) 10:17:44 

    >>542
    高2の春から同じクラスになった童磨くん。
    背も高くて美形でどこにいても目立つ存在。中高一貫の名門校で中学からこの学校にいる彼だけどよく授業をサボっているのに成績は学年5位以内をいつもキープしていていろいろな意味でも目立つ存在。
    そんな彼と同じクラスどころか隣の席になってしまった…
    「よろしくね!」
    「うん、よろしく」
    笑顔が眩しい…間近で童磨くんの顔を見るのははじめてだ。こんなにキレイな瞳をしていたんだ。

    同じクラスになって2週間。
    童磨くんは1日も授業をサボっていない。
    とは言っても居眠りしていることも多いからサボっていないとも言えなさそうだけど。
    そんな彼の寝顔を見ているのも退屈な授業中の密かな楽しみだ。
    前よりも学校に来るのが楽しみになってきた。
    童磨くんがとなりの席にいるという事実だけでこんなにも世界がキラキラして見える。
    不思議な気持ちだ。

    +31

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  • 4351. 匿名 2024/04/19(金) 23:05:23 

    お題 隣の推し>>542>>544 
    ⚠️税理士の🪓&解釈違い ⚠️こちらは🐚を含む長編です。

    『銀の鍵』①

    ──4月。それは、税理士事務所にとって決算業務の繁忙期である。3月の確定申告が終わったかと思えば、3月決算法人の決算業務に追われる日々が待ち構えているのだ。
    私はデスクの上に山積みになった書類を、うんざりしたような表情で眺めていた。

    「さっき頼んだ仕事の進捗状況は?」

    視界の隅っこで浅葱色の髪の毛先がふわりと揺れる。先輩に急に話しかけられて、私はしどろもどろに答える。
    「すみません。ちょっと……難航してまして」
    「わかった。後でフォローするからちょっと待ってろよ。な?」
    「ありがとうございます」
    デスクに戻り、書面の数字と睨めっこしている先輩のことを、私はそっと見つめる。
    腰まで届く長い髪、女性と見紛うほどの整った横顔。先輩を構成するすべての要素が美しい。
    私は毎日こんな風に秘めた恋心を隠しながら、先輩の隣の席に座って仕事をしている。
    初めて会った時、なんだかとっつきにくい印象の人だと思った。でも一緒に仕事をしていくうちに彼の面倒見の良さや優しさに触れて、いつの間にか好きになってしまったのだ。
    ……あ。先輩が眉を顰めて険しい顔つきになった。これは書面のミスを発見した時の表情。
    先輩は書類を持って、それを作成した男の人のところへ行くと、論理的な物言いで訂正を促した。変に媚びたり胡麻を擂ったりしないのも先輩の魅力的なところだ。常に堂々としていて、自分の意志をはっきりと伝える。

    仕事に向き合う真剣な表情も、無邪気な笑顔も、困った時に下がる眉も、理不尽なことに対して怒った顔も……全部好き。
    私は、なるべく気配を消して先輩のことを見つめている。──気付かれないように、そっと見守るようにして。

    続く

    (『透明人間』/東京事変)

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