ガールズちゃんねる
  • 15204. 匿名 2024/05/10(金) 03:06:30 

    >>14743
    鬼滅デート企画🎴&歌お題 22話目
    ⚠解釈違い⚠※色々キャラが出ます※色んな設定詰め込み過ぎ※何でも許せる方向け※長文です

    フロントガラスに何かが打ちつける音がして目が覚めた。伸びをしながら体を起こすと、小さな水の粒が次々とガラスに張り付いてくる。
    (───雨か。嵐になる前に出発した方がいいが、どうするかな)
    懐中時計を開いて時刻を確認する。列車の出発までまだ時間はあるが、雨の中、田舎道を運転して何かあったら困る。早めに迎えに行った方がいいだろう。
    座席の奥から大きめの蛇の目傘を取り出し、車を降りた。空を見上げると稲光で一瞬辺りが明るくなる。今にも天気荒れそうだ。けれど時間が許す限り、ガル子さんにはギリギリまで炭治郎と一緒に過ごさせてやりたい。
    (あーあ、ついに感情移入しちまった。コーディネーターとして私情を挟むつもりは無かったのにな、最初は)
    今、ガル子さんがどんな思いで炭治郎との時間を過ごしているかを考えると憂鬱というか切ないというか、何とも言えない気持ちになってくる。
    (全く罪深い企画だよ、マジで)
    雨が強くなってきた。早足で山道を登ってゆくと、前方から人が歩いてくるのが見える。
    「炭治郎!ガル子さん!」
    二人に駆け寄る。炭治郎はずぶ濡れだ。ガル子さんに自分の羽織を被せているが、彼女もずいぶん雨に打たれている。表情も疲れていて暗い。
    「急いで車に戻ろう」
    二人を傘に入れて歩こうとしたが、炭治郎が動かない。頭から流れ落ちる雫を拭おうともしない。
    「後藤さん」
    雨音が響く中、炭治郎の声がやけにハッキリと聞こえた。
    「俺、帰したくありません」
    「炭治郎…」
    「後藤さんは、ガル子が帰らずに、ここにいられる方法を知っているんですか」
    「───いいから車に戻るぞ」
    「行きません。このまま会えなくなるのは嫌だ」
    炭治郎の目は真剣だ。ガル子さんはともかく、炭治郎まで本気なのか。二人がまさかここまでお互いに惹かれあっているとは知らなかった。どうするか。
    「結論から言うと、ガル子さんは帰らなきゃならない」
    「じゃあ、俺が一緒に行きます」
    「それはダメだ」
    「どうしてですか。何でダメなんですか!」
    俺はため息をついた。そういう決まりなんだよ!と返したくなる気持ちを拳を握ってグッと堪えた。炭治郎は良くも悪くも一本気な所がある。激情に駆られて聞く耳を持たなくなったら厄介だ。取り返しがつかなくなる前に、ちゃんと話すべきだなコレは。もう仕方がない。
    「──ちゃんと説明する。だから車に乗れ」
    「本当ですか?」
    「信用しろ。俺とお前の仲だろーが」
    「後藤さん…」
    「はぁ、もう…面倒な事に俺を巻き込みやがって、お前らは…」

    車に戻る道すがら、俺は内心頭を抱えていた。

    つづく

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  • 15208. 匿名 2024/05/10(金) 03:54:52 

    >>15204
    炭治郎、恋をしたらこうやって真っ直ぐに愛してくれるんだろうな
    この後の展開が気になります…!

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  • 15216. 匿名 2024/05/10(金) 06:06:03 

    >>15204
    炭治郎もガル子ちゃんに恋してたんだね...(´;ω;`)

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  • 15248. 匿名 2024/05/10(金) 08:59:16 

    >>15204
    鬼滅デート企画🎴&歌お題 23話目
    ⚠解釈違い⚠※色々キャラが出ます※色んな設定詰め込み過ぎ※何でも許せる方向け※長文です


    二人を後部座席に乗せた後、自分も運転席に座った。雨で濡れた隠の頭巾も口元の覆いも全て剥ぎ取って深呼吸する。バックミラー越しの二人は緊張しているようにも、不安そうにも見える。
    「まず炭治郎。お前はここで、この世界で自分がやるべき事がある。わかるだろ?それともお前は、自分のやるべき事を放棄するのか?」
    「それは───っ」
    「ガル子さんと一緒に行くっていうのは、そう言うことなんだ」
    炭治郎が押黙った。
    「ガル子さんは元の所に生活の基盤がある。帰らなければ心配する人がいる。だから、ここでお前と一緒にいるという選択肢は元から無い。それに…」
    「じゃあ、どうすればいいんですか!」
    炭治郎が苦しそうに叫んだ。
    「いいから人の話は最後まで聞けよ!」
    お互いに一歩も引かないという、緊迫した空気が流れる。
    「───お前のやるべき事の先に、ガル子さんの未来があるんだ。お前がちゃんと竈門炭治郎としての責任を果たしたら、ガル子さんの生きる未来が守られる」
    「後藤さん…」
    「万が一、炭治郎が責任を果たせなければガル子さんのいる未来が変わるかもしれない」
    「そんな…」
    鬼滅が好きならわかるだろう、主人公の背負う過酷で、苦難に満ちた重い責任が───そして、それを放棄することは許されない。そもそも、時空を超えて本来出会う筈のない二人がこんなに惹かれ合って、さらに今すぐ一緒になろうなんて……どうしても無理なんだよ。
    思わず口にしそうになった言葉を呑み込んだ。
    二人はただ黙ってお互いの手を握りしめている。離れ難そうに、しっかりと固く結んで。
    それを見て、不覚にも涙が出そうになる。
    たった一日で二人の運命がガラッと変わってしまった。
    思い合う二人をこれから引き裂くなんて…何がデート企画だ。幸せになりやしない、こんな残酷な話があるかよ、馬鹿野郎…!!

    気付けば、いつの間にか雨が激しくなってきた。急がなければいけない。
    「…制限時間も近付いてる。二人共、駅に向かうぞ」
    鼻の奥がツンとするのを感じながら俺は車のエンジンをかけ、ハンドルを掴んだ。

    つづく

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