ガールズちゃんねる
  • 14553. 匿名 2024/05/09(木) 00:31:43 

    >>14545の続きです。3/3
    ⚠️解釈違い ⚠️🐚 ⚠️趣味に全振り、何でも許せる方向け

    「こんにちは」口元に手をあて、隣に座った伊黒先輩にそれだけ言った。
    「あぁ」
    先輩が腕にかけていたタオルを傍にふわりと置き、首元の鏑丸をその上にそっと乗せた。ほわほわのタオルで急拵えされたリラックススペースに横たわる白い身体を、細い指が優しく撫でる。どことなく、鏑丸がぐったりしていることに気がついた。
    「鏑丸、どうかしたんですか?」
    「あぁ…ちょっと風邪を引いたらしくてな」
    蛇も風邪引くんだ…そりゃそうか。
    「この近くに蛇も診てくれる良い獣医を見つけたから、今日も昼休みにそこに行って来たんだ」
    あ───そうだったんだ…そりゃお昼ごはんどころじゃないよね。
    「そうでしたか…大変でしたね」
    膝の上にお弁当を乗せたまま、そっと鏑丸の様子を伺うと───ほんとだ…元気が無いし、鼻水が垂れている。そのうち鏑丸がぷしゅっとくしゃみをした。蛇がくしゃみをするのを見たのは初めてだ。そう言えば昨日も今日も、ほとんど鏑丸は先輩の肩の上で動かなかった気がする。いつもは目の前の桜の木に登ったりして遊んでいるのに。具合が悪かったのか───。小さく丸めたティッシュで鏑丸の鼻水を拭き、よしよしと白い身体を撫でていると、肩にとん、と重みを感じた。伊黒先輩が背後から私の肩に顎を乗っけて、私の膝に乗ったお弁当箱を覗き込んでいる。
    「俺にも、ひとくち」
    「え?」思わず振り返り、綺麗な異色の双眸が視界いっぱいに入ったところで慌てて止めた。先輩の顔が…めっちゃ近い。
    「いつもはひとくちくれるじゃないか」
    少し不満気な瞳がこちらをチラ見した。
    「でも……迷惑じゃないですか?こんな、私のお弁当なんか…」
    「迷惑?…何故そう思う?」
    「え…そりゃあ…」だって────あれ?さっきまでガッツリそう思ってたんだけど。違うのかな…
    「迷惑などと思ったことは無いな。嬉しいとは思っていたが」
    「…そうなんですか?」
    「それと───これ」小さな袋に入った何かを先輩がポケットから出して、こちらに向ける。
    「え…」
    「お礼。いつももらってるから」
    見ると中身は近所のパティスリーのお菓子だった。
    「ありがとうございます…」
    「迷惑であれば、図々しく君の昼食のお裾分けを連日いただくわけがないだろう。断るなり席を外すなり、対応はいくらでもあるのだから」
    伊黒先輩がお弁当箱に視線を戻し、肩に乗った顎の重みが増す。
    「───何食べます?」
    「玉子焼き」そう言って、先輩がマスクを下にずらしてちいさな口をあーんと開けた。
    「………」
    「ん」異色の双眸だけが動き、私をじろりと見て先を促した。
    「あの、お箸…私のカバンの中に…」
    「それでいい」
    私の手にあるそれを使えと、顎で指し示す。
    「間違えた。それ が いい」
    でも、これって─────お箸を持つ手が微かに震える。うまく力が入らなかったがなんとか玉子焼きを半分にして、先輩の口にそっと入れた。
    ねぇ先輩───これって、あの……間接キス………になりますよ?
    心臓が煩いほどに鳴り響き、身体が熱くなる。数センチ隣の先輩の顔を見ることができない。
    「うん、美味い───甘いな」
    「…すみません…明日からはもう少し甘さを控えてみますね」
    「いや────」
    伊黒先輩が唇をぺろっと舐めて、私の膝の上のお弁当箱を手に取り、それから階段にことりと置いた。冷んやりとした手が私のうなじに添えられる。くいと自分の方を向かせると、その綺麗な瞳で射抜くように私を見つめてこう言った。

    「もう少し、甘い方がいい」

    そう言った薄い唇が、私の唇をそっと塞いだ。
    (おしまい)

    +27

    -6

  • 14555. 匿名 2024/05/09(木) 00:38:43 

    >>14553
    あまーーーーーーい🪦(語彙力が消えた)

    +22

    -2

  • 14587. 匿名 2024/05/09(木) 04:25:23 

    >>14553
    それがいいの威力🪦🐍
    素敵な昼休みだわ✨

    +17

    -2

  • 14942. 匿名 2024/05/09(木) 21:46:31 

    >>14553
    ⚠️🐚だったので夜になるのを待っておりました!伊黒さん推しです。
    秘密基地のような美術室裏の階段…もうっもうっ高校生なのになんて色気があるんですか~くらくらします(褒めてますよ!)
    好きです💕

    P.S.鏑丸くんの快癒を祈っております

    +18

    -4