ガールズちゃんねる
  • 13875. 匿名 2024/05/07(火) 21:48:04 

    >>13854⚠️解釈⚠️見切り発車⚠️自萌え⚠️😼社長
    年上の後輩📿⑭


    今夜の山本さんは甘えさせてくれるのだと踏んで、私は気持ちを緩めて彼にすべて話してしまおうと思った。
    「始めから、気持ちを伝える気はありませんでした。結婚すると聞いていたので。」
    横からゴホッと吹き出す音がした。…違ったかもしれない。

    「…待て、手を出したんだよな?」
    「そうですね、手、だけ。」
    「おい」
    目を見開きながらまっすぐ詰められると、さすがに酒の力も及ばないほど自己嫌悪した。

    「…好きな女が睡眠薬飲みながら頑張っていて、なのにつまらない男の言いなりだったので、ついカッとなってやりました。」

    もっと叱ってほしくてふざけた言い方をしてしまったと自覚しながら言葉を待つと、妙な間が空いた。
    おや、と思って彼を見ると、どうしようもないことだ、と呟いてグラスを干した。鉱石のような紫色の目を伏せる。


    ああもしかしたら、この人にも経験があるのかもしれない
    どうしようもなくなって、手を伸ばしてしまったことが


    「プライベートをとやかく言う気は無いが、俺はおまえのそういう…誰かを助けるために入り込み過ぎるところは、昔から気に入らない」
    思わず笑いそうになるのを耐えた。それは、あちこち助けてまわるあなたのことだ。

    「なぁ、俺のところで身を入れる気があるなら、もう少しマシな生き方をしろよ。
    片足で立つな。」
    「じゃあしばらくは、あなたが付き合ってくれるんですね?充実したプライベートにするために。
    ならやはりボトルでお願いします。」
    わかっているのかとぶつくさ言いながら、彼はまっすぐな前髪を横に流し店員に目を向けた。

    東北の酒が、手の中できらきらひかる。いくらでも飲める気がした。






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  • 13885. 匿名 2024/05/07(火) 21:55:59 

    >>13875
    ねえ山本さんかっこよすぎるんだけど…
    俺のところで身を入れる気があるなら~のセリフが死ぬほど刺さってる…

    +25

    -3

  • 13886. 匿名 2024/05/07(火) 21:56:54 

    >>13875
    いやあ東北の酒って美味しいですよね…じゃなくて悲鳴嶼さんと愈史郎さんのコンビがとてもいいなあと思いながら読ませて頂いてます

    +23

    -3

  • 13898. 匿名 2024/05/07(火) 22:05:19 

    >>13875
    セリフ一つ一つがすごく刺さります
    続きが気になります

    +18

    -1

  • 13911. 匿名 2024/05/07(火) 22:18:05 

    >>13875
    上手く言葉が出てこなくて、なんてコメントしたらいいのか分からないけどコメントせずにいられない、そんな気持ちです。
    とにかくこのお話しの、狂おしい世界に惹き込まれています。

    +21

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  • 13932. 匿名 2024/05/07(火) 22:34:29 

    >>13875
    目を離した間に話しがすすんでた~
    ドキドキ🧟‍♂
    もー二人とも幸せになってぇ

    +15

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  • 14427. 匿名 2024/05/08(水) 22:13:24 

    >>13875⚠️解釈⚠️見切り発車⚠️自萌え⚠️😼社長
    年上の後輩📿⑮



    三年経って開発が終盤に差し掛かり、現場や役所や職人の元を走り回っている時に、とある会社から打診が来た。
    新規開拓は無理だと思われていた業界で薬剤取扱いから始まり、まだ日本で馴染みのなかった配達ロボとそのルートを広げつつあり、急激にシェアを広げていた通販会社だった。



    膨大な人脈ある若い社長だと知ってはいたけれど、実際に会ってみると驚くほど若く見えた。
    サラサラとした前髪を少し横に流した下にある大きな目は、陽に透けると紫がかってみえる。

    何百年と人の間で生きてきた、アンティークの鉱石のような瞳。

    連れていた美しい女性たちよりも見入ってしまった。
    不躾なほど社長を見て話をした。

    「気になりますか」
    社長は資料に目を落としたままで聞いた。
    「申し訳ありません、綺麗だなと、思って」
    「そうではなくて」


    実際、見入っていなければ、私は自分を保てそうになかった。

    社長の隣には悲鳴嶼くんがいたから。



    「毎日時間ごとにインテリアが変わるのは面白いですし、それに、正直に言って資金面で非常に魅力的です」
    「ありがとうございます。こちらは宣伝だけ出来ればいいので、UB開発さんにとって良い方向で企画を詰めて行けたら…」

    開発を進めていけば資金不足は必ず起こるが、綿密に計画立てていたのでほぼ軌道内に収まっていた。
    目の前にいる、三年前に辞めた人間が何度も何度も確認していた計画だった。

    そしてまだ誰にも話していない先のことだったが、資金面でもう少し余裕がほしいと思っていたところだった。

    見透かすようなタイミングだった。

    きっと彼だ。

    馬鹿みたいに確信を持ってそう思った。



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