ガールズちゃんねる
  • 1188. 匿名 2024/04/13(土) 21:55:23 

    >>1173趣味全振り&闇病み
    ⚠解釈違い⚠🎴「油断しないで、先輩」3話目
    ※何でも許せる方向けです 

    飲み会も後半に差し掛かり、酔う社員も増えてきた。
    遠くのテーブルでは彼氏がまだ上司や後輩と飲んでいる。そろそろお開きも近いのに。帰るまでに、どう彼氏に声をかけようかと考えていると…

    「ガル山先輩すいません。私ちょっと酔ったみたいで…」
    とモブ崎さんが言い出した。
    「え、ちょっと大丈夫?ウーロン茶飲む?」
    「大丈夫です…あっ」
    立ち上がったモブ崎さんがよろけそうになるのを竈門君が支えた。
    「炭治郎、私もう帰ろうかな…」
    「俺がモブ崎を外に連れて行きます。先輩、すみませんが一緒にタクシー捕まえてもらえませんか?」
    「いいよ。私も帰るからちょうど良かった」
    竈門君がモブ崎さんを連れ、私は自分の荷物と彼女のバッグを持って店を出た。

    春先とはいえ夜は結構寒い。他にもタクシー待ちの人がいて何台か見送った後、すぐに乗れそうな車を見つけ手を挙げた。これでもう大丈夫だろう。
    「竈門君、モブ崎さん乗せてあげて。私はこのまま帰るから」
    「えっ、でも先輩は…」
    「竈門君もモブ崎さんもお疲れ様。気を付けてね!」
    私は逃げるようにその場を後にする。何となくその後の展開が読めるような気がして一人で苦笑する。
    (何に気を遣ってんだか、私。社内恋愛の火種作ってどーすんの)
    とりあえず2人を振り返らないよう、コートのポケットからスマホを取り出した。彼氏に連絡するもやっぱり取らない。仕方がないので音楽を聴きながら歩くことにした。
    繁華街の道沿いには桜の木が並んでいて、はらはらと花びらが落ちてくる。時々立ち止まっては桜を見上げてぼんやり眺めていた。すると───

    「先輩!!」
    という声と共に、笑顔でこちらに走ってくる竈門君が見えたのだった。


    つづく


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  • 1195. 匿名 2024/04/13(土) 22:06:44 

    >>1188趣味全振り&闇病み
    ⚠解釈違い⚠🎴「油断しないで、先輩」
    ※何でも許せる方向けです 4話目

    「えっ!?竈門君、モブ崎さんは?」
    竈門君は追いつくなり、ハァハァと大きく息を弾ませた。
    「ちゃんと、タクシーに乗せて、帰しました。だから大丈夫です」
    「そうなんだ。てっきり一緒に帰ったかと…」
    「モブ崎が2人で飲み直したいって言ったんで、酔ってるから駄目だよって断りました」
    「ふ、ふーん…そっか」
    モブ崎さんの思惑を考えるとなんだか複雑な思いがする。こんなふうに真面目な彼はともかく、彼女がショックを受けていないといいんだけどな…
    「先輩こそ、イヤホン耳に入れたまま夜道歩くの危ないですよ」
    「でも繁華街だしまだ人も多いし大丈夫じゃ…」
    「駄目です。聴くならせめて片耳にしとかないと」
    すると竈門君は私の右耳からイヤホンをサッと抜くと自分の耳に差し込んだ。彼の耳飾りが揺れる。私は彼との距離が近くなって一瞬ドキリとした。
    「──これ、いい曲ですね、先輩」
    「えっと、あの…」
    「俺、ちょうど帰るの同じ方向なんですよ。途中まで一緒に行きませんか」
    「うん、まぁいいけど」
    「良かった」
    心底嬉しそうな表情を見て僅かに胸の鼓動が早くなった。こんな表情をするんだ、と思った瞬間、
    (あーダメダメ、彼は年下!ただの後輩!それに彼氏いるじゃん、私は!!)
    と自分に強く言い聞かせる。何だか彼を見ると自分のペースが乱されそうで内心慌ててしまったのだ。
    「…竈門君、そろそろイヤホン片方返してくれない?」
    「あ、すいません」
    何となく距離を保ちながら再び歩き出した。

    「仕事どう?3年目だし、少しは余裕出来た?」
    「いえ、俺はまだまだです。もっと努力しないと」
    「そう言う真面目さ、謙虚さがあれば大丈夫だよ」
    「そうですか?」「そうだよー」
    仕事に関する他愛もない話で少しずつ落ち着きを取り戻していく。ようやく自宅アパートも近付いてきた。ホッとしたところで、彼に声をかけた。
    「私、もう近くだから…」
    横を見ると、隣を歩いていたはずの竈門君の姿が見えない。さらに振り返ると、後方で彼がしゃがんでうずくまっているのが見えた。
    「え、ちょっと竈門君大丈夫!?」
    急いで彼の元へ駆け寄った。「気分悪い?」
    「いえ、平気です…」
    街灯の下で顔に影がかかり、表情は見えないが顔色が悪く見える。お酒を飲んだ後に走ってきたのを考えると気持ち悪くなって当然だ。
    「私、水買ってくるから…」
    と周囲を見渡しても近くに自販機が見当たらない。
    しゃがむ彼の側を車が何台も通り過ぎる。しゃがんでいたら危ないし人も通るし目立ってしまう。何よりほっとけない。
    ちょっとだけならいいよね…と、私はある事を決心した。


    つづく

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