ガールズちゃんねる

いま目の前にある物を小説風に書くトピ

113コメント2021/08/25(水) 00:14

  • 86. 匿名 2021/08/24(火) 13:28:44 

    iPadからふと視線を移すと、
    ふわりとひろがる白に鮮やかなオレンジ色が飛び込んできた。

    一瞬の戸惑いのあと、「 … ああ」とガル美は呟いた。
    おぼろげだった記憶が少しづつ蘇ってくる。

    ああ、そうだった。
    昨夜、わたしはここでずいぶんと飲んだのだった。
    キッチンに目をやると、二階堂の瓶が役目を終えて所在無げに転がっている。

    再び目の前に視線を移すと、お気に入りの白いランチョンマットに
    オレンジの濃い染みが点々としている。
    染みは右上の角から中央に向かって柔らかな弧を描いていた。

    「美しいわね。まるで抽象画のようだわ…」

    ガル美は物憂げに見つめながら、昨夜の記憶をなぞる。
    ガラス容器から箸で何かをつまみ上げ、
    赤く鮮やかな液体を滴らせながら、それを口元へ運ぶ。
    口へ入れた瞬間、すべてを支配する強烈な味と香り …

    「… キムチだわ」

    同時に悟る。
    この記憶は消えることはないだろう。
    残り続ける。ランチョンマットの染みとともに。

    何かを諦めたようにガル美は乾いた笑いを浮かべた。

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  • 103. 匿名 2021/08/24(火) 15:40:30 

    >>86
    すごい、めっちゃ小説!
    キムチを肴に二階堂飲んだってだけなのに、めちゃくちゃ素敵な描写で引き込まれる。笑笑
    「美しいわね。まるで抽象画のよう」のオチが、粗相して垂らしたキムチで笑える。

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