1. 2024/05/03(金) 22:23:57
勝俣さんが新卒で入社したのは、大手不動産グループの子会社。(略)4月から始まった研修で与えられた課題は「駅での名刺配り」だった。
「ノルマがあって1日100枚配り終えるまで帰らせてもらえませんでした。何とか100枚配っても、次にまた100枚渡されて、永遠に終わる気配はありませんでした。上司からは『新人研修と名乗れば受け取ってくれるから』と言われましたが、ほとんどの人から嫌な顔をされました」
名刺はほとんど受け取ってもらえず、時には、駅員を呼ばれて注意されることもあった。1日でノルマ分を配り終えられないと、「その程度なの?」と上司に詰められた。
名刺を配り終えると、次の一週間はひたすら営業電話をかけさせられた。誰もが知っている大企業の社員の電話番号リストを渡され、上司から「このリストに片っ端から電話かけるように」と指示された。
昼休みも犠牲にして、一日300件以上の営業電話をかけ続けたが、契約どころか、前向きに考えてくれるケースすら1件もなかった。会社から支給された携帯の番号を検索すると、迷惑電話としてネットで注意喚起されていた。そのサイトの口コミ欄を見ると、男性の名前も“迷惑電話の主”として書かれていた。
<中略>
この4月に都内のIT系企業に就職した小島健二さん(仮名=22)は同月20日に退職した。小島さんが耐えられなかったのは、旧態依然とした「飲み会文化」だ。(略)
飲み会では先輩から“一発ギャグ”を強要された。先輩たちは「男同士の楽しいムチャぶり」のような感じでハシャいでいたが、大学時代にそうした経験がなかった小島さんは心底嫌だったという。(略)
さらに、飲み会には同期の女性も参加していたが、酔った先輩が「最近、女性と遊んだのはいつなんだ?」と執拗に聞いてきた。異性にだらしないわけでもないのに、女性社員の前でそういうことを言われるのも不快だったが、ひきつった笑いしかできなかった。(略)
そこで、小島さんは「二度と会社の飲み会には参加しない」という決意を固める。そして、3回目の飲み会の誘いには、強い意志を持って不参加を表明した。しかし後日、先輩から飲み会に参加しなかったことをとがめられ、「男が飲み会に参加しないとか、死刑だから」と吐き捨てられた。この言葉が引き金となり、会社への絶望以上に怒りが沸いてきて退職を決意したという。
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新年度が始まって1カ月しかたたない中で、早くも新社会人の“退職ラッシュ”がニュースになっている。SNSでは「初日でやめたい」などの声があふれ、4月中旬には、希望とは異なる部署に配属されて不満を抱く「配属ガチャ」というワードがトレンド入りした。新社会人の4月といえば、まだ本格的な仕事も任されない時期だろうが、「現場」では一体何が起こっているのか。今年、入社1カ月もたたず会社を辞めた2人の新社会人に話を聞いた。