1. 2024/02/29(木) 00:34:56
このような、現実をゆがめて認識してしまうほどのクセを、脳神経学的には、「認知のゆがみ(Distortion/ディストーション)」といいます。ディストーションがよいほうへ働くこともなくはないのですが、これが無意識に働き、ストレスの原因となっていることがままあるので、その正体を明かしておいて損はありません。
・ゼロヒャク思考
物事を「0か100か」という極論のみで考えてしまう思考スタイルです。「全か無か思想」ともいわれ、完璧主義の人がなりやすいです。「白黒つけないと気が済まない」「失敗したら何もかも意味がない」というように二者択一の思考パターンに陥っています。
・過度な一般化
たった一つの出来事から、すべてのケースにおいてそうだと思いこみ、結論づけてしまうディストーションです。
仕事で資料の作成ミスをしたときに、落ち込むあまり、「自分は何一つ仕事ができない」と自己嫌悪に陥ることがあるかもしれません。でも実際には、たとえ資料の作成が苦手なのだとしても、その他の仕事の得手不得手とはまったく関係ありません。それどころか、実際にある現実は、ただその資料の作成において一度ミスをしたというだけで、資料作成が苦手というものでもないはず。これが「過度な一般化」の罠です。
・ネガティブ“だけ”を見る
・良いところを認めない
・論理の飛躍
目の前の現実から根拠もなく飛躍して、悲観的な結論に結びつけてしまうのが、「論理の飛躍」です。
宿題で問題を一つ間違えた→今度のテストで赤点だ→受験も落ちるに違いない→進学できないし、将来何の仕事にも就くことができない→孤独で不幸な人生を送るに違いない……といった、まわりの人から見れば、「どこの占い師なの?」というつっこみが入りそうな思考法(英語で、「ほらまたfortune tellingしてる!」のような言い回しがあります)ですが、当人は気づかぬうちにそこまで沼にハマってしまうことも。
・個人の問題化
何かの出来事や他人の言動や行動を、自分個人の問題や責任に落とし込んでしまうディストーション。
またよくあるのが、「私が応援すると必ずチームが負けるから、見ないようにする」とか、「私がいるからこの会社の業績が悪いんだ」のように、明らかに自分に責任のないことまで自分事にして捉えてしまうこと。他にも、SNSで誰かが投稿したひと言に対して、「これ、自分に向けられた言葉だ!」と思ってしまうこと、ありませんか?
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ネガティブな感情とどう付き合えばいいか。ハーバード大学准教授の内田舞さんは「人にはそれぞれ考え方のクセがある。現実をゆがめて悲観的に物事をとらえる“認知のゆがみ”はストレスの原因になりやすい」という――。