1. 2024/02/15(木) 15:07:39
「いちばんの問題は凍結保存するだけで妊娠・出産が可能だと錯覚している人が少なからずいること。実際には、パートナーが見つからず、凍結した卵子を使うことができない人も多いです。また、見つかってからも、凍結した未受精卵を融解して、体外受精させる必要があり、そのためには仕事の調整を含めて努力が必要であり、1回あたりの妊娠率は決して高くありません」(河合さん)
「年齢とともに1回の排卵で採取できる卵子の数は減っていきます。20代であれば1回で20個くらい採取できることもありますが、40才を超えると1個しか採取できないことも珍しくない。排卵を何度も行うのは大変で、せっかくチャレンジしたのに少ししか凍結しないで終わってしまうケースも多いです。加えて卵子の質は若いほどいいので、年齢が高くなると妊娠率も低くなります」(河合さん)…
負担がかかるのは体ばかりではない。
「健康な女性の場合、卵子凍結は自由診療が前提です。そのため、クリニックによりますが、助成金がなければ卵子を採取する手術に約20万円、それに加えてホルモン剤やさまざまな検査も行うので、初診から卵子凍結まで50万円ほどかかる。また、保管は病院によって異なりますが年間数万円ほどがスタンダード。当然ですが妊娠するまでも、胚移植などで30万円は必要だと考えた方がいい。
長期にわたって保存していたのに体外受精に失敗した場合、不妊治療の失敗に加えてお金を無駄にしたという二重のショックで心にダメージを負う人は少なくありません」(室井さん)
出典:www.news-postseven.com
「ホームページなどを見て、すでに生殖補助医療(ART)の実績があり、体外受精の妊娠率が高いところを選ぶことをおすすめします。卵子凍結は体外受精の技術を使うからです。また、ノンメディカルな卵子凍結が容認される前から医学的な卵子凍結で経験を積んでいることも多いです」
室井さんもホームページの情報を確認することが大前提だと話す。
「詳しく情報開示がされている病院は信頼できます。卵子凍結のメリットだけでなく、デメリットが書かれていることも必須で、卵子の保管方法もチェックしましょう。卵子や精子を扱う専門家『胚培養士』在籍の大切さを情報発信しているかどうかもポイントです」
子供を持ちたい女性にとって、「新たな光」となる卵子凍結。理解を深めてうまく味方につけたい。
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…キャリアを追求するための手段であり、精神的な安定を生む“お守り”でもある卵子凍結。しかし、“希望の光”に存在する落とし穴のことはほとんど知られていない。女性の可能性を広げる選択肢であることは間違いないが、デメリットも存在するのだ。自治体や企業が推進する一方、現時点で日本産科婦人科学会は、ノンメディカルな卵子凍結を「最終的に決めるのは本人」としつつも「推奨しない」というスタンスをとっている。